[文献]過活動膀胱の症状緩和のための灸の有効性と安全性

[文献]過活動膀胱の症状緩和のための灸の有効性と安全性:
ランダム化クロスオーバーパイロット試験

Effectiveness and safety of moxibustion for alleviating symptoms of overactive bladder:
A prospective, randomized controlled, crossover-design, pilot study.


*自己学習も兼ねて、鍼灸の海外文献を紹介する記事です。
誤訳の可能性もありますので、原文での確認をお願いいたします

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30142847

[背景]

この研究は、試験の実現可能性を評価し、過活動膀胱(OAB)の治療に
おけるお灸の潜在的な有効性および安全性を探ることを目的とした。

[方法]

ランダム化、クロスオーバー、アセスメント・ブラインドデザインが用いられた

本研究は、韓国の大学病院の外来部で実施された。研究期間は8週間であった。
参加者はグループAまたはグループBのいずれかに無作為に割り当てられた。

グループAの参加者は、最初の4週間に行動訓練と8〜12回の灸を受け、
グループBの参加者は行動訓練のみを受けた。

次の4週間にわたって、2つの群に与えられた治療は逆転された。
(グループAの参加者は行動訓練のみを受け、一方、
グループBの参加者は行動訓練との灸を受けた)

結果を評価するために、OABで検証された8つの質問の認識ツール(OAB-V8)、
OABの症状スコア(OABSS)、下部尿路症状の視覚アナログスケール(VAS)
および頻度排尿チャートを使用した。

分析のために、 Hedge’s g*¹として測定された効果量、群間差を示す結果を提示した。

[結果] 

グループBと比較して、グループAの前半4週間の効果量は、
OAB-V8*²が-0.248,OABSS*³が-1.531、VASが-0.713であった

後半の4週間では、グループBは、A群と比較して、
それぞれOAB-V8が 0.465、OABSSが1.207, VASが0.427であった。

お灸をすることで、夜間の排尿量は減少(g = -0965) 、
平均排尿量(g = 0.690)は増加、
排尿頻度(g = -0.498)が低下した。

[結論]

灸は過活動膀胱に対する代替手段としてと考えられるかもしれない。
フルサイズのランダム化比較試験は、アウトカム測定値と比較母集団に
おける最小限の調整で実行可能であり得る。

 

[読んでみて]

「関元」「三陰交」「太衝」の3つのツボに間接灸を行っています。

文中の「行動訓練」とは「排尿と膀胱の定期的なトレーニング
(トイレへ行く間隔を徐々に増やす)に関する指示、
コーヒー、紅茶、アルコール、ソーダ、人工甘味料、チョコレート、
スパイシーな食品を避けることを示しています。

この研究はパイロット研究であり、参加者が全員女性であること、
プラセボの可能性を完全に除外できていないことなどが研究の
限界として示されています。

将来のランダム化比較試験のベースラインとなるデータという
位置づけとなっています。

*1 Hedge’s g:効果量を示す指標

*2 OAB-V8:8項目過活動膀胱アンケート

*3 OABSS:過活動膀胱チェックシート

せんねん灸

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