埼玉県春日部市の鍼灸院 はり・きゅう はりも

〒344-0058 埼玉県春日部市栄町1-279
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めまい

「良性発作性頭位めまい症」の鍼灸症例

良性発作性頭位めまい症



「良性発作性頭位めまい症」の鍼灸症例

 

 「めまい」の中で、最も頻度が高い
「良性発作性頭位めまい症」があります。

「めまい」は原因が様々で耳、脳、心臓、血管、
頚、心因など多岐にわたります。

めまいの特徴、持続時間、それに伴う他の症状、
検査などから多角的に鑑別する必要がある症状です。

鍼灸院に「めまい」を訴えて来院される患者さんは
先に、病院を受診され、診断が出ていることがほとんどです。

しかしながら病院を受診されてない場合や急を要する内容が
確認できた時は、すぐに病院を受診していただいています。

ここでは「良性発作性頭位めまい症」の鍼灸症例と論文を
ご紹介いたします。

 
 
 
*この症例は患者さん個人が特定されないよう内容に変更を加えております。
(すでに耳鼻咽喉科で「良性発作性頭位めまい症」と診断されています)
 

良性発作性頭位めまい症:鍼灸症例(外来)

 
患者:60代、女性
 
受診動機

「良性発作性頭位めまい症」と診断され服薬しているが、
今回のめまいに関してはあまり効果がなかったことから当院を受診
 
病歴
 
半年前に頭がフラフラし、耳鼻咽喉科を受診ししたところ
「良性発作性頭位めまい症」と診断された。
 
3週間の服薬の後、症状はおさまった。
その際に、脳のMRIなども撮影し、血管などは正常と伝えられる。
 
3週間前に頭がフラフラしたため、今回も耳鼻咽喉科を受診し、
「良性発作性頭位めまい症」と診断される。
 
処方されている薬(メリストロン・苓桂朮甘湯)を2週間以上
服用しているが、今回はあまり効果がない。
 
起床時に数秒間のふらふらがあり、右に振り返る動作でフラフラする。
安静にしていると症状はない。
 
随伴症状は右の首がこる。慢性的に頭重感があり、趣味の手芸を集中的にすると
目の疲れとともにひどくなることがある。耳鳴り、難聴などはない。
手足のしびれ、麻痺などはない。嘔気、嘔吐もない。
 
食欲は正常。睡眠は、1,2回目が覚める。発熱なし。体重の増減なし。
既往歴なし  
血圧:130/70
 
 
身体診察
 
・右後頚部・側頚部、右肩上部の緊張が左より強い
 
 
鑑別診断

医師の診断もでており、患者さんの病歴も「良性発作性頭位めまい症」を
強く裏付けている。
 

「良性発作性頭位めまい症」

・めまいの持続時間が数秒
・頭の動きでめまいが誘発されること
・聴覚症状がないこと
・起床時のめまいがあること
・頭痛はめまい発症以前からのもので普段より強いものではなく、突発でもない。
 
また、「メニエール病」「前庭神経炎」などは聴覚症状がないことや、
めまいの持続時間が患者さんの症状と
合わないことから除外できる。
 
初診時からの経過

病院を受診していること、危険な兆候がないことから鍼灸を行うことにした。
 
第1回
 
腹臥位にて、後頚部に40㎜-18号のステンレス鍼にで10分置鍼。
右上側臥位にて右僧帽筋、頚板状筋、頭板状筋、肩甲挙筋に
電気ていしんを行う。仰臥位に胸鎖乳突筋に置鍼15分。

治療後、自宅にて背部、頚部のストレッチを行ってもらうようにする。
 
 
第2回(5日目)
 
めまい症状は消失。右の後頭部が重いが、普段からある頭重感で仕事や
趣味で肩こりが悪化するとでてくるとのこと。緊張性頭痛と考え加療した。

めまいに関しては症状消失のため、終了となりました。

半年前の最初のめまいは、服薬で良くなりましたが、今回の2回目のめまいは
服薬では寛解とまではいかなかったことから当院を受診されました。


当初1ヵ月で3.4回の治療を考えていましたが、今回の患者さんは
比較的早い症状消失でした。

めまいの患者さんは首、肩に強い緊張があります。
頭位めまい症に対しては投薬やエプレイ法という三半規管にできた
耳石を外にだす方法があります。

鍼灸院ではそれらの施術が終わった後に、
「だいぶよくはなっているんだけど、まだめまいが残っている」と
言った方がお見えになることが多いように思えます。

病院では特に問題ありませんと言われながらもめまい症状が残る方は
首、肩の緊張を緩和することで良くなられる方がおられます。

ご参考になれば幸いです。
 
 
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「良性発作性頭位めまい症」の鍼灸論文 (2018.10.22 追記)

