鍼灸院を舞台にしたミステリーのご紹介

鍼灸院を舞台にしたミステリーのご紹介

 
 いつもは症例の紹介や、治療院のご案内をしていますが、
今回は本の紹介です。

読書好きな方はご存知かと思いますが、
「このミステリーがすごい!」大賞、
通称「このミス」というすぐれたミステリーに
毎年贈られる賞があります。

今回紹介する「鷹野鍼灸院の事件簿」の著者、
乾緑郎さんは第9回の「このミス」受賞者です。

小説家であり、そして鍼灸学校を卒業された
鍼灸師の経歴をお持ちです。

2014年に「鷹野鍼灸院の事件簿」、
2016年に2冊目「鷹野鍼灸院の事件簿 謎に刺す鍼、心に点す灸」が
でていたのですが、わたしは全く知りませんでした。

今回、ふとしたきっかけで手に取ったところ、
2日程であっという間に読み終えてしまいました。

同じ鍼灸師だからわかるという点でも面白いのですが、
ミステリーとしても十分楽しむことができました。

1冊目の「鷹野鍼灸院の事件簿」は、助手として鷹野鍼灸院で働く
新米鍼灸師の主人公が様々な問題に向かっていく様子や、
鷹野院長の洞察力が光ります。

鍼灸や鍼灸業界に関わる現実感あふれる話も満載です。

2冊目の「謎に刺す鍼、心に点す灸」は1冊目よりも
ミステリー色が強くなっている気がします。

中でも鷹野院長の「鍼をするよりも大事なこと」に
ついてのくだりは、とても印象的でした。

2冊とも「ミステリー」という形をとりながら、
二人の主人公の発言、立ち振る舞いが
「忘れてはいけない鍼灸師のあり方」を教えてくれています。

鍼灸治療は決して「奇跡の治療」ではないこと。

鍼灸師は患者さんを中心に考えた時に東洋医学的な
知識だけでなく、西洋医学的な適切な知識をしっかりと
身につけておかないと、患者さんのその後を大きく
左右することがあるエピソードが心に残りました。


主人公たちの患者さんとの向き合い方に
共感できる点が多々ありました。

書きたいことはたくさんありますが、これから読まれるかも
しれない方のためにとっておきます。

鍼灸治療の方法は、鍼灸師によって様々です。鍼灸の世界に
触れたことのない方にとっては、この小説でその一端を
垣間見れるかもしれません。

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