埼玉県春日部市の鍼灸院 はり・きゅう はりも

〒344-0058 埼玉県春日部市栄町1-279
Tel:048-763-5323
婦人科

[文献] 更年期症状と生活の質に対する鍼治療の効果(メタ分析)-台湾の研究

[文献] 更年期症状と生活の質に対する鍼治療の効果(メタ分析)-台湾の研究

自己学習もかねて、鍼灸の海外論文を紹介する記事です。
誤訳の可能性もありますので、原文での確認をお願いいたします。
PMID: 25003620

Effects of acupuncture on menopause-related symptoms
 and quality of life in women in natural menopause:
a meta-analysis of randomized controlled trials.」


「自然閉経期の女性の更年期関連症状と生活の質に対する鍼治療の効果:
ランダム化比較試験のメタ分析」

目的

このメタ分析は、自然閉経期のホットフラッシュの頻度と重症度、
更年期関連症状、生活の質に対する鍼治療の効果を
評価することを目的としています。

方法

PubMed / Medline、PsychINFO、Web of Science、
Cochrane Central Register of Controlled Trials、CINAHLを
体系的に検索しました。


キーワードは鍼治療、ホットフラッシュ、更年期関連症状、生活の質など。


研究に関連する異質性、モデレーター分析、出版バイアス、
およびバイアスのリスクを調べました。

結果

関連する104の研究のうち、869人の参加者を含む12の研究が
選択基準を満たし、この研究に含まれました。


鍼治療により、ホットフラッシュの頻度(g = -0.35; 95%CI、-0.5〜-0.21)
および重症度(g = -0.44; 95%CI、-0.65〜-0.23)が
大幅に減少することがわかりました。


鍼治療は、更年期指数で心理的、身体的、および泌尿生殖器の
サブスケールのスコアを大幅に減少させました
(g = -1.56、g = -1.39、およびg = -0.82、それぞれP <0.05)。


鍼治療は、更年期特有の生活の質に関するアンケートの
血管運動サブスケールスコアを改善しました
(g = -0.46; 95%CI、-0.9 to -0.02)。


ホットフラッシュの頻度と重症度(それぞれg = -0.53とg = -0.55)に
対する長期的な影響(最大3か月)が見つかりました。

結論

このメタ分析により、自然閉経期を経験している女性の鍼治療は、
ほてりの頻度と重症度、更年期関連症状、生活の質(血管運動領域)を
改善することが確認されています。


読んでみて

様々な文献を集め、分析、統合させたメタ分析による内容なので質が高いものと思われますが、肯定的な文献だけでなく、否定的な内容のものを含めて、精査していきます。

更年期障害と鍼灸

更年期障害と鍼灸

更年期障害と鍼灸について馴染みのない方にも、症例や文献を紹介し、
少しづつ加筆しながらご案内していきます。

目次

  • 更年期障害について
  • 更年期障害の症状
  • 更年期は身体・社会・心理的問題が重なりやすい時期
  • 更年期障害の診断
  • 病院での治療
  • 更年期の時期より少し前から意識していただきたいこと
  • 更年期障害がおきる原因と仕組み
  • 東洋医学による更年期障害の診立て
  • 更年期障害と鍼灸の論文(追記予定)
  • 更年期障害の鍼灸症例(近日予定)
  • 更年期障害のセルフケア(近日予定)

[更年期障害について]


閉経前後の10年、45-55歳を更年期とし、この時期に特定の病気がない
状態にもかかわらず、様々な身体の不調を総称して「更年期障害」といいます。


[更年期障害の症状]


顔のほてり・顔の発汗・寝汗・手足の冷え・動悸睡眠障害・イライラ
気分の落ち込み・めまい・頭痛・疲労感・肩こり・関節のこわばり

症状の数や程度は個人差があり、すべてがあるわけではなく、
気づかない方もおられます。


[更年期は身体・社会・心理的問題が重なりやすい時期]


身体的には卵巣機能の低下に伴い、女性ホルモン(エストロゲン)の
分泌低下がおこり、自律神経を不安定にします。

その結果、様々な不調を引き起こします。
(自律神経症状はホットフラッシュや発汗などが代表的です)


社会的には家族の関係の変化、職場での役割、介護などの
環境変化が起きやすい時期と重なります。


身体・社会問題がストレスとなり心理的ストレスを引き起こすこともあります。


[更年期障害の診断]


更年期障害は明確な診断基準がありません。
一方で、先に挙げた症状はほかの病気でもおきることがあります。
(甲状腺疾患・ストレスなど)


そのため、更年期障害と診断されるには医療機関への受診が必要です。


①他の病気がないかどうか精査が必要
②年齢や月経歴、月経周期が不安定な「周閉経期」かどうか
③血液検査によるホルモン(卵胞刺激ホルモン)・エストラジオール(E2)の測定
③更年期障害に特徴的なホットフラッシュなどの有無


