腹圧性尿失禁で尿漏れのある女性に対する電気鍼の効果:
ランダム化比較試験
*自己学習も兼ねて、鍼灸の海外論文を紹介する記事です。
誤訳などの可能性もありますので、原文での確認をお願いいたします。
背景
腰仙骨部への電気鍼治療は腹圧性尿失禁の女性に有効とされているが、
エビデンスがまだ十分でない
目的
腹圧性尿失禁の女性に対して、電気鍼治療と
偽の電気刺激の効果を検証する
対象
2013年10月から2015年5月まで、中国における12の病院で腹圧性尿失禁の
504人の女性を対象としたランダム化比較試験
介入
電気鍼治療群と偽電気刺激(ツボではない部位)との2群に分け、
6週間18回、ランダムに振り分けられた。
アウトカム
尿漏れの量の変化、72時間の膀胱ダイアリーで計測された尿失禁回数
結果
504人(平均年齢55.3歳)のうち、482人が研究を最後まで完了した。
介入前の尿漏れ量は電気鍼群で18.4g、
偽電気刺激群で19.1gであった。
平均72時間の失禁は、電気鍼治療群で7.9回、
擬似電気鍼治療群で7.7回であった
6週では、電気鍼群は平均尿漏れが-9.9g、偽電気刺激群が平均-2.6gとなり、
2群の差は 平均7.4gとなった(95%CI、4.8~10.0; P <.001)。
平均72時間失禁回数のベースラインからの変化は、
1〜6週目の群間差1.0(95%CI、0.2〜1.7; P = .01)を有する
偽電気刺激群よりも電気鍼群で大きかった.
15週目〜18週目の2.0回のエピソード(95%CI、1.3-2.7; P < 001)、
および27週目〜30週目の2.1エピソード(95%CI、1.3-2.8; P <.001)
結論
腹圧性尿失禁を患っている女性の中で、偽電気刺激と比較して腰仙部を
含む電気鍼治療では、6週間後に尿漏れが少なくなった。
この介入の長期有効性および作用機序を理解するためには、
さらなる研究が必要である。
読んでみて
フルテキストを読むと、「中髎」「会陽」のツボを使っています。
偽電気刺激はそのツボから外側2センチの部位にずらして行っています。
75mmの鍼で5.6センチに斜刺、水平刺のようです。得気も得ています。
50Hz連続は1-5mA、30分継続です。
結論でもあるようにまだまだ研究の余地があるようですが、
長期的に効果が持続すると患者さんにとっても恩恵があると思われます。
一方で、中国での、504人もの大規模な研究が行われていることに驚きです。