埼玉県春日部市の鍼灸院 はり・きゅう はりも

〒344-0058 埼玉県春日部市栄町1-279
Tel:048-763-5323
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3月の休診日のご案内

3月の休診日のご案内

3月の休診日は下記4日間となります。

4日(水)、11日(水)、18日(水)、22日(日)

ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

【文献】うつ病と鍼灸

【文献】うつ病と鍼灸

先日、NHK「東洋医学ホントのチカラ」という番組内で、
「うつ病と鍼灸」について取り上げられていました。

番組内ではイギリスの ヒュー・マクファーソン 教授による報告が紹介されていました。

「うつ病と鍼灸」について、同教授による文献を少し探してみました。



*誤訳の可能性もありますので、原文での確認をお願いいたします。

Acupuncture for Depression: A Systematic Review and Meta-Analysis.


(うつ病の鍼治療-システマティックレビューとメタ分析)

PMID: 31370200

背景

うつ病は、一般的に抗うつ薬、心理的介入で治療されます。

うつ病の患者は、補完代替療法としての鍼治療の対象となっています。

システマティックレビューとメタ分析によって、
大うつ病性障害における鍼治療の有効性が検討されました。


方法

1980年から2018年11月にかけてイギリス、中国、韓国のデータベースから
マニュアル鍼、電気鍼またはレーザー鍼を使用した臨床試験を選んでいます。

結果

2268人の参加者を含む29の研究が適格であり、メタ分析に組み込まれていました。
中国で22件、中国以外で7件の試験が実施されました。

鍼治療は、通常のケアと比較してうつ病の重症度の臨床的に有意な低下を示しました。
(g= 0.41、95%CI 0.18~0.63)

偽鍼との比較(g = 0.55、95%CI 0.31~0.79)

抗うつ薬の補助として(g = 0.84、95%CI 0.61〜1.07)

鍼治療の回数の増加とうつ病の重症度の減少(p = 0.015)の間に
有意な相関関係が見つかりました。


制限事項

試験の大部分は、盲検化に対してバイアスのリスクが高かった。

中国では高頻度の治療回数のため、中国の集団の所見を他の集団に
適用できるかどうかは不明です。

大多数の試験では、試験後の追跡調査は報告されておらず、
安全性の報告は不十分でした。


結論

鍼治療は、通常のケアと標準的な抗うつ薬の適切な補助療法となります。

読んでみて

指摘されているバイアスの問題や、治療頻度が多すぎると患者さんの
負担が増すことも考えられます。

Acupuncture, counselling or usual care for depression and comorbid pain: secondary analysis of a randomised controlled trial.

(痛みを伴ううつ病に対する鍼治療、カウンセリング、通常のケア:ランダム化比較試験の二次分析)

PMID: 24793257

【背景】

痛みを伴ううつ病は、さまざまな治療に対する反応不良と関連しています。

この二次分析の目的は、痛みを訴える患者が、鍼治療、カウンセリング、
または通常のケアに反応して徐々に「うつ」と「痛み」が異なるものかどうかを
判断することでした。

【方法】

ランダム化比較試験によって、 755人の患者を 、通常のケア(151)と比較し、
鍼治療(302)、カウンセリング(302)で、うつ病および痛みの
自己申告を一連の回帰モデルと共分散分析を使用して分析します。

評価尺度はPatient Health Questionnaire (PHQ)-9(うつ病)、SF36(身体痛)、
EQ-5Dを使い、治療開始前、3、6、9、12ヵ月で計測した。

【結果】

治療開始前、755人の患者がEQ-5Dの痛みのカテゴリーを報告しました。
384人(50.9%)は中等度から極度の痛みを報告した。

治療開始前のうつ病を制御する線形回帰モデルは、治療開始前の痛みの存在が、
3か月の平均差= -1.16(95%CI 0.12〜2.2)でのうつ病の予後不良と
関連することを示しました。

