埼玉県春日部市の鍼灸院 はり・きゅう はりも

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新しいめまい「PPPD」と診断がつかない「めまい症」

新しいめまい「PPPD」と診断がつかない「めまい症」

新しいめまい「PPPD」と診断がつかない「めまい症」

先日、NHKのテレビ番組「チョイス」で「めまい」の特集をしていました。

そこで「PPPD」という言葉を初めて目にしました。

「Persistent Postural Perceptual Dizziness, PPPD」
日本語にすると「持続性知覚性姿勢誘発めまい」といいます。

「PPPD」が生まれた背景には、診断がつかない「めまい」があります。

まだ新しい「めまい」の概念ですが、患者さんや鍼灸師にも関係のある内容と
思われました。

参考資料の内容を通じて、一部紹介いたします。

「PPPD」の背景

日本では「めまい」を16種類の病気に分けて診断しています。

この16の「めまい」の診断基準に合わないものを「めまい症」としています。

「めまい症」は診断がついてない「めまい」の為、治療法がなく、場合によっては
「気のせい」「年のせい」とされることがあるようです。

さらに「めまい症」は「めまい」全体の20-25%あるといわれ、かなりの割合となります。

このように、患者さんも医療者も、治療方法がないことに困っていた現状がありました。

そして、国際的にも診断がつかない「めまい」が多く、以下の4つの「めまい」を
まとめる作業から、「PPPD」という新しい「めまい」が生まれています。

①恐怖性めまい 
②視覚刺激によるめまい 
③持続性のめまい 
④運動により誘発されるめまい

今後は「めまい症」の中で「PPPD」が占める可能性が高いとされ、注目されています。

「PPPD」の症状と特徴

・急性のめまいから、慢性の持続性のめまいに移行したものである。

・「PPPD」に先行して、急性のめまいである「BPPV(良性発作性頭位めまい症)」や
「前庭神経炎」などがあり、パニック発作や、心因が先行することもあります。

・立位、体動、視覚刺激による症状の誘発が見られる。

・他の前庭疾患や精神疾患を合併する場合もあるが、それらの疾患のみでは説明できない。

・不安症やうつの合併がある

日常的な悪化要因

[視覚]

・スーパーなどの陳列棚を見る
・テレビ・映画などの映像
・スマホ・パソコンでの動画、スクロール
・本などの細かい文字


[体動]

・急に立ち上がる、振り向く
・乗り物に乗る
・家事などの軽い運動、作業
・エスカレーター・エレベーターにのる

[立位]

支えのない状態で立つ歩く(普段通り・速い速度)
背もたれ・ひじ掛けのない椅子に座る

以上のような日常にある刺激で悪化することがわかっています。

「PPPD」の診断基準

「PPPD」の診断は「問診」によって行われます。

検査では特徴的な所見は現時点ではみられないとされています。
よって「問診」が重要となります。

「PPPD」の診断基準の一部を以下に引用いたします。

持続性知覚性姿勢誘発めまい
(Persistent Postural Perceptual Dizziness: PPPD)

PPPDは以下の基準A~Eで定義される慢性の前庭症状を呈する疾患である。診断には5つの基準全てを満たすことが必要である。

A.浮遊感、不安定感、非回転性めまいのうち一つ以上が、3ヶ月以上にわたってほとんど毎日存在する。
1.症状は長い時間(時間単位)持続するが、症状の強さに増悪・軽減がみられることがある。
2.症状は1日中持続的に存在するとはかぎらない。

B.持続性の症状を引き起こす特異的な誘因はないが、以下の3つの因子で増悪する。
1.立位姿勢
2.特定の方向や頭位に限らない、能動的あるいは受動的な動き
3.動いているもの、あるいは複雑な視覚パターンを見たとき

C.この疾患は、めまい、浮遊感、不安定感、あるいは急性・発作性・慢性の前庭疾患、他の神経学的・内科的疾患、心理的ストレスによる平衡障害が先行して発症する。

1.急性または発作性の病態が先行する場合は、その先行病態が消失するにつれて、症状は基準Aのパターンに定着する。しかし、症状は、初めは間欠的に生じ、持続性の経過へと固定していくことがある。

