[文献]慢性重症便秘患者における鍼治療反応に関連する要因:ランダム化比較試験の二次解析

[文献]慢性重症便秘患者における鍼治療反応に関連する要因
ランダム化比較試験の二次解析

Factors related to acupuncture response in patients with chronic severe functional constipation: Secondary analysis of a randomized controlled trial.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29166673
*自己学習も兼ねて、鍼灸の海外文献を紹介する記事です。誤訳の可能性もありますので、原文での確認をお願いいたします。
慢性便秘症は年齢を問わず、つらい症状です。高齢者は排便がうまくいっているかが
日常生活にとっては大きな要因となります。

慢性便秘症に対して、電気鍼の効果を左右する要因についての報告を下記に紹介いたします。
背景
 鍼治療は、慢性重症機能性便秘(CSFC)に対して
効果的かつ安全であることが示されている。
しかし、鍼治療によってどのような患者が改善するかはまだ明確ではありません。
 
目的

CSFC患者の鍼治療に関する因子を探ること
 
方法
 
CSFC患者を電気鍼のグループと偽の電気鍼治療グループに
ランダムに分け、2週間の追跡期間、8週間の治療、
12週間の治療なしのフォローアップからなる
多施設ランダム化比較試験の二次解析を行った。
反応者は、ベースライン期間と比較して、第20週に少なくとも
1回の完全自発排便(CSBM)が増加した参加者と定義された。
両群のCSBM反応者率が記述され、潜在的に鍼治療に関わる参加者の
ベースライン特性は、ブートストラップ法を用いた
ロジスティック回帰分析を用いて主に分析された。
 
結果

この研究で合計1021人の参加者が分析され、そのうち516人(50.5%)が
反応者として分類された。
.
20週目のCSBM反応者率は、電気鍼治療群が偽電気鍼治療群よりも
有意に大きかった(62.9%対37.9%、P <0.001)。
年齢と併存疾患の両方が臨床的反応と負の相関を示した。
1年ごとに、臨床的反応の可能性は1.2%低下した
(OR 0.988,95%CI 0.980-0.996; P = 0.005)

併存疾患のある患者は(OR 0.581,95%CI 0.248〜0.914; P = 0.001)、

治療に反応する可能性は約42%低かった。
 
結論
加齢および併存疾患を有するCSFC患者は、鍼治療に応答する
可能性が低い可能性がある。
これらの知見は、治療前の患者の選択に関して診療の指針となる。
この関連性を確認するためにさらなる研究が必要である。
読んでみて
慢性便秘の患者に対して、電気鍼の効果を左右する要因を探した研究報告。
この研究では偽の電気鍼よりも電気鍼のほうが有効であったようだ。
効果が乏しくなる要因を「加齢」と「併存疾患」と結論付けている。
日常診ている患者さんの中にも便秘を訴える方は多く、食事、運動、
水分摂取など様々な方法で対応しています。
この研究でもあるように、年齢を重ねると便秘がちな方は多く、
鍼治療に反応しにくい方がおられます。
一方で、便秘に少しでもいい効果があると、
こちらが思っている以上に喜ばれます。

特に高齢者に対する便秘の影響は経験上見過ごせないので、
必ず「食事」、「睡眠」、「排便」については頻繁に確認しています。

便秘に対してさらに改善できるよう、今後も試行錯誤していきたいと思います。

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