股関節を痛めた時の生活上の注意点
股関節を痛めた時には日常生活で注意する点がいくつかあります。
今回はそれらを紹介いたします。
股関節の変形(変形性股関節症)や、転倒による骨折などが原因となります。
股関節に痛みがあると、その周囲の筋力が低下してきます。
痛みや筋力低下を防ぐために、セルフケアが重視されています。
セルフケアでは水中トレーニング、筋トレ、ストレッチ、薬の服用、日常生活の改善などが中心となります。
当院ではまず病院でレントゲンを撮られることをお勧めしています。
日常生活に注意する点がいくつかあります。
日常生活の注意点
・椅子に座るときは痛めた側のお尻の下にタオルを一枚、または二枚いれます
枚数や分厚さはご自身が楽な状態が基準です。タオルをいれること自体が不快な場合は中止してください。
・長く座っているときは目立たない範囲で、びんぼうゆすりをします
一点に重心が固定すると負担がかかるので、それを避けるためです。少しゆらゆらしてください。
・動作の開始時には注意が必要です
座っている姿勢から立ち上がる、
寝ている姿勢から起きるなどの動作の開始時には思いのほか、力を使います。
少し足を前後左右にゆする、ふるわせる感じで動作開始の準備をしてから動きましょう。
電車で降りるときは、前の駅からゆすっておくとよろしいかと思います。
・体重はできる限り増やさない
これは病院でも指摘される点です。体重を減らすだけで股関節や腰への負担が減ります。
・階段、早歩き、走ることもさけたほうがいいでしょう
エスカレーター、エレベーターを痛いときは積極的に使うと負担が減ります。
・スーパーなどでの買い物にはカートを使いましょう
![](https://harimo.jp/wp/wp-content/uploads/2022/03/david-clarke-wQSe8GKVKoE-unsplash-1-1024x683.jpg)
・宅配サービスの利用
お米、お水などの重いものは、宅配サービスなどの利用も一つの方法です
・道具の使用
リュックや杖などを積極的に活用すると、股関節の負担が減ります
・足の爪切り、あぐらなどの姿勢
股関節に負担がかかる姿勢ですので、様子をみて行ってください
・就寝中の姿勢
就寝中は痛む側を天井側にして、横向きにお休みになると負担が減ります。
その際、抱き枕などで身体を安定させると力が抜けて、リラックスできます。
逆に痛む側を床側にすると、起床時に痛みが増すことが多く、お勧めできません。
仰向けでお休みになる方は膝のしたに、丸めたタオルや座布団などを入れ、膝をかるく曲げた状態で休まれると腰への負担も減ります。
・座っているときの姿勢
長座(こたつにはいっているような、膝を伸ばした姿勢)はさけることをお勧めします。
股関節を痛めた患者さんは腰に負担がかかることが多く。股関節と腰の両方に痛みを持っていることがあります。 長時間長座でいると、腰にも負担がかかります。
座椅子を習慣的に使われる方は、少し注意して、たまに立ち上がってお茶を入れたり、トイレに立つなどの工夫が必要です。
股関節から腰、下肢などへ痛みが広がることがあります
股関節が痛むと可動域(関節の動く範囲)が制限されますが、制限された動きの代わりを骨盤や腰椎が通常より前方に傾くことによって行います。代わりに行うので「代償動作」といいます。
この前方への傾きが強くなること、さらに長期にわたることで腰への負担が強くなり、腰の関節が障害されることがあります。
その結果臀部や下肢への痛みを誘発することがあります。
実際に「変形性股関節症」と診断された患者さんは、股関節だけでなく、腰や下肢に痛みを訴えることが多く、その程度も日によって異なります。
そのため股関節だけでなく、腰や下肢の状態、さらには胸椎(背中)周囲も治療の対象として見る必要があります。
鍼灸とセルフケア
痛みがあると筋トレなどのトレーニングなどの継続が難しくなり、日常生活への影響も少なくありません。鍼灸では痛みを軽減し、股関節の可動域を広げることで変形性股関節症にアプローチしています。
同時にセルフケアとして、ストレッチや筋トレの方法も実際に行いながら説明をしています。
変形性股関節症は、股関節そのものだけでなく、代償動作によっておこる周辺部位への状態を丁寧に見て、対応することで随分状態が変わってくるものだと日々実感しています。