埼玉県春日部市の鍼灸院 はり・きゅう はりも

〒344-0058 埼玉県春日部市栄町1-279
Tel:048-763-5323
首の痛み

慢性の首の痛みへのアドバイスは 痛みや障害の減少に関係がありますか

慢性の首の痛みへのアドバイスは
痛みや障害の減少に関係がありますか

 

 

慢性頚部痛患者のための鍼治療に伴う生活習慣とセルフケア
ランダム化比較試験を含む二次分析

Lifestyle Advice and Self-Care Integral to Acupuncture Treatment for Patients with Chronic Neck Pain: Secondary Analysis of Outcomes Within a Randomized Controlled Trial.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28253033

*自己学習も兼ねて鍼灸の海外論文を紹介する記事です。
誤訳の可能性もありますので、原文での確認をお願いいたします。

 

背景

 
生活習慣に関するアドバイスは、鍼治療の不可欠な要素と広く考えられています。
 
しかし、生活習慣のアドバイスと
セルフケアが、長期的な効果を維持するために
重要かどうかは不明です。
 
この論文では、慢性頸部痛患者に対し、
鍼治療による観点からの生活上のアドバイス、
セルフケアの中身と効果について
臨床試験データをもとに、新しい2次分析で検討しています。
 
 

研究デザイン

 
12ヵ月間のフォローアップを伴う
3治療群無作為化多施設臨床試験で、
慢性頸部痛を呈した合計517人の患者が、
鍼治療、アレキサンダーテクニック、
または通常のケア単独と
同じ割合で無作為化された。
 
 

方法

 
施術者は、鍼治療群患者に対して、
診断および生活習慣アドバイスの含む
治療内容を報告した。
 
患者は、セルフケア、自己効力感、および
生活習慣に関する側面、
疼痛および障害のスコアを含む治療に関連する変数について、
治療開始前、3ヵ月、,6ヵ月、12ヶ月の時点で報告した。
 

患者と施術者がアドバイスを理解し共同で取り組むことについて
カイ2乗検定を用いて評価した。
 
生活習慣のアドバイスと自己効力感の
アウトカムへの効果を
回帰モデルを用いて評価した。
 
 

結果

 
鍼治療に無作為化された患者の中で、
最も多かった診断の枠組みは、139/160(87%)名の患者に
対する五臓による診断方法でした。
 
134/160(84%)名の患者に行った生活上のアドバイスは
運動、リラックス、食事、休息、
および仕事に関連したのものであった。
 
食事、休息、および仕事では、患者の取り組みとの有意な一致が認められた。
 
さらに、鍼治療グループの患者は、学んだアドバイスを活用する能力を向上させ、
自己効力感を高めた。
 
次に、これらの特徴は、12ヶ月での疼痛
および障害スコアの有意な低下と関連していた。
 
 

結論

 
鍼治療に関連するライフスタイルの
アドバイスは、患者が自分の生活や
介護方法を改善し、自己効力感や学習したことを
使う能力を向上させました。
 
これらの変化は、12カ月後の疼痛および障害の減少と関連していた。

 

読んでみて

報告でもあったように、食事、休息、
仕事などに対するアドバイスは
患者さんも取り組みやすいのか、

患者さんとの間で相互理解があると
良い結果がでていることが示唆されています。

慢性的な頚部痛は生活に起因することも
多いと思われますので、

施術者側は患者さんの病態を丁寧に把握しすること、
患者さん側もご自身の身体・生活を観察していただくことで
相互に良好なコミュニケーションが図れます。

単に鍼治療を受けられるよりも
より早く回復に向かうことを日々実感しております。

 

「慢性の頚部痛に対して、運動、食事、仕事、休息に関する
施術者側の適切なアドバイスは、患者さんの理解と取り組みによって
痛みや障害の減少に関係がある可能性がある」

 

*1  Zang-Fu syndromes :中医学の五臓六腑に重きを置いた鍼灸の診断方法のひとつ
  (鍼灸では診たての方法が複数あります)

 

2019.3.20更新

頚椎症性神経根症:首・肩こり・手のしびれ

頚椎症性神経根症:首・肩こり・手のしびれ

頚椎症性神経根症:首・肩こり・手のしびれ

 
「頚椎症性神経根症」はあまり聞きなれない名前ですが、
頚椎から出ている神経の炎症により、頚(首)から肩、肩甲骨周囲、
上肢(上腕-前腕-手指)にまで痛みや、しびれが出る病気です。
 

