急性低音障害型感音難聴は、突然発症し、特に低音域の聴力が低下することが特徴です。
ガイドラインなどをもとに、この疾患の概要、当院の対応、鍼灸症例をご案内します。
1. 急性低音障害型感音難聴とは
急性低音障害型感音難聴は、内耳の異常により急激に発症する難聴で、特に低音域(125Hz、250Hz、500Hz)の聴力が低下します。
2. 症状
聴力低下: 低音域の音が聞こえにくくなります。
耳鳴り・耳の閉塞感・聴覚過敏などがあります。
めまいは原則ともなわない。(軽いめまい感があるときもある)
3.原因
急性低音障害型感音難聴は、内リンパ水腫が関与するとされています。
ストレスや疲労、睡眠不足などが発症を引き起こす要因として挙げられます。
これらの要因が複合的に作用することで、急激な聴力低下が生じると考えられています。
4.疫学
女性に多く,30代での発症が多い傾向です。
5. 診断
①聴力検査の結果
低音域の聴力低下:、125Hz、250Hz、500Hzの周波数において、聴力が低下していることが確認され、高音域の聴力は正常である必要があります。
②症状の急性発症: 突然の聴力低下の確認
③他の疾患との鑑別
突発性難聴やメニエール病など、他の類似の疾患との鑑別が重要です。
特に、急性低音障害型感音難聴は低音域のみが影響を受けるため、これらの疾患とは異なります。メニエール病に移行することがあるので、めまい、眼振が確認でき、反復する場合はメニエール病を疑います。
①②③の要素を総合的に評価することで、正確な診断が行われます。
6 .治療法
浸透圧利尿剤、ステロイド治療など
7. 予後
急性低音障害型感音難聴の予後は、治療のタイミングや重症度によって異なりますが
比較的良好とされており、治癒率は高いとされています。
治癒: 約70%から75%の患者が聴力が完全に回復します。
改善: 約5%から10%の患者が聴力が部分的に改善します。
不変または悪化: 残りの患者は聴力が変わらないか、悪化することがあります。
長期的には反復、再発が多いとの報告があります。
8.再発の可能性
急性低音障害型感音難聴は再発することがあり、特に内リンパ水腫が関与している場合、前述のようにメニエール病に移行するリスクもあります。
9.治療開始のタイミング
治療を発症後2週間以内に開始することで、回復の確率が高まるとされています。
早期の受診が予後を改善する重要な要因です。
当院では
- まずは耳鼻咽喉科を早期に受診しましょう!
- 聴力検査の結果(オージオグラム)やお薬手帳を拝見します
- 水分摂取、十分な睡眠、軽い運動、耳への負担軽減をすすめています
- 循環改善のための鍼灸施術(頸・肩・頭部を中心に)を行います。
- 経過観察の中で症状の悪化、めまいが出現したらメニエール病を疑い、耳鼻科の再受診を促します
- 発症から早期の方が鍼灸においても経過が良い印象です
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