患者さんが話す病歴が大切です

患者さんが話す病歴が大切です

鍼灸師は患者さんがお見えになった時、その問題を解決するために様々なことをたずねます。「病歴」は患者さんの病の歴史です。どのようなきっかけで病気が始まり、受診にいたるまでのあらゆることを指します。
「病歴」を丁寧に聴くことのメリットは患者さんと医療職双方にあります。

患者さんの痛みの表現とその理解がもたらすメリット


患者さんが話す病歴の大切さを示す新聞記事が以前にありました。
その中では、

  • 痛みの様子を表現するのにズキズキ、ガンガンといった擬態語を患者さん自身が無意識に 疾患別に使い分けている
  • 擬態語を使うと、患者さん自身が上手く伝えられ、医療者に理解をされたと実感できる
  • その結果、医療者-患者さんのコミュニケーションに良い影響があり、安心感がもたらせられる可能性がある


この報告から、患者さんの痛み表現と医療者による理解が、診断やコミュニケーション、患者さんの満足度に貢献すると考えられます。
この痛み表現は、「患者さん自身が話す病歴」ではじめて医療者に伝わります。
どんな検査機器も、身体診察もこの表現を把握することはできません。
医療者が引き出して、患者さんが話してくれてはじめて明らかになります。

もちろん痛みの性状だけでなく、場所、どうしたら痛みが強くなるか、軽くなるか、強くなっているか、弱くなっているか、痛みに伴う他の症状があるのかどうかなど聞くべきことはたくさんあります。
総合的に判断するためにもやはり患者さんが話す内容、表現は非常に重要だと日々実感しています。

患者さんが話す病歴が診断精度をあげる


また違う研究では画像診断や血液検査などの検査ではなく、
「患者さんが話す病歴でその病気の診断の8割が可能」といった報告があります。
「患者さんが話す病歴」によって、医療者-患者間のコミュニケーションの満足度が上がり、診断の精度にも貢献している点が、大切である理由となります。

わたしたち鍼灸師は、患者さんの状態を把握するために、様々な手段・方法を用いてきました。古くから、東洋医学特有の手段である「脈診」(脈をみる診断方法)、「腹診」(お腹をみる診断方法)などが発展してきました。
これらの手段のメリットもある一方で、鍼灸師によって判断が異なる点があります。

また、鍼灸師側から患者さんを一方的に診る手段でもあります。
しかしながら、「患者さんが話す病歴」を聴く行為は患者さんと双方向の作業であり、
上記のようなメリットがあります。
患者さんから病歴をうまく引き出し、病態把握や診断に生かすことが良い施術につながると考えています。

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