特に頚を動かすと症状が誘発されるのが特徴です。

患者さんに「頸椎症性神経根症」の可能性が高いと説明しても、
今まで受診した医療機関では特に説明されてない方がほとんどです。

医療機関での対応は、お話を聞く限りでは鎮痛剤と
湿布の処方がメインのようです。

 

頚椎症性神経症の「原因」

頚にある神経の根っこ、「神経根」の炎症が原因です
 
神経根への圧迫・刺激で炎症・浮腫がおきます。
加齢による、椎間板や「骨棘」とよばれる骨の変性など
でも炎症を起こします。
 

頸椎からでている神経は腕までつながっています。
その神経の根っこである「神経根」に炎症が起きるため、
末端の腕まで痛みや、しびれがおきます。

「頚椎症性神経根症」の患者さんを拝見していると、
頚回りに強い筋肉の緊張、いわゆる「こり」があります。
筋肉の強いこりが、神経を圧迫し、炎症をおこしています。

鍼灸では頚椎周囲の筋緊張を緩和し、
炎症の軽減を目的としています。

 

鍼灸院で対応する病気は様々ですが、その中でも鍼灸で
効果が出やすく、適応度の高いものと私自身はとらえています。

当院の訴えの中でも頻度が高い病気となります。
頚椎招請神経根症
 
 
 
 

 

 

 

 頚椎症性神経根の「症状」

  • 頚の痛み・こり
  • 肩の痛み・こり
  • 肩甲骨周囲の痛み
  • 腕の痛み・しびれ
  • 腕が上がらない
  • 長期にわたると、筋肉の萎縮が手におきます。
・頚を後ろにそったり、振り返ったりする動きで悪化します。
・両方の上肢に発症するケースは少なく、基本的には左右どちらか、
 片側になります。
 
  
*両方の手足のしびれなどは「頚椎症性脊髄症」などを疑う必要があります。 
 (当院では鍼灸の適応外疾患と考えています)
 
 

頚椎症神経根症の「重症度」

 神経根の炎症の程度によって、症状の範囲・強さが異なります

当院で拝見している限り、痛み・しびれの強さだけでなく、
症状の範囲の広さ、腕が上がらないなどの機能障害が複数かさなると
重症度は高くなり、治療回数が増えるとみています。

悪化した場合、下記のような経過になることがあります。

 
・痛みの範囲が頚、肩、肩甲骨周囲にとどまる
       ↓
・しびれが肘より上までにとどまる
       ↓
・しびれが指先まである
       ↓
・腕があがらない(五十肩などの肩関節周囲炎との鑑別が必要)
  
・頚を動かさず、安静にしていても痛い
 
 

頚椎症性神経根症になりやすい方

・中高年の男性に多くみられます
・首に長時間負担がかかる職業の方に多くみられます。
 運転手、水道工事、車の整備、工事用車両のオペレーター
 (ヘルメットなども負担になるようです)
 事務職の方々が当院では多いようです
・スマホの長時間の操作
・寝ながらテレビを見る方
・飲酒後などにソファーの肘かけで寝てしまう方
 頚椎とスマホ
 
 
 
 
 
 
 

 頚椎症性神経根症の「診断」と「身体診察」

患者さんの語る病歴では、
「痛む部位」「頚の動きで痛み、しびれなどがひどくなるか」
「頸椎症性神経根症」を裏付ける重要な情報です。
 
また、肩甲骨周囲、手や腕のどこがしびれているかで、
どの神経に炎症が起きているかが解剖学的にわかります。

 
身体診察では「ジャクソンテスト」「スパーリングテスト」など、
患者さんの頚に負荷をかけて症状の再現をみるものもあります。

画像診断について 

参考資料(1)から下記のことがわかり、画像所見が確定診断ではなく、
他の疾患の除外鑑別診断に活用されているのがわかります。

・MRIではヘルニアや脊髄症はわかりますが、頚椎症性神経根症はわからない
・レントゲンはほかの疾患を見逃さないことが重要
・腕神経叢腫瘍や、パンコースト腫瘍は腕の激痛はあるが、肩甲骨周囲の痛みを初発症状としないのが鑑別ポイント

  