「良性発作性頭位めまい症」はときおり鍼灸院で遭遇する疾患の割に、
鍼灸の海外論文はあまり見当たりません。

病院で使われるepley法という理学療法との組み合わせによる報告があります。

Clinical observation of post semicircular canal benign paroxysmal positional vertigo treated with acupuncture at dizzy auditory region plus modified Epley

後半規管型BPPVに対して修正epley法のみと修正epley法に
聴覚領域への鍼治療を加えた効果の比較

67人の患者を37の観察群、30人のコントロール群にランダムに分け、
修正
epley法は両群に使用。鍼は「百会」「太陽」を使用。

1日1回の治療を6日間行う。治療前後で両群の症状スコアを観察した。
 
観察群の有効率は91.9%で、コントロール群の83.3%を上回ったが
統計的有意差はない。

症状スコアは2群とも改善、後半規管型BPPVに対しては
修正epley法だけよりも修正epley法と聴覚領域への鍼治療を
加えたほうがすぐれていると結論づけている。

これは中国の報告ですが、epley法と鍼治療を併用する環境は
あまり国内では少ないように思えます。

 
 
 
 

めまいの鍼灸症例(往診症例)

めまい

めまいの鍼灸症例(往診症例)

「めまい」と「腰痛」のため、動けず「往診」にて拝見いたしました。

「めまい」は「不安感」のとても強い症状です。
医療機関で診断されていることはもちろんですが、鍼灸師も病歴で確認、判断する必要があります。

 

*下記症例は患者さん個人が特定されないよう、内容に変更を加えております。

 

往診症例

患者 70代、女性

主訴

めまい・腰痛 
めまいと腰痛で動けないので困っている。
体調が悪い家族との二人暮らしのため、介護と家事ができないと困る。

 

病歴

4日ほど前に台所にたったところ、急にめまいがして転倒。
転倒した時に腰を打ち、腰痛がある。救急車で近隣の総合病院を受診、
良性発作性頭位めまい症(BPPV)と診断される。

腰はレントゲンなどで骨には異常がないと診断されたが、痛みは強い。
処方された湿布、痛みどめでは腰痛はあまり良くならない。

立ち上がろうとすると、腰は痛く、めまいがあるため起き上がれない。
寝返りをしようとするとめまいがでる。30秒ほどでおさまるが、
首を動かそうとすると、めまいがでる。

ずっと寝ていても腰が痛く、動こうとするとめまいがでてしまい、
困っている。難聴、耳鳴りはない。手足のしびれはなし、頭痛なし。

めまいへの不安はあるが、気持ち悪さ、吐いたりなどはしていない。
物が二重に見えることはない。

今まで大きな病気はしたことがなく、健康診断でも問題がない。
発熱なし、食欲はあまりない。夜は腰が痛くあまり眠れない。

 

アセスメント

医療機関で「良性発作性頭位めまい症」と診断されていること。

寝返りなどの頭の動きでめまいが誘発されること。
めまい発作時間が30秒ほどで、耳症状がないこと。
また中枢性のめまいを疑う病歴がないことから、
「良性発作性頭位めまい症」の可能性が高いと判断した。

腰痛は、骨に異常がないことから転倒による骨折はないと考えた。

 

施術方針

めまいと腰の痛みにより体を動かすことができず、生活に支障がでている。
まずは椅子に座れること、次に立ってトイレに行けること、
元の日常生活に戻ることを最終目標として往診にて施術することを確認した。

 

経過

1回目(初診)  
横向き(側臥位)で頸周囲、腰に軽めの鍼治療を行う(初診のため)。

めまいは不安が強いが、日ごとによくなっていくことを伝える。

2回目(3日目) 
立つことはできたが、歩くのはまだ不安があるため、
トイレは這って行っている。


食事はめまいが怖く、寝たまますませた。
夜間寝返りでの腰の痛みはない。

3回目(5日目) 
トイレに歩いて行くことができた。めまいはあと3割程度。
腰の痛みはほぼない。

4回目(7日目) ゴミ捨てに行くことができた。
今まで寝ていることが多かったため、

スーパーまで行くのは不安がある。

5回目(10日目) この2日間でスーパーに行くことができた。
ようやく家事、介護ができそうとのこと。
施術を終了する。

 

日ごとに症状が軽減されていったため、施術内容は
初診時から大きく変えていません。

腰は骨折がなかったため、転倒による炎症が鍼施術や、
時間の経過により軽減されていったと考えています。

めまいは「痛み・しびれ」とは違い、「また倒れるのではないかという不安」
「頭の病気ではないかという不安」
があります。

 

医療機関で診察を受けていること、また危険な兆候がないことを
当院でもしっかりと再度確認することで、患者さんに
「治っていくめまい」であることをお伝えすることができます。

