埼玉県春日部市の鍼灸院 はり・きゅう はりも

〒344-0058 埼玉県春日部市栄町1-279
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頭痛

「緊張型頭痛」と鍼灸施術

緊張型頭痛

 

 

「緊張型頭痛」と鍼灸施術

 

 以前、別記事「頭痛の赤旗兆候」で頭痛の危険な兆候について書きました。

「突然発症の頭痛」「今までにない頭痛」「増悪する頭痛」の3つの兆候
あった場合は、鍼灸治療の適応ではなく、一刻も早く病院を受診してください
という内容でした。
鍼灸治療院に「頭痛」を訴えて来院される患者さんのほとんどが
「緊張型頭痛」です。
 
当院にお見えになる患者さんも「緊張型頭痛」の方が大半を占めています。
 
今回は「緊張性頭痛」と鍼灸症例をご案内いたします。
 

緊張型頭痛とは

「緊張型頭痛」はもっとも頻度の高い頭痛です。

痛みのタイプは「圧迫感」「しめつけ感」です。
「ストレス」や「過労」で悪化し、うつむき姿勢が頭痛を誘発します。
口、顎などの異常が関係する場合もあります。

家族歴はあまりありません。
痛む場所は、片側ではなく両側に多く見られます。

頻度は様々ですが、月に15日以上起こるかどうかが
「反復性」と「慢性」の基準の境目となります。

基本的に吐かず、光や音、臭いに敏感になりません。
「緊張型頭痛」の原因は上にも書きましたが、「うつむき姿勢」
そのひとつにあげられます。いわゆる首が前に伸ばされた姿勢です。
この姿勢が、首、肩、背中の緊張を強くします。
パソコンや、スマホはもちろん、同じ姿勢を長時間維持すると、
首に大きな負担となります。「運転」などもそれにあたります。
偶然かもしれませんが、当院は「運転」をメインとした職業の患者さんが非常に多いです。
「タクシー」「運送業」「トラック配送」「クレーン車」など、首への負担が大きいのだと思います。
 
*仕事による姿勢からの影響は大きいです。
 
 

緊張型頭痛に対する鍼灸施術

 

「緊張型頭痛」の方は、「後頭部」「側頭部」の頭痛を訴えられます。

同時に、「後頚部」「肩」「背中」のこり感もあります。
それらの部位にかかわる筋肉の「過緊張」を鍼灸で緩めていきます。

「腰痛」を同時に持っている方も多く、これは「頸椎」だけでなく
「胸椎」「腰椎」など広範囲に緊張が続き、
「脊柱」の生理的湾曲(S字カーブ)を崩した結果だと思われます。

関連部位も加え、「緊張型頭痛」と「腰痛」を再発
しないようにしていきます。

「緊張型頭痛」のメインの治療となる後頚部には、
手技よりも「鍼」のほうが筋緊張を浅部・深部共に緩めやすく、
効果も長持ちするように思えます。

治療中に緊張部位が減っていき、それでも残っている硬い部分に
ピンポイントでアプローチできる点は「鍼」の特徴のひとつです。

*緊張性頭痛は痛むところ以外からも影響を受けています。

 

緊張型頭痛の鍼灸症例

 
 症例①
患者:40代、女性
主訴:頭痛、首肩こり(腰痛もあり)
 
症状
普段から仕事のため、首・肩こりはある。家族にマッサージをしてもらうなどして
コントロールしているが、繁忙期や季節の変わり目に頭痛の頻度が増える。

後頭部、こめかみともにしめつけ感が強い。胃腸が弱い為、
頭痛薬を使いたくない。
 
飲食業で手元を見ながら立ちっぱなしで仕事をしている。
頭痛で寝込まない。嘔吐なし。臭い、光、音などに敏感にならない。
 
施術内容

初診時はもちろん、毎回「危険な頭痛」の兆候がないかを確認していますが、
「緊張型頭痛」で受診されている患者さんです。

仕事柄、首・肩・背中・腰に疲れがたまりますが、
普段は自分でストレッチや、家族からのマッサージで
コントロールされています。

それで難しい場合に当院を受診されています。

「頭痛」だけでなく、全身の緊張が強い為、細かく緊張部位の
確認をしながら、少しずつ緩めていきます。

首・肩だけの治療では再発が予想されるため、背部、腰部など
全身をうつぶせ、仰向け、横向けの姿勢で診ています。


肩甲骨周囲の緊張を取っていくと、後頚部の緊張がさらに取れていきます。
 
本来は予防的な施術が理想ですが、
現在は年数回の施術でコントロールできています。
 
 
症例②
患者:50代、男性
主訴:頭痛、首こり(腰痛あり)
 
症状
長年にわたる夜間の長距離運転。腰椎分離すべり症の既往などもあり、
若い頃から鍼灸にかかっていた。
あまりに頭痛がひどくなると運転に集中できない時もある。
軽度の糖尿病と高血圧がある。
 
施術内容
年齢や、既往歴に「頭痛」症状が加わり、「リスク」のある
患者さんだととらえています。
 
糖尿病と高血圧は服薬で管理されていますが、受診の際には
「血圧」を確認,
測定するようにしています。
 
頭痛の「危険な兆候」も確認しています。
 
また、患者さんからうかがっている病歴から、「緊張型頭痛」だと考え、
施術を行っています。
初診時は、首の緊張が強く、「鍼が入らない」ときもありましたが、
使う鍼を変更するなどの工夫により、施術直後に「頭痛」はいつも消失します。
 
