【文献】肘外側の痛みに対する鍼灸のランダム化比較試験のシステマティックレビュー
Acupuncture and moxibustion for lateral elbow pain:a systematic review of randomized controlled trials.注:自己学習も兼ねて、鍼灸の海外論文を紹介する記事です。誤訳などの可能性がありますので、原文での確認をお願いいたします。
背景
鍼と灸は肘外側の痛みの治療に広く使用されています。
鍼灸の有効性を評価するために、英語と中国語の両方のデータベースを含むランダム化比較試験(RCT)の包括的で体系的なレビューを実施した。
手法
改訂版STRICTA(2010)基準*¹を鍼治療の評価のために使用。
コクランのバイアスリスクツール*²を用いて研究の方法論的な質を評価した。
鍼治療および灸と偽鍼治療、別の形態の鍼治療や、従来の治療とを比較した合計19のRCT が含まれていた
結果
すべての研究で、少なくとも1つの領域が、コクランリスクのバイアスリスクにおいて「高い」、または「不確実なリスク」として評価された。3つのRCTの結果は、鍼治療が偽鍼治療より効果的であることを示した。10個のRCTのほとんどは研究の質が低く、それらの結果は、鍼灸が局所麻酔薬注射局所ステロイド注射、非ステロイド性抗炎症薬、または超音波などの従来の治療よりも優れているか同等であることを示した。
6つの質の低いRCTでは、鍼単独よりも鍼とお灸を組み合わせた方が優れているという結果となった。
結論
適切な質の研究では、鍼治療が偽鍼治療よりも効果的であることを示唆している。
一方で鍼とお灸を併用した治療と鍼単独の治療の解釈は、研究デザインの質から限定的なものとされる。肘外側の痛みに対して、鍼とお灸を組み合わせた治療効果をより明確にするために、より改善した研究デザインが今後求められている。
読んでみて
肘外側の痛みに対する19のRCTのシステマティックレビュー
鍼治療が偽鍼治療より効果的であったり、ほかの治療法よりも優れている可能性ががあること、また鍼単独よりもお灸を併用した方が優れているといった報告だが、研究の質がまだ低いものもあり、より良いデザインで質の高い研究が求められているとのこと。
またSTRICTAやバイアスリスクツールについて知れたことは今後、論文を読むうえでの収穫でした。論文の中の、小さなヒントが臨床に生かせればと考えています。
*¹ STRICTA(2010)基準:鍼の臨床試験における介入の報告基準
*² コクランのバイアスリスクツール:研究の限界の手引き:研究の限界を段階に分け、研究の解釈や考察、評価を判断するための手引き