徐々によくなっていくことを実感することで不安も減っていきます。

 

この患者さんはめまいで転倒される前に、介護や
家事による睡眠不足・ストレスなどがありました。

福祉、介護職との方々とも介護体制について再度
お話をしていただくようにいたしました。

 

 

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鍼灸院での「めまい」は危険な兆候の除外から

めまいは危険な兆候の除外から

 

「めまい」について

鍼灸院では「めまい」を訴える患者さんが少なくありません。
「めまい」の原因疾患は本当にたくさんあります。

鍼灸院を訪れるほとんどの患者さんは、
既に医療機関で検査や治療を終えています。

それでも、当院では最初に「手や、顔のしびれ」「嘔吐」「耳鳴りや難聴」
「経験のない頭痛」など危険な兆候がないかを再確認するところから、
はじめます。

 

まず「めまい」の危険な兆候を確認します

鍼灸院で大切なのは、治療をする前に見逃してはいけない
危険な兆候「レッドフラッグ」の確認です。

生命にかかわる病気が「めまい」の背景にあるかもしれないからです。

病院の受診歴にかかわらず、「めまい」に伴い下記の兆候を確認した場合は、
鍼灸施術をする前に病院での精査をお願いしています。

 

  • 呂律がまわらない(うまくしゃべれない)
  • 物が二重に見える
  • 手足や顔がしびれたり、うごかしにくい
  • うまく立てず、歩けない
  • 強い頭痛、だんだんひどくなっていく頭痛がある
  • 気持ち悪さ(悪心)が強く、吐いてしまう

 


さらに、高齢、高血圧、糖尿病、心臓や動脈の病気を持つ方、
喫煙歴のある方には病院への受診を勧めています。

脳や心臓の病気が原因で「めまい」がおこっている可能性が考えられるからです。

また薬の副作用などで「めまい」がある患者さんもおられます。
「薬を飲み始めた」「薬が変わった」「薬の量が増えた」などの
病歴があれば、原因の一つとして考えられます。

 

鍼灸施術の対象と特徴

「めまい」を訴え、病院での精査も終え、危険な兆候もない方が
鍼灸施術の対象となります。

睡眠不足、過労、ストレス、目を酷使する背景をお持ちで、
首肩に強い緊張や精神的な不安を抱えている方が多い印象です。

 

先日、定期的に参加している勉強会のテーマは、「浮遊感」でした。
患者さんが表現する「浮遊感」を正確に理解し、鍼灸施術ではどのような
アプローチをしていくかがポイントでした。

「浮遊感」を訴える患者さんは、生活状況の中でも特にパソコンの使用や、
最近ではスマートフォンの長時間の利用などもあり、ほとんどの患者さんに
「強い首肩こり」がみられる点が共通の見解でした。

さらに「強い首肩こり」に対する自覚があまりない患者さんが多い
傾向があるといった報告もありました。

 

参加者全員が首・肩にアプローチする方針でしたが、他には首・肩以外にも
下肢のバランスを重視して症状が改善したケースや、日常生活では睡眠状況、
めがねの調整など多角的な視点で症状をみる必要があると改めて実感いたしました。

「めまい」や「浮遊感」は「痛み」はないのですが、不安を引き起こす症状です。

鍼灸適応の有無をしっかりと見極めたうえで、少しでも鍼灸施術が
お役にたてればと思っています。

 

「めまい」に対する鍼灸施術

首肩の緊張は、自律神経の圧迫につながり、目や耳などの
首から上の頭部への血流障害を誘発します。

首肩を中心に治療を行い、患者さんそれぞれの状態に応じた
ツボにはり・お灸をいたします。

 たとえば、パソコンの画面を見るのに目を酷使しますが、
時間が経つにつれて、疲労が強くなり
姿勢が前かがみになります。すると背部への緊張につながります。

またキーボードのタイピングなどで指を使うと、手首、肘、
肩、首と動きの連鎖で間接的に首、肩に負担がかかっていきます。

それらを踏まえて、首、肩以外にも治療をいたします。

そして、患者さんが元々持っている体質に応じたツボを選び、
手足や背部も治療対象となります。

首肩の緊張が取れるだけでもずいぶん楽になるようです。
少しずつ症状が軽減していくにつれ、「めまい」特有の
不安感も減っていきます。

 

「めまい」をなるべくおこさないように注意しよう

生命にかかわらない末梢性の「めまい」(脳などが原因ではないもの)でも
症状は激しく、トイレにもたてない時があります。

また、急な気温や気圧の変化などがあると、めまい患者さんの
救急車による搬送が多くなると、以前に看護師さんから教えていただきました。

首、肩への負担をさけ、睡眠不足や過労に注意しておくことは、
経験からも「めまい」予防につながると思います。

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