治療開始前で中程度から極度の痛みのある参加者は、鍼治療を受けた場合、
3ヶ月でより良くなりました

Patient Health Questionnaire (PHQ)-9の平均減少率= 6.0、95%CI 5.0~7.1

SF-36(身体痛)の平均減少率= 11.2、95%CI 7.1〜15.2


カウンセリング群の平均減少率 =4.3、95%CI 3.3~5.4; 7.6、95%CI 3.6~11.6

通常のケア群の平均減少率=2.7、95%CI 1.50~4.0:7.2、95%CI 2.3~12.1


痛みのない比較群においては、治療手段には顕著な違いは見られませんでした。

【結論】

治療前にうつ病と痛みのある患者は、うつ病で痛みのない患者よりも
3ヶ月以上の治療で回復が少なかった。

うつ病と痛みの両方の減少は鍼治療群で最も顕著であり、
カウンセリング群、そして通常のケアグループ群がそれに続きました。

読んでみて】

うつ症状に痛みが伴いほうが、回復がスムーズである可能性がある。
またうつ症状と痛みの両方に鍼治療の可能性があることが示唆されている。

Patient Health Questionnaire (PHQ)-9:うつ病の評価尺度

SF-36、EQ-5D:健康関連の尺度

Acupuncture and counselling for depression in primary care: a randomised controlled trial.

(プライマリケアでのうつ病に対する鍼治療とカウンセリング ランダム化比較試験)

PMID: 24086114 

【背景】

うつ病は重要な死亡原因です。
多くの患者は、非薬物療法への関心を一般開業医に伝えています。

プライマリケアでのうつ病に対する鍼治療とカウンセリングの
システマティックレビューでは限定的なエビデンスがあります。

この研究の目的は、プライマリケアでのうつ病患者の鍼治療と通常のケア
およびカウンセリングと通常のケアを比較することでした。

【方法と所見】

ランダム化比較試験では、うつ病( Beck Depression Inventory BDI-II score
ベックうつ病評価スコア20以上)の患者755人が、イングランド北部の
27のプライマリケア診療所から募集されました。

患者は、鍼治療(302)、カウンセリング(302)、および通常のケアのみ(151)に
対して2.2.1の比率を使用して、3つの方法のいずれかに無作為に割り付けられました。

主な結果は、3ヵ月後の Patient Health Questionnaire (PHQ-9)スコアの差であり、
12ヵ月後の追跡調査で二次分析が行われました。ITT解析によって行われました。


PHQ-9データは、3か月で614人の患者、12か月で572人の患者で利用可能でした。
患者は、鍼治療平均10回と9回のカウンセリングに参加しました。

通常のケアと比較して、PHQ-9うつ病スコアに統計的に有意な減少がありました。

3か月後
鍼治療(-2.46、95%CI -3.72から-1.21)
カウンセリング(-1.73、95%CI -3.00〜-0.45)

12か月後
鍼治療(-1.55、95%CI -2.41〜-0.70)
カウンセリング(-1.50、95%CI -2.43〜- 0.58)。

鍼治療とカウンセリングの違いは有意ではありませんでした。

この試験は特定の効果と非特定の効果を区別するようには
設計されていません。

重篤な治療関連の有害事象は報告されていません。

【結論】

うつ病患者に対する鍼とカウンセリングの
ランダム化比較試験では、プライマリケアで一般開業医に相談した後、
両方への介入は通常のケア単独と比較して、3ヶ月でうつ病の
有意な減少と関連していた。

Beck Depression Inventory BDI-II score:うつ病評価尺度

【最後に】

NHKの番組や、文献などから鍼治療がうつ病に貢献できる可能性が示唆されています。
一方、現時点で鍼治療は決して万能ではなく、まだ標準治療ではありません。

鍼灸院を受診した「うつ病」の可能性がある患者さんには
第一に専門医を受診していただくこと、その上で「痛み」などの身体症状に対して
鍼治療が補助的にできることを考慮すること。

