埼玉県春日部市の鍼灸院 はり・きゅう はりも

〒344-0058 埼玉県春日部市栄町1-279
Tel:048-763-5323
上肢症状(腕・肘)

肘の痛みに対する鍼灸院での診方

テニス肘

 

肘の痛みと鍼灸

 

鍼灸院では、頚・肩・腰・膝などの関節の痛みを
訴える患者さんは多いのですが、同じ関節である「肘の痛み」を
訴える方は少ない印象があります。

「肘の痛み」の原因は様々ですが、スポーツでの接触、
歩行中の転倒など、いわゆる「外傷」で当院を
受診される方はほとんどおりません。

お仕事や日常生活の中で、頻回に肘に負担がかかった結果、
肘を痛めて受診される方が中心です。

そしてそのほとんどの方が、整形外科または接骨院の受診を経て
来院されています。そこで「テニス肘」や「ゴルフ肘」といった診断をされ、
患者さん自身も痛みの原因をお分かりになっているケースによく出会います。

 

テニス以外でもおこるテニス肘

「テニス肘」(上腕骨外側上顆炎)は肘の外側から前腕にかけて痛みが出ます。
テニスをする方に多いためこの名前がついています。

しかしながら、テニス肘の90%以上はテニス以外の原因によって
おこるとも言われています。

 

家事などでの雑巾絞り、洗濯、ドアノブ、ペットボトルの蓋をあける、
パソコンでのマウスの使用、配膳、育児、楽器の練習、
手芸、縫い物、テニス以外のスポーツ
など

 

繰り返す動作による負担が肘を痛めます。

患者さんとの会話の中でこういった原因をよくうかがいます。
日常生活に原因がありますね。

 

指の使い過ぎでも肘に負担はかかります

テニスのように肘を動かさなくても、マウス操作のような指を動かす
ちょっとした動作だけでも、繰り返すことで肘への負担があります。

指と肘の筋肉がつながっているためです。

ためしに指をピアノを弾くように動かしていただくと、
肘の周りの筋肉が動くのを確認できると思います。

つまり肘を使っている意識がなくても、肘に負担がかかっています。

 

痛みを誘発する動作の把握

まずは、患者さんが考えておられる原因と、どういった状況・
動作で痛みが生じるか、また痛みが増悪するかを「よく聴いて」確認します。

肘や前腕、指を安静にできればいいのですが、原因のほとんどが
日常生活や仕事上必須の事ばかりです。

「安静が大切」である点はお伝えしつつも、鍼灸施術を行いながら、
患者さんが家庭でできるセルフケアを検討していきます。

 

肘の痛みに対する鍼灸治療

肘への負担による痛みのため、肘周辺に鍼灸治療を行いますが、
それだけでよくなられる患者さんは少ないと思います。

肘の動きに直接作用する筋肉はもちろん治療対象となります。
また肘をスムーズに動かすため、そして肘の痛みをさけるため、
間接的に肘に関係する筋肉も治療対象となります。

 

ドアノブ

 

連動する動き:肘と肘以外の両方をみます

肘と肘以外の両方を見るのには理由があります。

たとえばドアノブを回す動作は肘や手首だけでなく、
肩、肩甲骨などが同時に連動して動きます。

ためしに、左手で右の肩甲骨に手を置き、右手でドアノブを回す
動作をしていただくと、肩甲骨に動きを感じられます。

ドアノブを回す動作にも背中の肩甲骨の動きがかかわっています。

それぞれの関節には複数の筋肉がついているので、どこかに硬さや、
張り、痛みなど動きを制限する要素があるとやはりスムーズな
動きはできず、どこかに負担が蓄積され痛みや傷害がおきます。

単純な動作にみえても、複数の筋肉、関節が同時に動き、連動しています。
それらの状態が良ければ、
良い動きに。
悪ければ、無理のある動きとなります。

 

肘関節は動く範囲が広い割に、もともと構造上の不安定さを抱えています。
不安定さをを補いつつ、繰り返す動きによる負担を減らすためにも、
肘の動きに連動する筋肉や関節などを丁寧に診て、触って、
比較し(正常時との比較、左右の比較、前回治療時との比較など)
状態を確認していきます。

 

そうすると、テニス肘という肘の外側の痛みでも、外側だけでなく
肘の内側や手首、指、腕、肩、肩甲骨、背部、頚部などをみる必要があります。

また患者さんが日常生活で痛みのある動作を再現していただくと、
どの部分の動きが悪いかなどもわかります。

このような手順で得られた情報を患者さんと共有して、
次回の治療までの自己ケアや予防法を確認します。

具体的には、肘に負担がかかってしまったときの炎症への対応、
肘に直接・間接的に関連する部分のストレッチなどです。

治療院での鍼灸施術に加えて、こうした自己ケアを同時に進めています。
これは肘の治療に限らず、患者さんを診るうえでの大切な視点のひとつだと思っています。

 

