埼玉県春日部市の鍼灸院 はり・きゅう はりも

〒344-0058 埼玉県春日部市栄町1-279
Tel:048-763-5323
おしらせ

お知らせ:春日部市の鍼灸治療院 はり・きゅう はりもからのお知らせ

 

お知らせ

 

こちらでは症例を中心に、鍼灸の研究についての論文の紹介、日常生活の注意点などについてご案内しています。

ブログ一覧

9月の休診日のご案内

9月の休診日のご案内

9月の休診日は下記、6日間となります。

2日(水)、9日(水)、16日(水)、21日(月)、24日(木)、25日(金)

ご迷惑をおかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。

触れるだけでピリピリ広がる膝の内側の痛み(伏在神経絞扼障害)

触れるだけでピリピリ広がる膝の内側の痛み(伏在神経絞扼障害)

膝の痛みといえば、「変形性膝関節症」が有名ですが、それだけではありません。

頻度は高くありませんが、膝の内側にピリピリと特徴的な痛みをもたらす
「伏在神経絞扼障害」があります。

実際の症例と「伏在神経絞扼障害」について紹介いたします。

膝の内側が痛む「伏在神経絞扼障害」の鍼灸症例

*この症例は患者さん個人が特定されないよう変更を加えております。

患者
70代、女性

主訴
2か月前からの膝内側の痛み、大腿・下腿内側の痛み。

受診動機
時間がたてば治るだろうと思っていたが改善せず、
日課の散歩ができなくなったため受診。


現病歴
2か月前に思い当たるきっかけなく、
右ひざ内側が腫れるほど痛み、ピリピリする。

現在、腫れは引いたが膝の内側を中心に
大腿・下腿内側にピリピリした痛みがある。
時折、膝から下腿内側にかけて電気が走るようなこともあった。
しびれはない。

腰痛はなく、腰の動きで膝の痛みは悪化しない。
じっとすわっていたり、就寝時に横向きで休んで左右の膝を重ねると、
膝どうしが当たって痛む。

歩行時に痛みはあるが、動いていると楽になることがある。

入浴時に自分患部をもんでいるが、痛みは悪化する。
湿布もしている。
散歩などは普段通り行っていたが、ここ数日痛みが強くなり、
中断している。


既往歴
糖尿病・呼吸器疾患

所見
膝内側に疼痛部位が多いが、下腿内側にかけて広範囲に圧痛だけでなく、
軽く触れるだけでも鋭い痛み。 

また大腿内側や膝内側部の圧迫で下腿内側遠位部に放散する。
チネルサイン(+)

膝内側の静脈が多数透けて見え、むくみがある。 


鑑別

・変形性膝関節症:軽く膝に触れる程度で痛みはでにくい。

・腰椎椎間板ヘルニア:腰痛・しびれがなく、部位も坐骨神経領域と一致しない。
           腰の動きで膝の痛みが悪化しない。
・仙腸関節障害:仙骨部の痛みがない。



施術方針

痛みの性状、部位、触診による所見から
「伏在神経絞扼障害」として施術。




施術とその経過

第1回

以前他疾患で来院の際に、鍼の刺激が苦手だったため、
初回は電気ていしんのみで対応。


伏在神経の走行上の圧痛や硬結を
電気ていしんでの微弱電流を加え、反応の消失をみていく。

遠位から反応の消失が見られる。
一部、ZAMSTホットパックなどで
熱刺激を加えると、あてるととれやすい。 
(喘息の既往のため、お灸は使わない)

下腿部より、膝内側部の反応は取れにくい。

施術終了時は、来院時のような足を引きづるような動きは少ない。


第2回(5日目)

施術日の翌日から痛みがまだ残る。
下肢内側に電気が走るようなことはないが、膝関節内側に痛みはある。

所見
大腿内側の押圧で膝内側に放散痛 皮膚は触れるだけで痛む。
陰陵泉付近が最大圧痛。(伏在神経内側下腿皮枝)
初診時にあった下腿内側遠位1/2には圧痛がない。

方針
症状軽減が見られるも、十分ではないため 伏在神経絞扼部位に刺鍼を行う。

施術
伏在神経に沿って、seirin JSP 1寸3分 置鍼20分。 
脛骨内果から伏在神経に沿って、電気ていしん30分。
大腿内側の押圧による放散痛は消失 陰陵泉の圧痛は残る。
陰陵泉付近に置鍼 寸6-4 10分  
施術後痛みがかなり軽減される。

