【文献】慢性の首の痛みへのアドバイスは 痛みや障害の減少に関係がありますか

【文献】慢性の首の痛みへのアドバイスは痛みや障害の減少に関係がありますか

慢性頚部痛患者のための鍼治療に伴う生活習慣とセルフケアランダム化比較試験を含む二次分析

Lifestyle Advice and Self-Care Integral to Acupuncture Treatment for Patients with Chronic Neck Pain: Secondary Analysis of Outcomes Within a Randomized Controlled Trial.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28253033
*自己学習も兼ねて鍼灸の海外論文を紹介する記事です。誤訳の可能性もありますので、原文での確認をお願いいたします。

背景

生活習慣に関するアドバイスは、鍼治療の不可欠な要素と広く考えられています。しかし、生活習慣のアドバイスとセルフケアが、長期的な効果を維持するために重要かどうかは不明です。

この論文では、慢性頸部痛患者に対し、鍼治療による観点からの生活上のアドバイス、セルフケアの中身と効果について臨床試験データをもとに、新しい2次分析で検討しています。

研究デザイン

12ヵ月間のフォローアップを伴う3治療群無作為化多施設臨床試験で、慢性頸部痛を呈した合計517人の患者が、鍼治療、アレキサンダーテクニック、または通常のケア単独と同じ割合で無作為化された。

方法

施術者は、鍼治療群患者に対して、診断および生活習慣アドバイスの含む治療内容を報告した。患者は、セルフケア、自己効力感、および生活習慣に関する側面、疼痛および障害のスコアを含む治療に関連する変数について、治療開始前、3ヵ月、,6ヵ月、12ヶ月の時点で報告した。
患者と施術者がアドバイスを理解し共同で取り組むことについてカイ2乗検定を用いて評価した。生活習慣のアドバイスと自己効力感のアウトカムへの効果を回帰モデルを用いて評価した。

結果

鍼治療に無作為化された患者の中で、最も多かった診断の枠組みは、139/160(87%)名の患者に対する五臓による診断方法でした。134/160(84%)名の患者に行った生活上のアドバイスは運動、リラックス、食事、休息、および仕事に関連したのものであった。食事、休息、および仕事では、患者の取り組みとの有意な一致が認められた。

さらに、鍼治療グループの患者は、学んだアドバイスを活用する能力を向上させ、自己効力感を高めた。次に、これらの特徴は、12ヶ月での疼痛および障害スコアの有意な低下と関連していた。

結論

鍼治療に関連するライフスタイルのアドバイスは、患者が自分の生活や介護方法を改善し、自己効力感や学習したことを使う能力を向上させました。これらの変化は、12カ月後の疼痛および障害の減少と関連していた。

読んでみて

報告でもあったように、食事、休息、仕事などに対するアドバイスは患者さんも取り組みやすいのか、患者さんとの間で相互理解があると良い結果がでていることが示唆されています。慢性的な頚部痛は生活に起因することも多いと思われますので、施術者側は患者さんの病態を丁寧に把握しすること、患者さん側もご自身の身体・生活を観察していただくことで相互に良好なコミュニケーションが図れます。単に鍼治療を受けられるよりもより早く回復に向かうことを日々実感しております。

「慢性の頚部痛に対して、運動、食事、仕事、休息に関する施術者側の適切なアドバイスは、患者さんの理解と取り組みによって痛みや障害の減少に関係がある可能性がある」

*1  Zang-Fu syndromes :中医学の五臓六腑に重きを置いた鍼灸の診断方法のひとつ(鍼灸では診たての方法が複数あります)2019.3.20更新

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