「生活上の注意点」

・首の負担を減らし、炎症がおさまるまでできるかぎり動かさない
・入浴や、ホッカイロなどで温めない。
・押したり、もんだりしない。
・寝ころんでテレビをみたり、スマホを触る機会をを極力減らす
 

鍼灸施術症例

(患者さん個人が特定されないよう、内容に一部変更を加えています)

患者:30代、男性、事務職
主訴:頚の痛み、肩、腕の痛み

病歴
1年半前から、左頚の側面、後面を痛めている。
寝違いがきっかけではじまった。手のしびれはないが、
1日に数十回、頚に痛みと、つっぱり感がある。

特に左後ろを振り返る動作で痛みが増す。
動かさなくても痛いときがある。手の力は左右共にある。

 整形外科にてレントゲンで異常がなく、湿布、鎮痛剤、注射などを
行ったが改善しない。整体、マッサージも複数回受診するが経過は良くない。

だんだん痛む回数が増えているので、仕事に支障が出ている。
交通事故などの外傷歴はない。

鍼灸施術の内容

頚の痛みで、うつ伏せになれたいため、側臥位(横向き)で後頚部、
側頚部を中心に鍼を行う。頚部を触診し、緊張や硬さがあるところを押すと、
腕にまで響くところが数か所ある。

神経根周囲だけでなく、そのような放散痛がある反応点も治療対象とします。

今回の患者さんのように、長患いの方には、鍼を刺したまま20分ほど置きます。
さらに、仰向けにして、側頸部にも鍼をします。

ツボの名前では、天柱、風池、肩貞、扶突など、さらに神経根周囲、
そして先ほどの反応点が治療点となります。

最後に触診をし、緊張部位や放散痛の変化、頚の動きなどを確認して、
必要であれば追加で鍼をします。

 この患者さんでは、 1回の施術で痛みが半分程度、2回目終了時点で
1.2割くらいには改善しました。手のしびれがなく
痛み範囲が上腕にとどまっていたため、比較的経過がよかったのかもしれません。

 

②患者:40代 男性、運転手
主訴:右肩の痛み

病歴
1か月半前に重いものをもってから、右肩の後ろを痛める。
1か月前に整形外科を受診、初診時は電気、遠赤外線、ロキソニンを処方される。
2回目、ボルタレン、睡眠導入剤、注射(頚・肩の3か所)を処方される。
3回目、ボルタレン、胃腸薬、注射を処方される。