当院を出てからの歩行が初回よりもスムーズに思える。


*電気ていしんで浮腫が軽減されると、絞扼部位を触診でしぼりこみやすい。


第3回(9日目)

前回施術後、治ったかのように調子がよかったが長距離の散歩で少し症状が戻る。

所見
前回より圧痛部位は少ない。

施術
内転筋管付近、陰陵泉付近の内側下腿皮枝の絞扼部位を中心に置鍼。
抜針後、絞扼部位に電気ていしん。
さらに残存する硬結部位に置鍼。

施術後は痛みをほぼ感じない。

就寝時に大腿まである靴下を履いていることが判明。
絞扼を防ぐため、当面は下腿下半分くらいまでにとどめていただく。

1週間様子をみていただき、症状消失により終了。

初診時は圧痛部位や放散痛を誘発する部位が多かったが、
施術ごとに、部位の減少が見られた。

参考文献にある絞扼好発部位、触診による神経の走行上の部位を
中心に施術をしたのが改善につながったと感じている。


「伏在神経絞扼障害」について

伏在神経

腰からはじまる「大腿神経」は鼠経部を通過し、「伏在神経」に枝分かれします。
その後、大腿内側にある「内転筋管」という「管」を通ります。

その「管」を取り囲む筋肉(縫工筋、内側広筋、長内転筋、大内転筋)が伏在神経を
圧迫し、「伏在神経の痛み」を誘発します。

以下に、「伏在神経絞扼障害」の特徴と、「変形性膝関節症」との共通点と
違いをご案内いたします。

「伏在神経絞扼障害」の特徴

・膝の内側がピリピリ、チクチクした痛み
・膝だけでなく、太ももの内側、脛の内側から内くるぶし付近まで
 痛みが広がることがある。
・痛みに波があり、症状がないときもある。
・触れたり、軽く押圧するだけでも痛い部位がある

「変形性膝関節症」と「伏在神経絞扼障害」に共通する症状

・膝の内側の痛み
・階段は上るより、降りる方が痛い
・立ち上がりなどの動作開始時痛がある
・正座など膝を曲げるのがつらい

病歴・所見での両者の違い

「痛みの性状」が異なる
 「変形性膝関節症」は「関節」の痛み。
 「伏在神経絞扼障害」は「神経」の痛み


・「痛みの範囲」が異なる
  伏在神経の走行に沿って痛む

 
・「軽く触れるだけでも痛む」
 「伏在神経」が皮神経のため

・神経を圧迫する「絞扼部位」がある
 


参考文献

・「下肢のentrapment neuropathy(絞扼性神経障害)の針刺治療(Ⅱ)」
  小川義裕  全日本鍼灸学会雑誌 40巻2号末梢神経絞扼障害

・「しびれと痛み 末梢神経絞扼障害」 広谷速人 金原出版

8月の休診日のご案内

8月の休診日のご案内

8月の休診日は、


2日(日)、12日(水)、15日(土)、19日(水)、29日(土)の
5日間となります。

ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

感染状況と当院の対策について

感染状況と当院の対策について

感染が拡がっています。(7月23日時点)


