「胸郭」のセルフケアとトレーニング

「胸郭」のセルフケアとトレーニング

「リモートワーク時代の首のセルフケアとトレーニング」では
「首」だけのセルフケア・トレーニングでは
不十分なことがあるとお伝えしました。

不良姿勢は身体全体の問題です。
そこで、今回は「首」に続く、「胸郭」についてです。

「胸郭」は肋骨、12個の胸椎、そして胸骨からなる部分です。


この3種類の骨から首につながる筋肉があります。

背中がまるいと首や腰への筋緊張の負担が多くなり、
筋肉そのものも疲れやすく、姿勢がかわってしまいます。

背中が反れなかったり(胸椎伸展制限)や 胸郭が広がらないと、
肩が下がってしまい、 首への緊張が増してしまいます。

2つの「胸郭」

胸郭は大きく上部と下部の2つに分けられます。


上部の胸郭に問題があると、上の写真のようになります。

このような姿勢でなどの胸の筋肉(大胸筋、小胸筋)が短くなり、
いわゆる「猫背」で胸の方がつまった感じが見てとれると思います。


この姿勢は前回もお伝えした通り、首に負担がかかります。
頚部・頭部伸展筋力が弱くなります。

→胸のストレッチと前回の頚部のトレーニングが必要となります。

下部胸郭に問題があると、
腹部、脇腹、背筋が短くなります。

→腹部、脇腹、背部のストレッチが必要となります。

「胸郭」のセルフケア(ストレッチとエクササイズ)


最初にチェックしてみましょう

①仰向けに寝る
→背中が床面に接している感触を覚えておきましょう

②万歳をする
→腕の上げやすさ、背中の伸び感などをみておきます。

③深呼吸をする
→呼吸のしやすさ、胸郭の広がり具合、筋肉の緊張をみておきます。

あまり難しく考えず、セルフケア後に動きの改善や
緊張感が軽減されているかを確認してください。

以下の順序で行います。
広く、大きな筋肉から伸ばしていきます。
15-30秒×3セットできれば理想です。「呼吸」はとめないでくださいね。

広背筋
(この後、胸椎を動かすために、制限となる広背筋を先に伸ばしておきます)

一度のばしたら、一旦四つん這いにもどしましょう

②大胸筋
(背中を反らすには肩甲骨を胸椎に寄せることが必要になります、
胸の筋肉が硬いと それができないため、先に伸ばしておきます)

鎖骨の下をほぐします。軽めでおねがいします。

肋間筋:横側をほぐし、伸ばします。
肋骨と肋骨の間(肋間筋)に指をいれて、腕の上げ下げを繰り返します。
ひとつずつ緩めていくのが大事
一つの肋骨の動きが悪いと、他の肋骨にまで制限がかかります。

下記のような感じで4指をあてるといいでしょう

横向きでも同じようにやってみます

全体を伸ばします。

肩甲下筋をほぐします

胸椎の伸展を様々な方法で行います

これは少し負荷が強いので首が痛い方は慎重にしてください。
首、腰ではなく背中を伸ばします。

⑦最後に腹筋を伸ばします

全て終わられたら、最初のチェック項目で変化の確認をお勧めします。

ストレッチポールをお持ちの方はうまく活用してください。
本当におすすめです!

「呼吸」と「胸郭」の関係


胸郭は「呼吸」との関連が深いです
ストレッチ中も、脇腹、背中など前後左右に膨らませるように
意識してみてください。

胸郭の動きがでてくると呼吸もしやすくなります。

「胸郭」がなぜそんなに大切か


「猫背」によって頭の位置が変わると頚部の問題に直結します。
その頚部は肩甲骨とつながっています。

肩甲骨を動かすには胸椎が十分に動くことが前提です。

胸椎が後弯している「猫背」だとそれが難しくなります。

なぜなら背中が丸くなると、肩甲骨が外側に位置します。
所定の位置にないため、肩甲骨がうまく動かず、
結果として腕を使いすぎてしまいます。(代償動作)

そこから肩こりや首凝りにつながります。(僧帽筋や肩甲挙筋)


「胸郭」を形成する「胸椎」「胸骨」は身体の中心です。
身体の中心がうまく動かないと、手足への負担が大きいのです。

また肩甲骨の位置が変わることで腕の関節の不安定さにつながり、
肩関節痛リスクがあがります。

さらに背中が丸くなると骨盤が後ろに傾き、腰痛につながることも。

つまり「胸郭」がうまく働かないことで、首や腰への負担が増し、
疲労感や疾患につながること、また、自分の動かしたい動きが
制限されることになります。

他には自律神経症状・肋間神経痛との関連もあります。

これについてはまた別の項目でご案内します。

「胸郭」の大切さをお伝えしつつ、肩甲骨や肩関節、
腰、骨盤との関連性がでてきました。

「にわとりと卵」ではないですが、
やはり身体は相互につながり、連動しています。



次回は腰のセルフケア・トレーニングについて予定しております。

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