「治さなくてよい認知症」-本の紹介
先日NHKでは番組「私たち抜きに私たちのことを決めないで-初期認知症を生きる」が
放送されていました。
その内容は、スコットランドでは、認知症と診断された人々を支える仕組みがなかった時に、まさに認知症になった当事者である本人の声を聴き、そこからサポート体制を作り上げるといった内容でした。
今回、私が読んだ「治さなくてよい認知症」では、はじめの方にこう書かれています。
「もっと認知症の人本人にこそ注目し、向き合わなければいけないという反省と認識であった」
今のところ、認知症自体を治すことはできません。
その一方で、認知症に対する周囲の見方、社会の意識を変える、これこそが
認知症の当事者にとっていかに大切であるかを丁寧に説明しています。
さらに改めて下記の点(引用含む)は重要であると感じました。
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治すべきは周囲、社会の意識の変革が大事である
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認知症本人がいかに孤立感や不安な心理状態を抱えているかを知る
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人との関係性、生活が大事
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「慰める、助ける、共にする」を鉄則とし、「指摘しない、議論しない、叱らない」
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デイサービスは様々な面で効果的だが、認知症レベルのマッチングが大切である
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認知症の行動心理症状 BPSD対して、薬物療法3割、非薬物療法7割と提唱があり、
非薬物的対処では本人により注目し、関心を持ち、接する時間を増やし、話をして、聴く。
鍼灸治療院で、認知症の方と直接関わる機会はあまり多くありません。
少ない経験と照らし合わせながらも、この本の内容からいろいろ思い当たるところ、
これから勉強するべきところを多く気づかされました。
認知症だけでなく、患者さんとの対応のほとんどに共通する部分があるかと思います。
認知症が特別なものでなくなっていく現在と将来において、
医療者としても個人としても適切な知識と対応を身につけるのに、
とても刺激を受けた書籍でした。
多くの方の目に触れられることを願います。
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