帯状疱疹-鍼灸症例

帯状疱疹-鍼灸症例

帯状疱疹に対する鍼灸施術の一症例を紹介いたします。
帯状疱疹が鍼灸施術の対象になることは、一般の患者さんにはあまり知られていません。この症例の患者さんは、普段肩こりや、腰痛などが悪化することがないよう定期的に受診をされていました。入浴など温めて楽になったことから、お灸が帯状疱疹により効くのではと思い、当院に問い合わせをいただきました。

*下記症例は患者さん個人が特定されないよう、内容に変更を加えております。

帯状疱疹の鍼灸症例


患者
60代、男性

主訴
帯状疱疹による右背、右脇腹、右腹部の痛み、つっぱり、不快感

患者さんの考え
ゴルフのしすぎで疲れたのかもしれない、ピーク時の痛みはつらかったが、はやくゴルフを再開したい。

現病歴
18日前に、風邪のような症状があった。2日後、脇腹の皮膚に点々と発疹ができたので、病院が休みだったので自宅にあった薬を塗った。翌日、痛みがでたため、病院を受診、「帯状疱疹」と診断された。抗ウィルス薬と痛み止めの塗り薬を処方される。痛みは右背、右脇腹、右腹部の順に痛む。病院受診から2週間、抗ウィルス薬の処方(1週間分)も終わり、塗り薬と安静、温めるように指導され守ってきた。
現在は6割程度よくなっている。痛みは朝がもっともつらい。入浴すると楽になるが、まだ趣味のゴルフを再開する気になれない。食欲は正常、普段から服用している睡眠導入剤のせいか、睡眠には問題ない。

身体診察
第9.10.11胸椎付近から脇腹、腹部にかけて帯状にかさぶたが認められる。背部、脇腹に特に多くかさぶたが認められる。

治療方針
帯状疱疹による痛み、不快感などを減らし、ゴルフの再開ができるようにすること。病院も受診しており、6割ほど良くなられているため、1週間に1回で計4回の治療計画を組んだ。

施術とその経過

1回目
1寸3番鍼(30㎜)にて、第9.10.11胸椎夾脊穴から神経の走行、かさぶたの位置に沿って浅刺にて斜刺、置鍼15分。棒灸にて温め、抜鍼後、糸状灸を細かく行う。背部、脇腹、腹部も同様に行う。頸部、肩部は散鍼。全体の体力回復のため、脊柱に沿って、また腹部に箱灸を行う。

2回目(5日後)
かさぶたが薄くなり、範囲も半分ほどに減少。治療は前回同様

3回目(10日後)
腹部の痛み、不快感はない。
脇腹と肩甲骨下の背部のみ朝方痛みを感じるが以前ほどではない。日常生活にはほとんど支障はないが、着衣・脱衣時に服がすれると痛みを感じることがある。かさぶたの範囲は初診時の1/3程度。かさぶたがまだ少し目立つ脇腹を中心に糸状灸を細かく行う
他は前回同様。帯状疱疹の治療は神経の走行に沿って、鍼とお灸で治療を行っていきます。ご自宅ではせんねん灸などの台座灸や、置き鍼などを使っていただくこともあります。今回の症例では治療を重ねるたびに、痛みとともにかさぶたの範囲が目に見えてわかるくらい減っていきました。

最後に
帯状疱疹の発症からの日数や、程度などでその変化は様々です。

当院では帯状疱疹を疑った場合は、まずは病院への受診をお願いしています。

その理由は抗ウィルス薬は水疱ができる前、発症後48-72時間以内が効果が期待できるタイミングといわれているからです。

参考:
「帯状疱疹になったら最初にすること」

顔面部、特に眼科領域は専門医に診てもらうことが必要です。
鍼灸は適切な病院受診の後で大丈夫です

再発は全体の4%程度(参照:メルクマニュアル家庭版)と言われています。
当院でも2度帯状疱疹になった患者さんがおられたこともあり、高齢の患者さんには特に寒い時期にあまり無理をなさらないようにアドバイスしています。

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