それらの適切な対応が患者さんの回復の一助になればと当院では考えています。





股関節前面の痛みの鍼灸症例

股関節前面の痛みの鍼灸症例

*この症例は患者さん個人が特定されないよう、内容に変更を加えております。

患者 50代、女性
主訴 右股関節痛

2年前、工場での仕事(4日/週  6時間 勤務 1万歩/日)で
右足に体重をかけられないほどの痛みがあったが,
2日で歩けるくらいにはおさまる。


右股関節と右膝内側に痛みと違和感があった。
整形外科を受診し、レントゲンでは股関節、膝関節の異常は
認められず、痛み止めと塗り薬が処方された。


3か月間、理学療法士によるリハビリを週に1回継続。
違和感は残るが、改善した。
歩行時のknee-inを指摘されている。

週5日、1時間ほどのウォーキングを行っていた。

2週間前と昨日に農作業をし、しゃがんだり、
スコップを足で土に押し込む作業をしたところ、翌日歩けなくなった。

階段は上りより下りがつらい。ウォーキングは行っていない。

現在、痛む部位は右鼠径部、右大転子周囲。
腰痛なし、下肢のしびれはない。夜間痛なし。

既往歴なし
家族歴なし  
変形性股関節脱臼の家族歴なし
外傷歴なし

食欲、睡眠は正常。発熱なし。



身体診察

仙骨外縁、坐骨結節、大転子周囲に圧痛多数。
腸脛靭帯、ASIS直下、大腿内側に強圧痛。

FADIR test(+)
FABER test(+)
長内転筋圧迫テスト(+)
SLR(-)
腸腰筋圧迫テスト(-)

施術方針

病歴、身体診察などから「股関節前深部」の痛みが主となる。

状態が安定するまでは週1回の施術を行い、
経過をみてストレッチ、ウォーキングなどをはじめていただく。

施術と経過

第1回
右上側臥位にて大転子周辺に置鍼。
仙骨外縁・大転子周囲に電気ていしんを行う。

仰臥位にて鼠径部外側、大腿内側部に電気ていしんを行い、
違和感は軽減。
大転子-腸脛靭帯の上部1/3は残存。
刺鍼にて旋然・雀琢を加える。

なるべくしゃがむ作業は避けるように伝える。

第2回
短い距離の歩行、立ち上がりは痛みなし。長時間の運転、
勢いよく座ると痛みがある。

立位で靴下をはくときに、まだ足が上がりづらく、
下前腸骨棘の内側付近に痛みがある。
鼠径部内側はあまり気にならない。

第3回
5キロほど歩くと、鼠径部、臀部に張りがでてくる。
股関節屈曲、内転、内旋で鼠径部につまり感が認めらる。
ASIS周囲、内転筋、股関節屈曲・外転・外旋位で
縫工筋起始部、内転筋に単刺。
直後、鼠径部の違和感、張りはなくなる。

第4回
運転3時間半で張りはあるが、痛みはない。
旅行で階段を200段上り、大転子周囲に少し痛みはでたが、
翌日楽になる。

自宅でのストレッチ(臀部、内転筋群、弱めの回旋運動など)をはじめていただく。
臀部の圧痛が減り、股関節前面、鼠径部、内転筋の圧痛が中心となる。
FADIR test(+)
FABER test(-)

第5回
1時間半の農作業、ビル4階への階段の上り、下りともに症状なし。
腹部、鼠径部に温熱刺激を加える。施術頻度を2週間に1度にする。

第6回
6000-10000歩のウォーキングを再開、農作業による痛みはない。
疲労感が鼠径部にはでる。鼠径部は電気ていしんで対応、刺鍼が必要ない硬さになる。


第7回-9回
ストレッチと、ウォーキングでコントロールできている。旅行もできている。
FADIR test(-)