最近の当院での肘の施術(2019.5)

以前は肘周囲に複数の鍼を比較的多めに刺すことが
多かったように思えます。

肘につながる筋肉はもちろんですが、肘関節の筋の付着部への鍼は
効果はあるものの、刺激感が強いため
患者さんには
我慢していただく部分もありました。

最近は、電気ていしんで肘周囲の浮腫みを根気よく取り、
電気温灸器で血流を促進し、
最後にどうしても残る痛みの
原因部位のみに鍼をするようになりました。

その結果、刺激感の強い鍼は随分減りました。

また円皮鍼というシール型の鍼(pyonex セイリン社製)を使っていると
肘痛の予防・維持・管理によいという感想も患者さんからはいただくことがあります。

 

 

 

 

肘の痛み(野球肘)-背中や肩甲骨も見ましょう

野球肘

 

 

肘の痛み(野球肘)と胸椎・肩甲骨の関係

肘の痛み、投球時・投球後に多い「野球肘」を訴える方は時折お見えになります。

原因としては、練習量過多、成長による身長と体重の急激な増加だけでなく、
間接的には通学時の荷物の重さなども考えられます。

そして肘そのものの問題だけでなく、肘の痛みにつながる
他の要素も検討する必要があります。

具体的には肩甲骨・背中(胸椎)など体の中心に
近い部分の柔軟性の低下があげられます。

痛みのある肘そのものだけでなく、胸椎などからの
関連を通じた症例をご案内いたします。

*下記症例は患者さん個人が特定されないよう、内容に変更を加えております。

 

肘(野球肘)の痛みと鍼灸施術の一症例

 
患者 13歳、男性
主訴 野球による右肘の痛み
 
病歴
 
3か月前から右肘の内側、外側とも痛みがある。
 
ひどいときは、上腕外側、前腕外側にも痛みがでる。
投球後に多く、投球後のバッティングでも痛む。しびれはない。
 
首の動きで誘発しない。窓ふきや、雑巾しぼり、
ドアノブなどの動作ぐらいでは痛まない。
 

整形外科ではレントゲンなどから「野球肘」と診断、安静を指示され、
湿布を処方された。
身長や体重がこの1年でかなり増えている。
 
 
所見
 
右肩甲骨外転・右肩関節外旋位・背部の緊張強く、左右差(右>左)あり。
右肩峰が前方に位置。肘を中心に前腕、上腕に強いむくみがみとめられ、
外側・内側上顆中心に圧痛多数。

上腕二頭筋長頭腱の緊張も強い。胸椎・肩甲骨の動作を確認するが
左右共に動きに制限が多い。
睡眠・食欲などに問題はない。アイシング・ストレッチなどはあまりしていなかった。
 
 
初診時の方針と治療内容
 
初診時は特に背部(胸椎)、肩甲骨、肩関節、肘の関係に注目した。
胸椎、肩甲骨周囲の緊張を温熱器具と手技で緩め、可動性を出す動きを加えた。

肘、上腕、前腕のむくみをとり、最後に残った外側上顆付近の圧痛、
上腕三頭筋の緊張を鍼で単刺。ピッチング動作を治療前後に行い、
痛みの軽減を確認しました。

自宅でのアイシングと、胸椎、肩甲骨を中心としたエクササイズの方法を
一緒に確認して終了。

 

まとめ:やはり身体の中心である胸椎や肩甲骨の可動性は大切

 
背中・肩甲骨周辺の柔軟性が失われると、体全体ではなく、
腕を中心にボールを投げてしまいます。
そうすると肘や手首、肩に負担がかかります。
 
身体の軸となる部分が機能していないと、練習を続けるほど疲労や、
フォームが崩れ、
ますます末端である肘などに影響があります。
 

後日お渡ししたエクササイズの内容は「胸椎」「肩甲骨」でけでなく、
「胸郭」を形成する「肋骨」周囲のものも入れました。

エクササイズ前後に、腕を回してみたり、投球動作をしてみるなどして
身体の感覚を確認するのが大切です。


そして
ゆっくりと正しい動きを鏡で見るなどして体に覚えこむように。
正しい姿勢でできているかどうかがポイントになるかと思います。
 
さらに動きやすさや、スムーズ感なども評価してみましょう。
 
 
最初に述べた子供の荷物の重さはテレビでも問題になっていました。
背中への負担のひとつだとおもいます。
最近は子供の背中・肩の緊張に驚かされます。
健康問題であり、社会問題でもありますね。
 
スマホなどは姿勢への影響もありますが、
エクササイズの内容をpdfでお渡ししやすい点もあるので、助かる面もあります。
 
子供だけでなく、大人も背中が硬い方が多いです。
私自身も手先を使う仕事のため、影響がでないようにエクササイズをして
メンテナンスしています。