2.慢性の病態が先行する場合は、症状は緩徐に進行し、悪化することがある。

D.症状は、顕著な苦痛あるいは機能障害を引き起こしている。

E.症状は、他の疾患や障害ではうまく説明できない。

持続性知覚性姿勢誘発めまい(Persistent Postural-Perceptual Dizziness: PPPD)の診断基準(Barany Society: J Vestib Res 27: 191―208, 2017)

「PPPD」の病院での治療法

「PPPD」は有効とされている治療法があります。

①薬物療法(SSRI:抗不安薬)
②前庭リハビリテーション
③認知行動療法

「PPPD」に特徴的な症状があった場合は、耳鼻科を紹介したいと思います。

「PPPD」と鍼灸院での対応

鍼灸院では「めまい」の患者さんが時折お見えになります。

「急性のめまい」の患者さんがお見えになることは少なく、
ほとんどが先に病院を受診されています。

しかしながら、「病院でそのめまいは、何と診断されていますか?」と
尋ねても、よくわからないという方もおられます。

「めまい」はあるものの、どうもすっきりしない、継続的な通院を指示されていない。

大きな病気によるめまいではないけれど、よくわからないめまいの患者さんは
意外と鍼灸院に来院されることは少なくありません。

この「よくわからないめまい」に「PPPD」が含まれている可能性は今後増えるでしょう。

病院の受診に関わらず、当院ではあらためて「めまい」についてうかがい、
危険なめまい・鍼灸適応の有無などを確認しています。

参考:鍼灸院での「めまい」は危険な兆候の除外から

「めまい」については以下の方針で行っています。

急性のめまい→中枢疾患を疑わせる症状→早急に病院受診を進める
       末梢性めまい→なるべく早く1度は病院受診を進める

慢性のめまい→病院受診歴の確認・詳細な問診→鍼灸適応の判断

「PPPD」は「視覚刺激」によって、特に悪化しやすいという
特徴的な症状がありますし、有効とされている治療法もあります。

スマホで動画などをよく見る時代ですし、視覚刺激で悪化する
めまいなどがあれば耳鼻科への受診を積極的に勧めたいと思います。

「PPPD」はまだ新しいめまいですので、これからも研究が進むと思われます。

鍼灸と関連した研究報告はまだ見当たりませんでした。(2019.10現在)

器質的疾患ではなく、機能的疾患とされていますので、鍼灸でも対応できる
部分がでてくるかもしれません。

参考資料

① 診断が付かないめまい症の多くはPPPDだった
新潟大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野教授 堀井新氏に聞く(日経メディカル)

② 新しいめまい疾患PPPDの問診票を作成:重症度を評価した12問の問診表
(日経メディカル)

③ 持続性知覚性姿勢誘発めまい(Persistent Postural-Perceptual Dizziness: PPPD)の
診断基準(Barany Society: J Vestib Res 27: 191―208, 2017)http://memai.jp/guideline/pppd2017.pdf

④A Validated Questionnaire to Assess the Severity of Persistent Postural-Perceptual Dizziness (PPPD): The Niigata PPPD Questionnaire (NPQ).(新潟大学の研究)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31219964
*PPPDの3つの悪化要因(直立姿勢/歩行、運動、視覚刺激)のうち、
視覚刺激因子が最も特徴的であるという内容

⑤Diagnostic criteria for persistent postural-perceptual dizziness (PPPD):Consensus document of the committee for the Classification of Vestibular Disorders of the Bárány Society.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29036855
* 診断基準に関する文書

⑥Persistent-postural perceptual dizziness (PPPD)–Yes, it is a psychosomatic condition!
https://content.iospress.com/articles/journal-of-vestibular-research/ves190679
* 心身医学の観点からの議論が、異なる専門分野間の理解と、PPPDが心身医学の広い枠組みにどのように適合するかにおいて重要

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