更年期症状に対する鍼治療の有効性:デンマークの研究
*自己学習もかねて、鍼灸の海外論文を紹介する記事です。
誤訳などの可能性もありますので、原文での確認をお願いいたします。
PMC6501989
「Efficacy of a standardised acupuncture approach for women with bothersome menopausal symptoms: a pragmatic randomised study
in primary care (the ACOM study)」
「つらい更年期症状のある女性に対して標準化された鍼治療の有効性:
プライマリケアにおける実践的ランダム化研究(ACOM研究)」
目的
中等度から重度の更年期症状を持つ女性に、標準化された
短期間の鍼治療の有効性を調査する。
研究デザイン
介入群、対照群を1:1の割り当てで、ランダム化比較研究。
評価者と統計学者は盲検化されました。
環境
9つのデンマークのプライマリケア外来
参加者
中等度から重度の更年期症状のある70人の女性と、
鍼の教育を受けた9人の一般開業医。
介入
鍼治療のスタイルは、事前に決められたツボ、CV-3(中極)、
CV-4(関元)、LR-8(曲泉)、SP-6(三陰交)、SP-9(陰陵泉)を使い、
標準化されたアプローチによる西洋医学でした。
介入群は、5週間連続で1回治療を受けました。
対照群には6週間後に治療が提供されました。
主要なアウトカムと指標
アウトカムは、ベースラインから6週目までに測定され、
MenoScoresアンケートのスケールを使用し、
平均スコアの変化のランダム化グループ間の差でした。
主要なアウトカムはホットフラッシュスケールで、
二次的なアウトカムは、アンケートの他の尺度でした。
すべての分析は、ITT解析に基づいています。
結果
36人の参加者が介入を受け、34人の参加者がコントロールグループに参加しました。
6週前に4人の参加者が脱落しました。
鍼治療の介入により、以下の症状の軽減が見られています。
- ホットフラッシュ:Δ-1.6(95%CI [-2.3〜-0.8]; p <0.0001)、
- 昼夜の汗:Δ-1.2(95%CI [-2.0〜-0.4]; p = 0.0056)、
- 一般的な発汗:Δ-0.9(95%CI [-1.6〜-0.2]; p = 0.0086)、
- 閉経期特有の睡眠障害:Δ-1.8(95%CI [ -2.7〜-1.0]; p <0.0001)、
- 感情症状:Δ-3.4(95%CI [-5.3〜-1.4]; p = 0.0008)、
- 身体症状:Δ-1.7(95%CI [-3〜- 0.4]; p = 0.010)
- および皮膚および髪の症状:Δ-1.5(95%CI [-2.5〜-0.6]; p = 0.0021)
6週間の追跡で、対照群と比較。
ほてり、感情的な症状、皮膚および髪の症状の減少のパターンは、
研究の3週間後にはすでに明確でした。
軽度の潜在的な有害作用が4人の参加者によって報告されましたが、
重篤な有害作用は報告されませんでした。
結論
6週間の介入期間において、標準化された短期間の鍼治療で
中等度から重度の更年期症状が臨床的関連性が迅速に低下しました。
重篤な副作用は報告されていません。
読んでみて
この結果だけを見ると、短期間でシンプルなツボを使い、
更年期症状に対して鍼治療が有効との印象を受けます。
しかしながら、実際にはそんなに単純ではない印象もあります。
ひとつの研究として参考にするとともに、
引き続き様々な文献を調べ、中身を吟味していきたいと思います。