第10回
旅行で23000歩、翌日も痛みなし。
症状が安定しているため、股関節症状については終了となる。

施術を終えて

股関節症状には体重が大きな要素となりますが、この方の体型はやせ型であり、
体重のコントロールは必要ありませんでした。

股関節前深部には様々な組織(骨・筋肉・靭帯・血管・神経)が
複雑に入り組んでいます。

鍼のみで対応していた時よりも、電気ていしんを使い始めてからのほうが
「つまり感」「違和感」のような症状は軽減しやすい気がしています。

同時に、鍼が苦手な患者さんにも対応しやすくなりました。

また患者さんが熱心にストレッチ、ウォーキングなどに
取り組んでいただいたこと。施術ごとにご自身の症状把握に
努めていただいたことが大変参考になりました。

以上が順調な回復につながったと考えています。

調べるのはほどほどに-急性低音障害型感音難聴の鍼灸症例

調べるのはほどほどに-急性低音障害型感音難聴の鍼灸症例

難聴に限らず、突然前触れもなくおこる身体の不調は、
それ自体が気持ちを不安定にするものです。

その不調の原因や病態をネットで調べることができるのは、
良い点も多いのですが、調べすぎることで不調に輪を
かけてしまう患者さんもいます。

こちらの症例は患者さんが特定されないよう変更を加えております。

患者
35歳、女性、事務職


主訴
突然の難聴・耳鳴り


受診動機
「急性低音障害型感音難聴」と診断されたが、点滴によるステロイドの効果が
ないこと、ネットで調べることでさらに不安になり受診。

現病歴
8日前、耳のつまりを感じる。疲労感や肩こりはあったが、
仕事のお付き合いで帰宅が遅くなる。


7日前、近隣の耳鼻科を受診、「アレルギー性鼻炎」と診断され、
抗生物質を処方される。


6日前、耳鳴りが出始め、同じ耳鼻科を受診、聴力検査で
左耳の「突発性難聴」と診断され、薬の処方はなく、大学病院を紹介される。


5日前、大学病院を受診するが対応に納得できず、
救急安心センター事業に電話相談をし、
4日前に別の耳鼻科を受診。


ブレドニンの点滴を3日連続で行うが、症状・聴力の回復は認められない。
明日からはステロイドの内服予定。

「急性低音障害型感音難聴」と診断されているが、1週間後に
「聴神経腫瘍」の可能性を考え、MRI検査の予定。

現在の症状は耳のつまり、耳鳴り(テレビの音で悪化)、
就寝前の静かな環境の方が調子が良い。騒がしい環境で悪化。

めまいは寝返り時に1度のみグラっとした。
仕事は事務職だが、耳症状が回復するまで休む予定。


食欲はあまりないが、三食食べている。睡眠は


処方薬
ブレドニン
メコバラミン
アデホス
イソバイドシロップファモチジン

既往
アトピー性皮膚炎(冬に悪化)アレルギーテストはスギ、ヒノキ、カビ

施術方針

施術とその経過


初診左上側臥位にて、耳周囲、側頸部、後頚部、
肩上部にかけて電気ていしんと電気温灸器で浮腫みと緊張軽減を図る。


「命門」「大椎」「百会」「耳周囲」に棒灸
残存する耳周囲の硬結部位と「四神聡」に置鍼15分。


「低音障害型感音難聴」は回復しやすいこと。

主治医の先生は今、できることをしっかりしてくれているので
これ以上、ネットで耳のことを調べすぎず、主治医の指示を守り、
信用するように伝えた。

また経験上、ステロイドの処方が終わった後に回復していく方も
おられたことを伝えた。


生活では、十分な水分摂取と睡眠、身体を休めるようにおねがいした。


第2回(3日目)
MRIでは異常が認められなかった。聴力は60dbから40dbに回復。
耳のつまりは少し良い。耳鳴りは耳栓をしていると楽。
めまいはない。
トンネルの中、水の中にいる感覚がある
施術は前回通り

第3回(11日目)
昨日でステロイドの服用が終了し、1週間後耳鼻科を再受診予定。

耳のつまりはだいぶ良い。
用事で都会に出かけるが、騒がしい環境でも比較的平気だった。
耳栓をせずにテレビが見れる。めまいはない。
水の中いる感じはまだある。
食欲は正常に戻る.

前回施術後から睡眠はすごく良い

風の音が聞こえるようになってきている。(20dbまで回復の可能性あり)

