
夜尿症と鍼灸
夜泣きや、疳の虫とならんで、夜尿症にも良いらしいと
聞いたことがありました。
掲載されていることが多く、適応度が高いものという認識があります。
夜尿症診療ガイドライン
高校入学時もその3%が解消していないと記載があります。
診療においてもまだまだエビデンスは少なく、エビデンスよりも
推奨グレードを参考にするようにとあります。
「アラーム療法」が推奨される治療方法の柱になっています。
ぜひご覧になることをお勧めいたします。
「夜尿症診療ガイドライン 2016」
小児夜尿症と鍼灸治療の海外文献
いくつかの文献があります。
カウンセリングと鍼灸治療を10日連続行い、3か月毎に鍼治療を行った。
6か月後76%の改善率、1年後92%の改善率がみられた
treatment of persistent primary nocturnal enuresis.
デスモプレシン単独、鍼とデスモプレシン併用の3つのグループに分け、
3か月から6か月経過観察。併用群はより優位に改善、膀胱容量は
鍼治療群でのみ増加した。
desmopressin for treating resistant cases of monosymptomatic
nocturnal enuresis: a randomized comparative study.
6ヵ月後に評価を行い、65%の小児に改善が見られ、5人には
90%以上夜尿頻度が減少した。
また半分の小児に夜間覚醒の減少がみられた。
treatment of children with monosymptomatic nocturnal enuresis.
鍼治療を行い、膀胱容量が治療直後、2か月後に半数が改善。
夜尿日数において50%以上が軽減した。
Treatment of monosymptomatic nocturnal enuresis by acupuncture:
A preliminary study.
治療抵抗性(なかなか改善しない)の過活動膀胱には
電気治療をオプションとして提案しています。
どれも改善傾向のように思えます。
国内での文献
最近の報告は少ないようです。
足指温、下腹部温が低い患者の治療効果が低かった。
夜尿症児の体表所見と鍼灸治療の効果の検討
―恥骨上部の皮膚温と腫脹・緊張,および足指の皮膚温について―:
夜尿症と鍼灸治療
推奨されている「行動療法」「薬物療法」「アラーム療法」で
効果が乏しい患者さんにとっては鍼灸治療がひとつの選択肢になるかもしれません。
数年経過した方がほとんどです。
治療方法を確かめながら現在に至っています。
当院での鍼灸施術
年齢や、夜尿症の程度などから初診時に鍼を刺したり、
もぐさのお灸をすることはほとんどありません。
患者さんの緊張や、刺激量の見極めもあり、弱刺激から行っています。
微弱な電気機器(しびれたりしません)、電気の温灸器などを使い、
痛い、熱い思いもせず最後まで弱刺激で改善していく方がほとんどです。
経過をみながら、鍼をすることはもちろんございます。
治療部位は骨盤部、下肢、足部、腹部、背部などがメインです。
やはりお腹、足は冷えない方が経験的にも経過が良いです。
骨盤部は膀胱の神経もあり、解剖学的にも鍼灸治療に欠かせません。
足が冷えて、片足にむくみがあったり、肩や背中に緊張が強いと
いったような方が多く、そのような状態をなるべく減らしていくことが
夜尿症の改善につながると考えています。
その為に、患者さんには日常生活においてご協力いただくことはあります。
患者さんによって異なりますが、
- 就寝時以外はショートソックスではなく、くるぶしが隠れている靴下をはいていただく
- 過度にお腹を冷やす食べ物を就寝前に摂らない
- 睡眠のリズムを一定に
- 改善傾向の時に、一時的に悪化しても気にしすぎない
- あまり疲れすぎない
小児の夜尿症の方は、林間学校、修学旅行などの「宿泊行事」が
プレッシャーになることがあります。
少し余裕をもって受けられると良いでしょう。
「宿泊行事」の時に使用すると、違った環境でも安心して
行ってこられるようです。
取り入れていきたいと思います。