腕のしびれ(胸郭出口症候群):電気ていしんを使った症例

 

腕のしびれ(胸郭出口症候群):電気ていしんを使った症例

 

鍼灸院である当院にお見えになる方でも、「なるべく鍼をしないでほしい」「鍼が怖い」とおっしゃられることがあります。
治療後にはおもったほどの刺激ではなかったと言われることがほとんどなのですが、
患者さんの様々な負担を少なくする必要があります。

少しずつではありますが、「電気ていしん」の活用で治療内容の幅を広げて行きたいと思っています。 
「電気ていしん」は患者さんの自覚する刺激感はかなり低いです。
使い方にもよりますが、ご家庭の低周波治療器よりも低い電圧を使って施術にあたっています。

*この症例は患者さん個人が特定されないよう、内容に変更を加えております。 

腕のしびれの電気ていしん症例

患者:60代、男性
主訴:左肩甲骨、腕のしびれ

現病歴
1か月前から左肩甲骨内側にしびれが出始めた。現在は左腕、前腕の外側にしびれを感じる。指は明確な場所はわからないが、全体的にぼわーっとした感じがある。左肩甲骨の内側上部に痛みを感じる。頸肩こりは常にある。

買い物袋を下げた時に症状が出たり、悪化することはない。運転の仕事をしているが、1時間に数回しびれが起こる。ハンドルを握っていると左腕の重だるさを感じる。運転に支障があるので、少し休みをもらっている。

左肘を枕にした横向き姿勢で休むことが多かったが、いまはつらくてしていない。腕は上にあげることができる。就寝中に痛みはない。20年前に交通事故で左から右にかけて衝突されるが、後遺症は特にない。

寝違いで1年前に整形外科に行ったことがある。血圧は服薬でコントロール。
循環器系の既往はない。 

身体診察
ルーステスト(+)、左後頸部・側頸部の緊張が強い。肘・手首圧迫によるしびれの増悪はない。腕橈骨筋に強圧痛あり。

 鑑別疾患
・肩関節疾患:しびれがあり、上肢拳上可のため除外
・胸郭出口症候群牽引型:買い物袋を持つなどの上肢下垂位で悪化しないため除外
・頸椎症性神経根症:上肢のだるさなどはないが、左上側臥位などの頸部圧迫姿位などもあるため、合併も考慮。 

診断
「胸郭出口症候群圧迫型」:上肢の重だるさ、ハンドルを持つときの中間姿位、ルーステスト(+)などから判断。ダブルクラッシュは身体診察から現時点では考えにくい。 


施術とその経過

初診
腹臥位にて、第4.5.6頸椎椎間関節、風池、天柱に40㎜-18号で置鍼10分。硬結残存部位を旋捻、雀琢。側臥位にて、「電気ていしん」後頸部、肩上部に0.03mA-1.1Hzにて10分。
仰臥位にて扶突に置鍼10分。治療回数を3-4回の見込みと説明。肘枕で休むことは避けていただく。

 2診(7日目)
左後頸部、側頸部の緊張がまだ強い。しびれはまだ残っている。施術は前回同様。

 3診(14日目)
前回治療後少しだるさがあったとのこと。鍼の数を減らして、「電気ていしん」中心の治療に切り替える。後頸部の硬い部分をひとつずつ柔らかくなるのを確認して、

軽く手でマッサージを加えると大きく変化あり。側頸部の扶突は15分置鍼。 

4診(21日目)
しびれが大幅に減り、運転が気にならないようになる。後頸部の「電気ていしん」を先に行い残存部位のみ鍼で旋捻、雀琢、軽いマッサージ。 21日間、治療回数4回、特に3回目以降症状が落ち着きました。上肢のしびれとして、経過は妥当だと思われます。

後半は電気ていしんを中心とした治療に変更したことで、鍼の数を少なくすることができ、患者さんの負担も減らせました。
電気ていしんは、体の中に刺すことなく、皮膚、筋肉、血管などにアプローチでき、循環改善に効果的です。鍼に抵抗のある患者さんもおられため、当院の新たな手段としてこれから活用範囲を広げていきます。

通常の鍼と電気ていしん、お灸、手技をうまく使い分けて、患者さんの症状改善をより早く、負担の少ない治療内容に日々刷新していきたいと考えております。 

2019.6 現在の電気ていしんの使用について

この報告をかいてから2年と少しが過ぎましたが、現在では電気ていしんは当院の施術で欠かせないものになりました。それによって、2年前のこの症例についても、現在ではアプローチ方法が変わっています。

患者さんの負担を減らすだけでなく、鍼灸だけでは難しかった症状や、鍼と併用することでより問題点が明確になるなど「浮腫み」を中心に活用の幅が広がっております。

 

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