経過がよくならず、別の整形外科を受診。
頚・肩のレントゲン撮影をするが異常なし。

安静にしていると比較的調子がよいが、運転や他のことで頚をふと
動かしたときに、右肩の後ろや頚に痛みを感じる。

手のしびれはない。腕も上にあげられる。

鍼灸施術の内容

病歴から、薬が強くなり、おそらくその為に胃腸の不調が
でており、痛みで睡眠に障害がでていることがうかがえます。


この方にも症例①の患者さんのように、基本的な鍼灸治施術を行い。
さらに肩後面の触診を行い加療しました。

頚が原因で、この肩の後面、腕のつけ根
(ツボでいうと、「肩貞」付近)に痛みを訴えられる方は非常に多いです。

この場合は、この「肩貞」付近の反応点に少し深めの鍼でひびかせると、
その後の経過がよいように思えます。

この方も、手のしびれがなく、
2回ほどで施術を終えることができました。

手のしびれがあると、4.5回の施術を要するように思えます。

より詳しい症例は「頚、肩、腕、指の痛み、しびれ-当院の鍼灸治療」をご覧ください。


*2つの症例を紹介いたしました。ここで知っておいていただきたいことがあります。

鍼灸院にお見えになる患者さんは病院受診後に来院されるのがほとんどです。

病院で良くなられている場合は鍼灸院に来院する必要がありません。
もちろん鍼灸の良い経験がある方は別です。

今回の2例は鍼灸施術で改善していますが、

「お薬や注射よりも鍼灸の方が効果がありますよ」ということをお伝えしたいのではありません。

ぜひ誤解なきようおねがいいたします。

ひとつの選択肢としての鍼灸と、
「頚椎症性神経根症」は適応度が高いと思われるためご案内をしています。


私自身の「頚椎症
性神経根症」の経験

 随分前ですが、私自身もこの病気になった経験があります。
かなりつらかったため、今でも鮮明に覚えています。
 

 お風呂の浴槽を掃除していた時に、軽く頚をひねったのが
きっかけでした。その時は少し痛む程度でしたが、
時間がたつにつれ、症状が進んでいきました。

 痛めた当日は頚の痛みだけでしたが、2日後には肩、
腕と痛む範囲が広がり、3日目には手にしびれもでてきました。

 その頃には、振り向くのもつらく、かぶりものの服に首を通すのも
ロボットのように、頚を動かさずにしないと激痛がはしりました。

 4日目には、布団から頚を持ち上げられず、
自分の手で頭を支えないと難しいくらいで、
日常生活に相当支障がでました。


自分自身がこの病気になり
、その当時受けた鍼灸施術で、
直後効果があるのを実感しました。

この2つの経験からはじまり、日々の患者さんの経験の蓄積から、
鍼灸施術は「頚椎症性神経根症」に効果がでやすい手段であると感じています。

 

参考資料

 ・大日本住友製薬サイト:運動器疾患の部屋「頚椎症性神経根症の病態と治療」
 (現在は医療関係者のみ閲覧可のようです)

頸、肩、腕、指の痛み、しびれ-当院の鍼灸症例

 

頸、肩、腕、指の痛み、しびれ-当院の鍼灸症例

 

鍼灸とはどういう施術なのか、なかなか患者さん側からは
見えにくいものだと思います。

鍼灸の施術方法は様々です。

痛いと訴えている部位に鍼をする先生もおられる一方で、
痛い場所には一切施術をせずに、東洋思想を背景として、
手や足だけに鍼やお灸をされる先生もおられます。


(良し悪しや優劣ではなく、あくまで違いであり、ここでは当院での一例をあげています)


当院の施術法については、一例をもとに
記した方が、より具体的だと思いましたので、
少し長いですがお読みいただければとおもいます。

*下記症例は患者さん個人が特定されないよう、内容に変更を加えております。

 

鍼灸症例

患者:40代 男性

主訴:右側の頸・肩・腕・指の痛み、しびれ

患者さんの考え

1年以上前から右側の頸・肩・腕・指に痛みとしびれを感じる。
牽引をしていたが最近は改善せず、夜も眠れないほど痛みが増している。

以前にぎっくり腰が鍼灸で良くなった経験があるので、
なんとかしたいと思っている。

 

現病歴

頸を動かすと肩・腕・指に痛みやしびれが生じる。
特にうがいをするとつらい。

肩は肩甲骨の内側や、肩関節の周り、腕は右肘の外側に痛みがある。

しびれは特に右の親指であることが多く、頸を動かさなくてもしびれている。

腕をあげると肩に痛みがあり、挙げられない時もある。

以前レントゲンをとったときに、頸椎の5番、6番が悪いと言われた。
数ケ月前から、工事現場で今までとは違う重機を使うようになり、
確認のためあちこち見るようになった。

ヘルメットも頸の負担になる。自宅ではカラーをまいたり、
湿布をして対応しているがあまり改善されない。

左側には症状はなく、足にも問題はない。特に大きな病気やケガなどもない。

 

身体診察 頸椎5番・6番周囲の圧痛と肩に放散痛を認める。

 

アセスメント(分析・判断) 

あちこちに痛み・しびれはありますが、患者さんのお話から頸の
動き・負担によって痛みが再現されています。

またレントゲンでも頸椎5番・6番の問題が確認されています。

そして肩甲骨の内側、肘の外側、親指の症状は、頸から出る神経の
症状として解剖学的に理に適っています。
「頸椎症性神経根症」と判断しました。

 

 施術方針 

お仕事の都合で2週間に1回の頻度。原因部位と思われる頸椎の5番・6番を中心に、
肩、腕などを対象とし、痛みとしびれの改善を目標としました。

 

 経過

1回目 施術直後は頸の「痛み」は軽減するが、肩・肘については少し
    変化があった程度。

2回目 「痛み」についてはかなり軽減されるが、「しびれ」は変化に乏しい。

3回目 鍼を置く時間を長くしたところ、寝返りや枕に頭を乗せるときに
   頚をあげても痛くならない。

4回目 頸を後ろに反らない限り痛まない。腕を上げても痛くならない。
    痛みとしびれが減り、よく眠れる。

5回目 頸・肩・腕にはほとんど痛みは感じない。右の親指の先端にほんの少し
   しびれがあるかなというところ。

6回目 仕事の内容が首に負担がかかるものとなったが、疲れはあるものの
   痛みやしびれは再発しない。

 

