頸の痛みとテレビの関係-日常生活の注意点
70代後半の女性の患者さん、仕事熱心な方でご自宅のことも、本当に頑張っておられます。
若いころから鍼灸の経験があり、はじめて来院された時は事務職をされており、頸に随分負担がかかっていました。
昔から左の頚部が凝ることが多かったですが、お仕事を辞めてからは体調管理や、めまいの予防などを考え定期的に治療をお受けになられていました。
今年の春、30年住まわれたところから、隣町に引っ越しをされました。引っ越しの疲れはあったものの、新居は快適で、閑静な住宅街で穏やかにすごされています。
引っ越し直後は身体のあちこちに不調が一時的にでましたが、ひと月半ほどすると随分落ち着いてきました。
家具や物の位置も決まり、片付けも一段落しました。
今までは左の頚部にすくなからず硬さがあり、患者さんも調子が悪いときは自覚されていたのですが、引っ越しされてから左よりも右側に硬さがでてくることが多くなりました。
この数年ではじめてです。いったい何があったのでしょうか。
環境の変化が体調を変える
「昔からある左の凝りは、ボールペンのペン先で叩くほどつらかった」と以前おっしゃっていて、一時期は胼胝のように固まっていました。
しかしながら右側の凝りについては、ご本人も思い当るところがないようです。もしかしてと思い、患者さんがテレビをご覧になるとき位置関係をたずねてみると、以前のご自宅とは逆の方向になっていました。
他の患者さんからもよく聞くのですが、ご家族では食卓などで座る位置が決まっており、テレビに対して全員が正面から見ているわけではありません。
常に右(または左)を向いたまま長期間にわたりテレビをご覧になる方は意外に多いように思えます。
この患者さんは今回の引っ越しで、ご自分の部屋にテレビが入りました。
それから斜めの位置であったり、肘で頭を支えた状態でご覧になることが増えたそうです。
テレビの位置を正面に変更を提案し、それからは落ち着き始めました。
生活環境や習慣に変化があると、体にも影響がある顕著な事例でした。
今後も患者さんの生活背景をより具体的に把握できるよう努めていきたいと思います。