4月の緊急事態宣言直前からの当院の休診、
5月末の宣言解除、6月前半の当院の再開を経て、
7月中旬からは感染が再拡大しています。

感染拡大の事実に対して、リスクに対する考え方、
行動は4月よりもより多様になっている気がします。

置かれている状況や立場が異なるのも背景にあるのでしょうか。


当院は「感染リスク」を可能な限り下げることが第一にあり、
その上で「患者さんの鍼灸受診需要」に応えるという立場です。

当院の感染対策と体制は
「再開のご案内」に記しております。
ぜひご一読くださいますようお願いいたします。

現在の対策とお願い

その後の対策として、

・遠方からの新規のご依頼を一時的にお断りしております。
・また1日の患者数を4名までに限定しています。


ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。


コロナなどのストレスや梅雨の長雨などにより
体調不良の方が増えておりますが、
遠方の新規の方は当面お控えくださいますようお願いいたします。

感染リスクを下げるには、施術者・患者双方の
協力が不可欠となります。

マスクの着用をはじめ、
ご本人・またご家族が以下の症状に当てはまる方は受診をお控えください。

・発熱
・のどの痛み
・咳
・息苦しさ
・普段とは違う倦怠感
・味を感じない
・においを感じない


以上の事情による当日の予約キャンセルも遠慮なく、お申し付けください。

先日も、当日にのどの痛みを訴えた患者さんからキャンセルの
電話をいただきました。その対応は本当にありがたいことです。

今後について

4月に比べ、手指消毒やマスクなどの感染予防行動は広がりました。
一方で、以前より「慣れ」も感じられます。

スーパーなどのお店に入るときに、消毒をされる方が
減っている様子や、人との距離が密になっている場面をみることが
増えました。

現在は地域流行が6月よりも拡大しているので、
注意がより必要と感じます。

今後も感染状況によっては、再度「休診」する可能性があります。

一方、前回の休診により患者さんにご迷惑をおかけしました。

「休診されると困る」「再開はまだですか」
といった声もいただき、影響の大きさも理解しております。


患者さんにおきましても、地域の感染状況を参考にし、
ご自身の状態を見ながら、受診の判断をお願いしたいと思います。



今回の4連休から日々、1週間-10日後の感染状況をより注視していきます。

考え得る実行可能な感染対策は行っていますが、
最大の感染予防は「休診」することで人との接触を避けることと考えています。

「休診」という極端な判断をなるべくとりたくありません。

様々な葛藤はありますが、感染収束を願うとともに、
状況によってより適切に判断できるようにしたいと思っております。

感染状況により対応の変化がございます、何卒ご理解くださいますよう
お願い申し上げます。

「のどのつまり」と「咽喉頭異常感症」

「のどのつまり」と「咽喉頭異常感症」

「のどがつまる」「飲み込みにくい」という訴えで
時折、お問い合わせをいただきます。

特に今年は例年より多く感じます。

お電話で患者さんから
「咽喉頭異常感症」「ヒステリー球」「梅核気」
といった専門用語が出ることにも驚きます。

「咽喉頭異常感症」については漢方薬の「ツムラ」の
ホームページでは以下のように説明されています。

咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)とは、
「のどがつかえる」「しめつけられる」「何かできている」など、
さまざまな言葉で表わされるのどの違和感、異常感覚のこと。

のどの過敏性や貧血、自律神経失調症などが原因で起こる場合のほか、
がんに対する不安、不安神経症、うつ病など心因的なもの(病気)が
関係している場合などがあります。

治療は、原因と考えられる問題が存在するときは、
そちらを優先させて治療していきます。漢方薬もよく用いられます。
心因的な要因が強いときには、不安を取り除く心理療法、
薬物治療をしていくこともあります。

出典:「咽喉頭異常感症」 漢方のツムラ

本当に「咽喉頭異常感症」かは病院を受診しないとわかりません。

「のどのつまり」:まずは病院を受診しましょう

「のどがつまる」「飲み込みにくい」=「咽喉頭異常感症」とは限りません。
頻度も高くありません。

病院を受診する目的はいくつかあります。

・「のどがつまる」原因を調べる
・「原因」に応じた治療を受ける
・ 重篤な疾患の見逃しを防ぐ

「のどのつまりは何科を受診するのでしょうか」

「のどのつまり」「喉の違和感」「飲み込みにくさ」といった
病歴だけでは「めまい」のように、多種多様な疾患が想定されます。

少なくとも下記のような病気が想定されます。

・逆流性食道炎
・副鼻腔炎
・睡眠時無呼吸症候群
・咽頭炎
・甲状腺疾患
・悪性腫瘍
・心疾患
・うつ病など

そのため、「とりあえず病院に行ってください」だと
患者さんは何科を受診するべきなのか難しいところだと思います。

「総合診療科」が近隣にあるとも限りません。

上記疾患の可能性を高める特異的な病歴を追加で聴き、
可能性が最も高い科を受診するよう促しています。

・逆流性食道炎    →胸やけ、朝方悪くなる、口の中が苦い
・副鼻腔炎      →鼻炎、後鼻漏、頬・前頭部の痛み
・睡眠時無呼吸症候群 →いびき、日中の耐え難い眠気
・咽頭炎       →喫煙歴
・甲状腺疾患     →女性、動悸、頻脈など
・悪性腫瘍      →嚥下時の痛み、喫煙歴、飲酒歴、家族歴、既往歴
・心疾患       →労作による悪化、胸痛、冷や汗、動悸
・うつ病など     →興味の消失、憂鬱な気分が2週間持続