明日から仕事復帰予定
自覚症状が減り、外出もできており、安心感が表情からもうかがえる。

第4回(17日目)
左聴力10db 右15dbまで回復。
医師からはイソバイト、アデホス、メコバラミンを1か月継続服用の指示。

耳鳴りは良くなっている。つまりはない。室外機の音が少し気になる程度。
仕事は問題なくできている。

第5回(32日目)
水の中にいる感じもない。症状が改善され、安定していることから終了とする。

1週間後耳鼻科受診予定。

症例を通じて

今回のケースは発症から「低音障害型感音難聴」の治療を
医療機関で受けるのに、3日ほど要しています。

その経緯と症状から不安を抱えつつ、
救急安心センター事業に電話相談をし、主治医がみつかるまでは
相当なご苦労だったと思われます。


当院を受診されたときは、患者さんは
多くの疑問と不安を強く訴えておられました。


そして、ネットで調べるほどネガティブな情報の多さから
不安が増していったといいます。


突然の難聴・耳鳴り・めまいは、それ自体で相当不安になります。
さらにネットで調べれば調べるほど不安になっているケースを多くみます


最近は難聴に限らず、調べすぎで余計に不安になっている方が
多いように思います。

調べるのは悪いことではありませんが、体調を壊すほど調べるのは本末転倒です


主治医は患者さんから医療面接や検査で得た多くの情報をもとに
面と向かって個別に診察しており、ネットよりも精度が高いこと。

医師にはネットにはない情報・経験の蓄積があること。

多くのネット情報から心身不調の状態で判断をするのは
患者さん自身の負担になること。

以上のような内容のほかに、疑問や不安があるときは、率直にその旨を主治医に伝えるよう時間をかけてアドバイスすることがあります。


患者さんが心身ともに不安定な状況で、ネットで調べた多種多様な情報を通じて、
医師に不信感を抱き、「標準治療」とのつながりを絶ってほしくないからです。


最初の点滴によるステロイドの効果は当院の来院時には
まだでていませんでした。


しかしながら、耳鼻科の治療を継続した期間と
鍼灸での施術の期間が重なったこと。
また仕事が休めて、安静にすることができたこと。
さらに、自然回復などの要素もあったでしょう。


どの要素が最も効果的だったかは明確ではありませんが、
後遺症もなく日常生活に復帰できたことが
最も喜ばしい結果であったと考えます。

「いぼ」とお灸

糸上灸3

いぼ」とお灸

「いぼ」をお灸でというのは、あまり聞かないですよね。

お灸をする鍼灸師の間では特に珍しいことではありません。

患者さんと話をしていると、年に数回「いぼ」や「魚の目」の話になることがあります。

ほとんどの患者さんが皮膚科で「液体窒素」による治療経験があります。

私自身は「液体窒素」による治療を受けたことはありません。


患者さんの話によると結構刺激感が強いようで、
お灸の方が楽との話を聞きます。(患者さん個人の感想です)