まとめ

肩が痛い、腕が上がらないとなると、五十肩が思い浮かびます。

頚が原因での肩の痛み・しびれは鍼灸院では珍しくありません。

頚を動かすと肩や腕の痛みが再現され、頸にかかわる特定の神経の
走行に沿ったものであれば、頚が原因の可能性が高まります。

今回の症状は複数箇所に認められますが、ほぼ同時に起こっています。


患者さんの年齢(高齢者ではない)を考えると、頸・肩・腕・指それぞれに
別々の病気が偶然同時におこっていると考えるよりも、単一の原因があって
複数箇所に症状をおこしていると考える方が妥当と判断しました。

そのため、頸を中心とした施術方針を立てています。

 「しびれ」が長期間にわたり続くと、鍼をしても何割かは残ってしまいます。

今回も1年以上前からのしびれだったため、どこまで改善できるかは未知数でしたが、
3回目以降からは症状軽減のスピードがあがりました。

「しびれ」はできる限り早期に治療された方が経験的にも良い印象があります。

 

今回のように長期の「しびれ」でも、こちらの予想を超えた回復をみせます。
その程度は患者さんによってばらつきがありますが、
鍼灸をする価値は十分にあると考えています。

 以前は脳梗塞後のリハビリが6か月を超えると効果が乏しいと
いわれていましたが、ここ数年では6か月以降も回復がみこめるという考えに
変わってきています。

今回は末梢のしびれでしたが、長期の「しびれ」についても
挑戦していきたいと思います。

当院の施術方法・過程を症例を通じてお話しいたしました。

長文になりましたが、なんとなくイメージがつかめましたでしょうか。

患者さんの話される内容から、原因を探し、論理的に無理のない
判断をして施術をすることを心がけています。

 

頸の痛みとテレビの関係-日常生活の注意点

テレビ

 

頸の痛みとテレビの関係-日常生活の注意点

 

70代後半の女性の患者さん、仕事熱心な方で
ご自宅のことも、本当に頑張っておられます。

 

若いころから鍼灸の経験があり、はじめて来院された時は
事務職をされており、頸に随分負担がかかっていました。

昔から左の頚部が凝ることが多かったですが、
お仕事を辞めてからは体調管理や、めまいの予防などを
考え定期的に治療をお受けになられていました。

 

今年の春、30年住まわれたところから、隣町に引っ越しをされました。
引っ越しの疲れはあったものの、新居は快適で、
閑静な住宅街で穏やかにすごされています。

 

引っ越し直後は身体のあちこちに不調が一時的にでましたが、
ひと月半ほどすると随分落ち着いてきました。

家具や物の位置も決まり、片付けも一段落しました。


今までは左の頚部にすくなからず硬さがあり、患者さんも
調子が悪いときは自覚されていたのですが、
引っ越しされてから左よりも右側に硬さが
でてくることが多くなりました。

この数年ではじめてです。いったい何があったのでしょうか。

 


環境の変化が体調を変える

 

「昔からある左の凝りは、ボールペンのペン先で
叩くほどつらかった」と以前おっしゃっていて、
一時期は胼胝のように固まっていました。

 

しかしながら右側の凝りについては、ご本人も思い当るところが
ないようです。もしかしてと思い、患者さんがテレビを
ご覧になるとき位置関係をたずねてみると、
以前のご自宅とは逆の方向になっていました。

 

他の患者さんからもよく聞くのですが、ご家族では食卓などで
座る位置が決まっており、テレビに対して全員が正面から
見ているわけではありません。

常に右(または左)を向いたまま長期間にわたりテレビを
ご覧になる方は意外に多いように思えます。

 

この患者さんは今回の引っ越しで、ご自分の部屋にテレビが
入りました。

それから斜めの位置であったり、肘で頭を支えた状態で
ご覧になることが増えたそうです。

テレビの位置を正面に変更を提案し、
それからは落ち着き始めました。

生活環境や習慣に変化があると、体にも影響がある顕著な事例でした。

今後も患者さんの生活背景をより具体的に
把握できるよう努めていきたいと思います。