この情報だけでは十分ではありませんが、病院で診察を受け、
必要な検査をしていただきます。

当院で「のどのつまり」を訴えられた事例

①「咽喉頭異常感症」の既往歴を持つ50代男性の「喉の違和感」


喉の違和感があり、仕事によるストレス、疲労などが重なる状況。
「咽喉頭異常感症」の既往歴あり。

今回も「咽喉頭異常感症」を想定されていました。

胸やけ、口の中の苦み、嚥下時の痛みの有無、鼻炎の有無など
いくつかの病歴を確認いたしました。

また胃内視鏡検査を受けてからしばらく時間がたっていたこともあり、
消化器内科の受診と胃内視鏡検査の相談をしてみるよう提案いたしました。

患者さん自身も胃内視鏡検査のことは、頭の隅にあったようなので
スムーズに受診にいたりました。

その結果、食道上部に炎症が見られ、内服薬により1週間で変化があり、
20日ほどで喉の違和感は消失しました。

*以前と同じ症状と感じても、改めて診察・検査を受ける大切さを確認できました。

②「咽喉頭異常感症」と診断された40代男性の「のどのつまり感」


すでに「耳鼻咽喉科」で「咽喉頭異常感症」と診断を受け、
「半夏厚朴湯」「抗不安薬」を服用するも改善せず。
様々な治療を試しておられました。

気分も落ち込み気味で、仕事も手につかず、趣味を楽しむことができていませんでした。

当院開業まもないころ、数回診させていただきましたが、症状緩和に至りませんでした。

1年後、別の症状で来院された際に伺ったところ、
「あれから自然に治りました」とのことでした。

③耳鼻咽喉科・口腔外科受診により「異常なし」と診断された
 40代女性の「喉のつまり」「のみこみにくさ」

【病歴】
2週間前からの「喉のつまり」「のみこみがしづらい」
朝方は楽で、夕方に悪化。特に夕食時につまる。

口腔外科受診  顎関節のレントゲンは正常。
耳鼻咽喉科受診 喉頭ファイバーで異常なし。

漢方薬「半夏厚朴湯」を処方される。
服用により症状は半分に減る。

まだ半分程度症状が残るため、当院を受診。

のどのつまりを生じる他疾患の病歴を追加で確認し、
受診した病院で異常所見がみられないことから、
施術を行い、経過を確認することにした。



【所見】
字を書いたり、パソコン、食事の際にかなり猫背気味で頸部前方が
かなり短縮する姿勢が見受けられる。
右頸部、胸鎖乳突筋などの緊張、舌骨周囲のむくみなどを確認。


【考察】
夕方につらくなってくるのは、仕事で同じ姿勢を保つことができず、
不良姿勢が強くなっている可能性を考えた。
当院で数回診て、改善傾向がない時は再度病院受診を促す予定。


【施術】
頸部・肩部・背部の緊張緩和、舌骨周囲の浮腫の改善を行う。

【セルフケア・環境改善】
・頸部・背部・胸脇部を中心とした自宅でのストレッチ
・ノートパソコンに土台を置き、少し高い位置にする。(頚部前方の短縮を避ける)

【経過】
その後、ストレッチによって症状軽減を実感、
症状はピーク時の1割程度になり、自己管理をお願いした。



病院で異常所見が認められず、医師の「半夏厚朴湯」の処方から
「咽喉頭異常感症」の可能性が高いと考えられます。

服用中に施術を開始したことから、当院の介入が症状改善にどの程度
貢献したかは正確には不明です。

当院では、不良姿勢や、頸部の緊張による物理的な喉への負担に対する
施術を鍼灸・ストレッチで行い、環境改善の提案をいたしました。

発症から比較的早期に症状が改善できた点は良かったと思われます。

のどの異常感覚は、「のど」局所の問題、身体全身の問題、精神的問題などが
原因と言われています。

まずは病院を受診していただくことが最も重要です。