その刺激感の強さから、市販のシール状のものを使われてますが、
あまり変化がないケースもあるようです。

患者さんはいぼのことを相談される前に他の訴えで当院を受診されているため、
お灸にはあまり抵抗感がありません。

よろしければお灸でやってみましょうかと、そのつど対応してきました。

いぼ」へのお灸

「いぼ」へのお灸は上記の写真にあるように、直接もぐさによる
お灸、いわゆる「直接灸」を当院では行っています。

糸状のもぐさを「いぼ」の大きさ、分厚さなどに合わせて、
何度も重ねてお灸をすえ、灰をとりのぞき、多壮行う、「多壮灸」です。

「いぼ」の分厚さや芯の硬さによって、「もぐさ」の種類を変えることがあります。

もぐさの質によって熱さが変わります。

施術回数は「いぼ」の大きさ、分厚さによって変わります。

「いぼ」が分厚いうちはお灸による熱さをあまり感じません。


段階的に小さくなり、薄くなっていき、最後に残って、
浮き出てくる芯にお灸をするのが一般的な経過です。

加速度的に変化することもありますが、変化に乏しい段階が
途中で出てくるときもあります。

その際は、「もぐさ」やお灸の数、施術の頻度などを変更してきます。

まずは皮膚科を受診しましょう

「いぼ」については、まず皮膚科を受診してください。

「いぼ」と自己判断せず、しっかりと医師の診断と
治療を受けていただくことが大切です。

「いぼ」と思っていたものが、違う病気の可能性もあります。

それでも、あまりにも「いぼ」に変化がない、
液体窒素があまりにつらいという場合は、「お灸」を
選択肢のひとつとしてご検討いただければと思います。

「いぼへのお灸」は約15-30分程度、費用は1回2000円となり、
通常の施術費と異なります。

すべての「いぼ」がお灸の適応ではなく、難しいことが
ありますので、その際はお伝えしています。

また糖尿病などの既往がある方は、直接灸による
お灸(特に手足末端)をお受けいただけません。

また顔面部のいぼについても当院ではお受けしておりません。

ご了承くださいますようお願いいたします。

昨年、患者さんから

「いぼをお灸でとるなんて知らなかった」

「お灸をする前後で写真をとっておけばよかった」

「もっといぼとお灸のことをすすめればいいのに」


このような声を頂戴し、今回の記事を書くに至りました。
お役に立つ方が少しでもいらっしゃれば幸いです。

2月の休診日のご案内

2月の休診日のご案内

 2月の休診日は下記4日間となります。

1日(土)、2日()、12日(水)、18日(火)

ご迷惑をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

[文献] 更年期症状と生活の質に対する鍼治療の効果(メタ分析)-台湾の研究

[文献] 更年期症状と生活の質に対する鍼治療の効果(メタ分析)-台湾の研究

自己学習もかねて、鍼灸の海外論文を紹介する記事です。
誤訳の可能性もありますので、原文での確認をお願いいたします。
PMID: 25003620

Effects of acupuncture on menopause-related symptoms
 and quality of life in women in natural menopause:
a meta-analysis of randomized controlled trials.」


「自然閉経期の女性の更年期関連症状と生活の質に対する鍼治療の効果:
ランダム化比較試験のメタ分析」

目的

このメタ分析は、自然閉経期のホットフラッシュの頻度と重症度、
更年期関連症状、生活の質に対する鍼治療の効果を
評価することを目的としています。

方法

PubMed / Medline、PsychINFO、Web of Science、
Cochrane Central Register of Controlled Trials、CINAHLを
体系的に検索しました。


キーワードは鍼治療、ホットフラッシュ、更年期関連症状、生活の質など。


研究に関連する異質性、モデレーター分析、出版バイアス、
およびバイアスのリスクを調べました。

結果

関連する104の研究のうち、869人の参加者を含む12の研究が
選択基準を満たし、この研究に含まれました。


鍼治療により、ホットフラッシュの頻度(g = -0.35; 95%CI、-0.5〜-0.21)
および重症度(g = -0.44; 95%CI、-0.65〜-0.23)が
大幅に減少することがわかりました。


鍼治療は、更年期指数で心理的、身体的、および泌尿生殖器の
サブスケールのスコアを大幅に減少させました
(g = -1.56、g = -1.39、およびg = -0.82、それぞれP <0.05)。


鍼治療は、更年期特有の生活の質に関するアンケートの
血管運動サブスケールスコアを改善しました
(g = -0.46; 95%CI、-0.9 to -0.02)。


ホットフラッシュの頻度と重症度(それぞれg = -0.53とg = -0.55)に
対する長期的な影響(最大3か月)が見つかりました。

結論

このメタ分析により、自然閉経期を経験している女性の鍼治療は、
ほてりの頻度と重症度、更年期関連症状、生活の質(血管運動領域)を
改善することが確認されています。


読んでみて

様々な文献を集め、分析、統合させたメタ分析による内容なので質が高いものと思われますが、肯定的な文献だけでなく、否定的な内容のものを含めて、精査していきます。

更年期障害と鍼灸

更年期障害と鍼灸

更年期障害と鍼灸について馴染みのない方にも、症例や文献を紹介し、
少しづつ加筆しながらご案内していきます。

目次

  • 更年期障害について
  • 更年期障害の症状
  • 更年期は身体・社会・心理的問題が重なりやすい時期
  • 更年期障害の診断
  • 病院での治療
  • 更年期の時期より少し前から意識していただきたいこと
  • 更年期障害がおきる原因と仕組み
  • 東洋医学による更年期障害の診立て
  • 更年期障害と鍼灸の論文(追記予定)
  • 更年期障害の鍼灸症例(近日予定)
  • 更年期障害のセルフケア(近日予定)

[更年期障害について]


閉経前後の10年、45-55歳を更年期とし、この時期に特定の病気がない
状態にもかかわらず、様々な身体の不調を総称して「更年期障害」といいます。


[更年期障害の症状]


