肘の痛み(野球肘)-背中や肩甲骨も見ましょう

 

肘の痛み(野球肘)と胸椎・肩甲骨の関係

肘の痛み、投球時・投球後に多い「野球肘」を訴える方は時折お見えになります。
原因としては、練習量過多、成長による身長と体重の急激な増加だけでなく、間接的には通学時の荷物の重さなども考えられます。

そして肘そのものの問題だけでなく、肘の痛みにつながる他の要素も検討する必要があります。具体的には肩甲骨・背中(胸椎)など体の中心に近い部分の柔軟性の低下があげられます。
痛みのある肘そのものだけでなく、胸椎などからの関連を通じた症例をご案内いたします。

*下記症例は患者さん個人が特定されないよう、内容に変更を加えております


肘(野球肘)の痛みと鍼灸施術の一症例

患者 13歳、男性
主訴 野球による右肘の痛み 

病歴
 3か月前から右肘の内側、外側とも痛みがある。 ひどいときは、上腕外側、前腕外側にも痛みがでる。投球後に多く、投球後のバッティングでも痛む。しびれはない。 

首の動きで誘発しない。窓ふきや、雑巾しぼり、ドアノブなどの動作ぐらいでは痛まない。整形外科ではレントゲンなどから「野球肘」と診断、安静を指示され、湿布を処方された。

身長や体重がこの1年でかなり増えている。  

所見
 右肩甲骨外転・右肩関節外旋位・背部の緊張強く、左右差(右>左)あり。
右肩峰が前方に位置。肘を中心に前腕、上腕に強いむくみがみとめられ、外側・内側上顆中心に圧痛多数。

上腕二頭筋長頭腱の緊張も強い。胸椎・肩甲骨の動作を確認するが左右共に動きに制限が多い。
睡眠・食欲などに問題はない。アイシング・ストレッチなどはあまりしていなかった。  

初診時の方針と治療内容
 初診時は特に背部(胸椎)、肩甲骨、肩関節、肘の関係に注目した。胸椎、肩甲骨周囲の緊張を温熱器具と手技で緩め、可動性を出す動きを加えた。

肘、上腕、前腕のむくみをとり、最後に残った外側上顆付近の圧痛、
上腕三頭筋の緊張を鍼で単刺。ピッチング動作を治療前後に行い、
痛みの軽減を確認しました。 

自宅でのアイシングと、胸椎、肩甲骨を中心としたエクササイズの方法を一緒に確認して終了。

まとめ:身体の中心である胸椎や肩甲骨の可動性は大切

背中・肩甲骨周辺の柔軟性が失われると、体全体ではなく、腕を中心にボールを投げてしまいます。そうすると肘や手首、肩に負担がかかります。 身体の軸となる部分が機能していないと、練習を続けるほど疲労や、フォームが崩れ、ますます末端である肘などに影響があります。 

後日お渡ししたエクササイズの内容は「胸椎」「肩甲骨」でけでなく、
「胸郭」を形成する「肋骨」周囲のものも入れました。 
エクササイズ前後に、腕を回してみたり、投球動作をしてみるなどして身体の感覚を確認するのが大切です。

そしてゆっくりと正しい動きを鏡で見るなどして体に覚えこむように。正しい姿勢でできているかどうかがポイントになるかと思います。 さらに動きやすさや、スムーズ感なども評価してみましょう。

  最初に述べた子供の荷物の重さはテレビでも問題になっていました。背中への負担のひとつだとおもいます。最近は子供の背中・肩の緊張に驚かされます。健康問題であり、社会問題でもありますね。 

スマホなどは姿勢への影響もありますが、エクササイズの内容をpdfでお渡ししやすい点もあるので、助かる面もあります。 子供だけでなく、大人も背中が硬い方が多いです。

私自身も手先を使う仕事のため、影響がでないようにエクササイズをしてメンテナンスしています。 

関連記事

PAGE TOP