【文献】小児の過活動膀胱に対する経皮電気鍼刺激

 

【文献】小児の過活動膀胱に対する経皮電気鍼刺激 

Percutaneous electrical stimulation for overactive bladder in children: a pilot study.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30414712

*自己学習も兼ねて、鍼灸の海外文献を紹介する記事です。誤訳の可能性もありますので原文での確認をお願いいたします。
小児の過活動膀胱に対して、仙骨部に電気鍼を使った報告です。

[目的]
小児の過活動膀胱(OAB)を治療するため、週1回の経皮的電気鍼神経刺激(PENS#¹)の有効性(耐性および安全性)を評価すること。

[方法] 
OABのため、PENSを受けた4〜14歳の子どもの前向き症例。 仙骨神経刺激のために、S3を左右対称に鍼が行われた。 OABを有する18人の子供は、毎週PENSを20週間受けた。周波数は10Hzであった。 強度は、参加者が許容でき、運動閾値に達することない範囲で、最大10mAまでとした。パルス幅は600μs。 患者の排尿履歴を、構造化アンケートを用いて治療前に評価した。機能不全排尿スコアリングシステム(DVSS)#²は、下部尿路機能不全の症状を定量化するために、治療の前後に用いられた。 ビジュアルアナログスケール(VAS)を用いて治療結果を評価した。

 [結果] 
参加者は7人の男児と11人の女児(平均年齢、7.82±2.45歳)。 VASでは、症状は66%の患者で解決された。 ベースライン時のすべての小児にあった尿意切迫感は、84%で解決された(P = 0.001)。 尿意切迫感のない無意識の失禁を有する患者の割合は、治療前の77%から27%に減少した(P = 0.04)。 失禁は、治療後16人の患者のうち13人で解決された(P = 0.001)。 ベースライン時に頻尿のあった12人の小児のうち1人だけが、治療後に病状を訴えた(P = 0.04)。 すべての症例で再発性尿路感染が解消した(P = 0.001)。 
夜間夜尿症に関しては、14人の小児のうち9人で治療が成功した(P = 0.004)。


[議論] 
この新しい方法の背景にある理論は、鍼を使用することで皮膚の電気抵抗を克服し、電極の先端と仙骨神経との間がより近いことで、週1回の治療で仙骨の経皮的電気神経刺激と同等のメリットをもたらす十分な刺激量となり、より効果的な刺激となる。

 [結論]
経皮的電気神経刺激は、短期間にわたりOABの有効かつ安全な治療であると思われる。さらに、対照群を用いた研究が必要である。

[読んでみて]
パイロット研究(予備研究)のため、今後本格的な研究に移っていくのかもしれません。
そのため、患者数も18名と小規模の研究です。
しかしながら、尿意切迫感や夜尿症などの症状に改善が見られている点が参考になります。
結論にもあるように、皮膚表面、皮膚以下の組織との刺激を比較することで、効果の違いがみられるとより興味深いと思われます。

#¹ PENS:経皮的電気鍼刺激:鍼通電による神経刺激の手法。TENSは皮膚にパッドを貼る電気刺激、PENSは鍼を2か所に刺し電気刺激を行うもの#² DVSS:小児下部尿路症状に対する公的な質問票

 
 

 

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