顔のほてり・顔の発汗・寝汗・手足の冷え・動悸睡眠障害・イライラ
気分の落ち込み・めまい・頭痛・疲労感・肩こり・関節のこわばり

症状の数や程度は個人差があり、すべてがあるわけではなく、
気づかない方もおられます。


[更年期は身体・社会・心理的問題が重なりやすい時期]


身体的には卵巣機能の低下に伴い、女性ホルモン(エストロゲン)の
分泌低下がおこり、自律神経を不安定にします。

その結果、様々な不調を引き起こします。
(自律神経症状はホットフラッシュや発汗などが代表的です)


社会的には家族の関係の変化、職場での役割、介護などの
環境変化が起きやすい時期と重なります。


身体・社会問題がストレスとなり心理的ストレスを引き起こすこともあります。


[更年期障害の診断]


更年期障害は明確な診断基準がありません。
一方で、先に挙げた症状はほかの病気でもおきることがあります。
(甲状腺疾患・ストレスなど)


そのため、更年期障害と診断されるには医療機関への受診が必要です。


①他の病気がないかどうか精査が必要
②年齢や月経歴、月経周期が不安定な「周閉経期」かどうか
③血液検査によるホルモン(卵胞刺激ホルモン)・エストラジオール(E2)の測定
③更年期障害に特徴的なホットフラッシュなどの有無


[病院での治療]


ホルモン補充療法 血管運動性症状(ホットフラッシュ・発汗)・関節症状など
向精神薬     気分の落ち込み・イライラ・不眠 
          SSRIはホットフラッシュ、発汗
漢方薬      多様な症状や、体力や体質に合わせて全体的なバランスを回復させる


リスクや副作用もある(どんな治療も一定のリスクと副作用はあります)一方、
新しい利点もあり、見直されている点も多くあるようです。

自己判断ではなく、医師と十分に話し合って、適応も含めて治療をされることが
とても大切です


[更年期の時期より少し前から意識していただきたいこと]


更年期は女性ホルモン(エストロゲン)の低下だけでなく、骨密度の低下、
高血圧、脂質異常、糖尿病などのリスク
が増える時期にもなります。


これらを見据えたうえで、早い時期からの運動、適切な食事の習慣が
大切になると思われます。


[更年期障害がおきる原因と仕組み]


更年期障害がおきる原因は女性ホルモン分泌の仕組みにあります。

脳の視床下部からゴナドトロピン放出ホルモンが分泌

脳下垂体から卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンが分泌

卵巣から女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが分泌

血液中の女性ホルモンの濃度によって視床下部と下垂体がそれぞれ調整機能の役割を果たす



以上のように女性ホルモンの分泌は調整されていますが、
閉経が近づくにつれて、女性ホルモンの分泌は減少します。

しかし視床下部は卵巣に女性ホルモンを分泌するよう機能亢進がおきます。
その結果、卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンが過剰分泌されます。


この2つのホルモンは「自律神経中枢」に影響をおよぼし、更年期障害の
特徴である自律神経症状を引き起こします。

自律神経症状:のぼせ、心悸亢進、発汗、不眠  →エストロゲン欠乏と関連
精神症状  :不安感、抑うつ、恐怖感、疲労感 →心理・環境要因


[東洋医学による更年期障害の診立て]


更年期症状に対する東洋医学による診立てには、バリエーションがあります。
漢方を処方する先生や、鍼灸師の間で共通のものもあれば、異なることもあります。


それぞれの先生が持つ経験や、学習されてきた理論体系が異なることが
理由の一つと思われます。


東洋医学では「更年期障害」を「気・血の不足」
「熱の産生の不足と、排出のアンバランス」
「肝鬱気滞」「腎陰虚」「心腎不交」など様々な言葉で診立てを表現します。


かなり大まかな説明になりますが
気力が低下して何もやる気がでないタイプ、
逆に常にイライラしてストレスが多く、頭に血が上るタイプなどに分けられ、
一人の患者さんの中に、2つのタイプが混ざることもあります。

実際にはどのような症状があるか、どういった体質かを見極め、
使うツボなどを選択していきます。

[更年期障害と鍼灸の論文]

