腰痛患者の骨折と悪性腫瘍をスクリーニングするための赤旗兆候

腰痛患者の骨折と悪性腫瘍をスクリーニングするための赤旗兆候

日常病である「腰痛」の中には、まれに重篤な病気が隠れていることがあります。
当院でも最も多い訴えは「腰痛」です。「腰痛」ひとつとっても、原因は複数あります。

まずは重篤な原因がないかを確認してから、鍼灸施術にうつります。
そのためには「赤旗兆候」を知っておかなくてはなりません。

以前の記事「安静時痛と進行する痛み」で紹介した「赤旗兆候」、
危険な腰痛が潜んでいないかを問診で確認するための質問事項があります。

ここで、危険な腰痛の「赤旗兆候」についての研究を紹介します。
(下記原文へのリンクです)
Red flags to screen  for malignancy and fracture in patients with low back pain : systematic review

この研究では、年齢や性別,BMIや下肢の痛みなど様々な53の項目を14の研究を通じて、「骨折」や「悪性腫瘍」の「赤旗兆候」にはどういったものがあるか報告されています。

つまり「腰痛」をもった患者さんが、どういった要素を持っていると「骨折」や「悪性腫瘍」を疑った方がいいかを教えてくれています。特に骨折においては以下の項目が危険な要素となり、さらにこの要素が複数重なると骨折による腰痛の確率が高くなります。

  • 高齢
  • ステロイドの長期使用
  • 重篤な外傷
  • 打撲、擦過傷

年齢、受診歴、服薬歴、既往歴、外傷の有無を確認する必要があります。

また脊椎の悪性腫瘍においては

  • 「悪性腫瘍の既往」が最も危険な要素となります。

つまり「既往歴」は必ず確認する必要があります。
どれも患者さんに聞く「問診」で確認できます。

この研究では以上の要素が特に危険な赤旗兆候として報告されていますが、「夜間痛」「原因不明の体重減少」などここでは挙げられていない危険な病歴は複数あります。

初診時、または経過観察時に見落とすことなく鍼灸適応の是非、医療機関への紹介など
適切な判断をするために、今回のような研究報告は貴重な情報だと思います。

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