首、腰の過緊張が進むと、仰向けになれないため、
「腰椎分離症」についても、加療しています。
 
この患者さんは春先にお見えになる傾向がありましたが、
繁忙期が原因だろうとおっしゃっていました。
 
 
最後に

今回は「緊張型頭痛」について、紹介いたしました。

「頭痛」には様々な種類があります。

「片頭痛」「群発頭痛」「帯状疱疹」「副鼻腔炎」「髄膜炎」
「側頭動脈炎」「三叉神経痛」「くも膜下出血」「慢性硬膜下血腫」

きっかけや、頭痛に伴う他の症状などの様々な病歴・検査で診断されます。
病歴の中でも、特に先に挙げた「危険な頭痛」の3徴候は
ぜひ覚えていただきたいと思います。

 
緊張型頭痛と鍼灸治療

 
 
 
 
 

「薬物乱用頭痛」と鍼灸

薬物乱用頭痛

 

「薬物乱用頭痛」と鍼灸

 

「薬物乱用頭痛」は月の半分以上で頭痛があり、薬を10日から15日以上、
3ヵ月を超えて服用し続けるて悪化する頭痛です。

つまり「薬の飲みすぎによる頭痛」です。

対応としては薬の中止、または減薬が基本となります。

そしてトリプタンなどの予防薬を使います。
1ヵ月に薬を服用する日を10日以内に減らすのが目標です。

薬の中止、減薬は医師の指導の下に治療していただきます。

鍼灸と日常生活の改善で頭痛の頻度・程度を減らし、減薬につなげていくのが
当院の方針です。

当院では、まれに「薬物乱用頭痛」と思われる患者さんがお見えになります。
「薬の飲みすぎ」には自覚的ですが、「薬によって悪化している」のを
気づかず「薬物乱用頭痛」という言葉をご存じない方もおられます。

 

*下記症例は患者さん個人が特定されないよう、内容に変更を加えております。

 

鍼灸施術症例

患者:50代、女性、毎日頭痛がある。

病歴

数年来、起床時から寝るときまで頭痛がある。
現在はイブ(市販薬)で対処しているが、効果はあるものの量が増えている。
1週間に1箱以上購入している。

痛むのは両側の後頭部で、側頭部はたまにつらくなる程度。
仕事のある日は起床時、午前中、お昼、夕方と4回にそれぞれ
2錠ずつ服用している。仕事のない日は3回となる。

夜間痛、嘔吐、めまい、耳鳴り、鼻症状、手足のしびれはない。
仕事を休むほどの痛みではない。痛みは進行もしてないが、緩解もしていない。
経験したことのない痛みではない。ズキズキする痛みの性状にかわりなはない。

仕事は事務をしている。頚・肩こりも慢性的にある。高血圧の薬と胃薬を服用している。

 

一般健康状態

喫煙:1箱弱/日 飲酒は嗜まない。運動は好きではない。
服薬:鎮痛薬(イブ)胃薬、高血圧の薬

食欲:一日の中でばらつきがある。
睡眠:問題なし 
排便・排尿:問題なし。

 

初診時の診断と根拠:「緊張型頭痛と薬物乱用頭痛」

急性ではなく、慢性である。性状に変化がなく、進行してない。
寝込むほどではなく、仕事ができる程度の頭痛であり、
頚肩部のこりが随伴しているため。また頭痛薬も効いている。
また、緊急性のある危険な頭痛ではないと判断した。

そして
①頭痛は1ヶ月に15日以上存在する
②薬物を、3ヶ月を超えて定期的に乱用している。
(単一成分の鎮痛薬を1ヶ月に15日以上服用している)
 以上から薬物乱用頭痛の可能性を考えた。

 

鑑別診断

  • 片頭痛:寝込むほどではない。痛む場所が合わない。
  • 群発性頭痛:決まった時期に集中しておきていない。疼痛部が合わない。
  • うつ病:睡眠に問題がない。仕事を休んでいない。

 

施術とその指標

鍼灸では「緊張型頭痛」に対してアプローチできる部位を行う。
同時に「薬物乱用頭痛」については、減薬にむけて医師からの指導を
受けていただくように少しずつ説明、提案する方針。

 

第1回
全てステンレス鍼40㎜18号を使用。上天柱、天柱、風池、C5、肩井、腎兪、
L3.4.5椎間関節、太陽、扶突に置鍼15分。
胸椎3.4.5棘突起間、百会に直接灸各3壮。
頚部のタオルを就寝時に巻くよう伝える。

 

第3回(9日目
「薬物乱用頭痛」の話をし、減薬について医師と相談するよう提案する、
「まだ薬をやめる気はない」とはっきりと言われる。

 

第4回(13日目)
薬を服用せずにいられる時間が伸びてきた。頭部の阿是穴に直接灸を加える。
薬物乱用頭痛の可能性も伝え、トリプタンなどの予防薬についてお話しする。

現在かかっている内科医に服用している市販の頭痛薬の頻度を伝えていただき、
医師の指導と予防薬の活用で、市販薬を減らすよう提案するが、
あまり受け入れられた感触がない。

 

症例のポイント

頭痛は緊張型頭痛と薬物乱用頭痛の可能性を考えました。
目的のひとつである「緊張型頭痛」に対する筋緊張の緩和は、
治療直後に確認でき、頭痛はありませんでした。

今回のように鍼灸治療ですこしずつ、頭痛の頻度を減らし、
結果的に服用間隔を伸ばしていった症例はいくつかあります。

しかしながら、いざ患者さんへの生活指導や医師の指導下での減薬を提案をすると、
あまり乗り気にならない患者さんは少なくありません。

患者さんが医師からの処方ではなく、市販薬を常用している点からも、
言いにくいことがあるのかもしれません。

鍼灸により頭痛を減らしながら、減薬につなげ、最終的には
日常生活の改善のみで頭痛が減らせるのが理想の流れです。

薬物乱用頭痛の患者さんに対する提案の見極めは難しい面があり、
わたしにとっても大きな課題となっています。