更年期障害と鍼灸についての論文を紹介していきます。

①Efficacy of a standardised acupuncture approach for women with bothersome menopausal symptoms: a pragmatic randomised study in primary care (the ACOM study).  PMID: 30782712  : 更年期症状に対する鍼の有効性 デンマークの研究


[文献]更年期症状に対する鍼治療の有効性:デンマークの研究

② Effects of acupuncture on menopause-related symptoms and quality of life
in women in natural menopause:a meta-analysis of randomized controlled trials.
PMID: 25003620 :更年期症状と生活の質に対する鍼治療の効果(メタ分析)-台湾の研究

[文献] 更年期症状と生活の質に対する鍼治療の効果(メタ分析)-台湾の研究

近日中に関連文献と鍼灸症例の追記を予定しています。

[文献]更年期症状に対する鍼治療の有効性:デンマークの研究

更年期症状に対する鍼治療の有効性:デンマークの研究

*自己学習もかねて、鍼灸の海外論文を紹介する記事です。
 誤訳などの可能性もありますので、原文での確認をお願いいたします。

 PMC6501989

Efficacy of a standardised acupuncture approach for women with bothersome menopausal symptoms: a pragmatic randomised study
in primary care (the ACOM study)

つらい更年期症状のある女性に対して標準化された鍼治療の有効性:
プライマリケアにおける実践的ランダム化研究(ACOM研究)

目的

中等度から重度の更年期症状を持つ女性に、標準化された
短期間の鍼治療の有効性を調査する。

研究デザイン

介入群、対照群を1:1の割り当てで、ランダム化比較研究。
評価者と統計学者は盲検化されました。

環境

9つのデンマークのプライマリケア外来

参加者

中等度から重度の更年期症状のある70人の女性と、
鍼の教育を受けた9人の一般開業医。

介入

鍼治療のスタイルは、事前に決められたツボ、CV-3(中極)、
CV-4(関元)、LR-8(曲泉)、SP-6(三陰交)、SP-9(陰陵泉)を使い、
標準化されたアプローチによる西洋医学でした。

介入群は、5週間連続で1回治療を受けました。
対照群には6週間後に治療が提供されました。

主要なアウトカムと指標

アウトカムは、ベースラインから6週目までに測定され、
MenoScoresアンケートのスケールを使用し、

平均スコアの変化のランダム化グループ間の差でした。

主要なアウトカムはホットフラッシュスケールで、

二次的なアウトカムは、アンケートの他の尺度でした。
すべての分析は、ITT解析に基づいています。

結果

36人の参加者が介入を受け、34人の参加者がコントロールグループに参加しました。
6週前に4人の参加者が脱落しました。

鍼治療の介入により、以下の症状の軽減が見られています。

  • ホットフラッシュ:Δ-1.6(95%CI [-2.3〜-0.8]; p <0.0001)、
  • 昼夜の汗:Δ-1.2(95%CI [-2.0〜-0.4]; p = 0.0056)、
  • 一般的な発汗:Δ-0.9(95%CI [-1.6〜-0.2]; p = 0.0086)、
  • 閉経期特有の睡眠障害:Δ-1.8(95%CI [ -2.7〜-1.0]; p <0.0001)、
  • 感情症状:Δ-3.4(95%CI [-5.3〜-1.4]; p = 0.0008)、
  • 身体症状:Δ-1.7(95%CI [-3〜- 0.4]; p = 0.010)
  • および皮膚および髪の症状:Δ-1.5(95%CI [-2.5〜-0.6]; p = 0.0021)


6週間の追跡で、対照群と比較。
ほてり、感情的な症状、皮膚および髪の症状の減少のパターンは、
研究の3週間後にはすでに明確でした。

軽度の潜在的な有害作用が4人の参加者によって報告されましたが、
重篤な有害作用は報告されませんでした。

結論

6週間の介入期間において、標準化された短期間の鍼治療で
中等度から重度の更年期症状が臨床的関連性が迅速に低下しました。

重篤な副作用は報告されていません。

読んでみて

この結果だけを見ると、短期間でシンプルなツボを使い、
更年期症状に対して鍼治療が有効との印象を受けます。

しかしながら、実際にはそんなに単純ではない印象もあります。

ひとつの研究として参考にするとともに、
引き続き様々な文献を調べ、中身を吟味していきたいと思います。