[病院での治療]


ホルモン補充療法 血管運動性症状(ホットフラッシュ・発汗)・関節症状など
向精神薬     気分の落ち込み・イライラ・不眠 
          SSRIはホットフラッシュ、発汗
漢方薬      多様な症状や、体力や体質に合わせて全体的なバランスを回復させる


リスクや副作用もある(どんな治療も一定のリスクと副作用はあります)一方、
新しい利点もあり、見直されている点も多くあるようです。

自己判断ではなく、医師と十分に話し合って、適応も含めて治療をされることが
とても大切です


[更年期の時期より少し前から意識していただきたいこと]


更年期は女性ホルモン(エストロゲン)の低下だけでなく、骨密度の低下、
高血圧、脂質異常、糖尿病などのリスク
が増える時期にもなります。


これらを見据えたうえで、早い時期からの運動、適切な食事の習慣が
大切になると思われます。


[更年期障害がおきる原因と仕組み]


更年期障害がおきる原因は女性ホルモン分泌の仕組みにあります。

脳の視床下部からゴナドトロピン放出ホルモンが分泌

脳下垂体から卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンが分泌

卵巣から女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが分泌

血液中の女性ホルモンの濃度によって視床下部と下垂体がそれぞれ調整機能の役割を果たす



以上のように女性ホルモンの分泌は調整されていますが、
閉経が近づくにつれて、女性ホルモンの分泌は減少します。

しかし視床下部は卵巣に女性ホルモンを分泌するよう機能亢進がおきます。
その結果、卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンが過剰分泌されます。


この2つのホルモンは「自律神経中枢」に影響をおよぼし、更年期障害の
特徴である自律神経症状を引き起こします。

自律神経症状:のぼせ、心悸亢進、発汗、不眠  →エストロゲン欠乏と関連
精神症状  :不安感、抑うつ、恐怖感、疲労感 →心理・環境要因


[東洋医学による更年期障害の診立て]


更年期症状に対する東洋医学による診立てには、バリエーションがあります。
漢方を処方する先生や、鍼灸師の間で共通のものもあれば、異なることもあります。


それぞれの先生が持つ経験や、学習されてきた理論体系が異なることが
理由の一つと思われます。


東洋医学では「更年期障害」を「気・血の不足」
「熱の産生の不足と、排出のアンバランス」
「肝鬱気滞」「腎陰虚」「心腎不交」など様々な言葉で診立てを表現します。


かなり大まかな説明になりますが
気力が低下して何もやる気がでないタイプ、
逆に常にイライラしてストレスが多く、頭に血が上るタイプなどに分けられ、
一人の患者さんの中に、2つのタイプが混ざることもあります。

実際にはどのような症状があるか、どういった体質かを見極め、
使うツボなどを選択していきます。

[更年期障害と鍼灸の論文]

更年期障害と鍼灸についての論文を紹介していきます。

①Efficacy of a standardised acupuncture approach for women with bothersome menopausal symptoms: a pragmatic randomised study in primary care (the ACOM study).  PMID: 30782712  : 更年期症状に対する鍼の有効性 デンマークの研究


[文献]更年期症状に対する鍼治療の有効性:デンマークの研究

② Effects of acupuncture on menopause-related symptoms and quality of life
in women in natural menopause:a meta-analysis of randomized controlled trials.
PMID: 25003620 :更年期症状と生活の質に対する鍼治療の効果(メタ分析)-台湾の研究

[文献] 更年期症状と生活の質に対する鍼治療の効果(メタ分析)-台湾の研究

近日中に関連文献と鍼灸症例の追記を予定しています。

[文献]更年期症状に対する鍼治療の有効性:デンマークの研究

更年期症状に対する鍼治療の有効性:デンマークの研究

*自己学習もかねて、鍼灸の海外論文を紹介する記事です。
 誤訳などの可能性もありますので、原文での確認をお願いいたします。

 PMC6501989

Efficacy of a standardised acupuncture approach for women with bothersome menopausal symptoms: a pragmatic randomised study
in primary care (the ACOM study)

つらい更年期症状のある女性に対して標準化された鍼治療の有効性:
プライマリケアにおける実践的ランダム化研究(ACOM研究)

目的

中等度から重度の更年期症状を持つ女性に、標準化された
短期間の鍼治療の有効性を調査する。

研究デザイン

介入群、対照群を1:1の割り当てで、ランダム化比較研究。
評価者と統計学者は盲検化されました。

環境

9つのデンマークのプライマリケア外来

参加者

中等度から重度の更年期症状のある70人の女性と、
鍼の教育を受けた9人の一般開業医。

介入

鍼治療のスタイルは、事前に決められたツボ、CV-3(中極)、
CV-4(関元)、LR-8(曲泉)、SP-6(三陰交)、SP-9(陰陵泉)を使い、
標準化されたアプローチによる西洋医学でした。

介入群は、5週間連続で1回治療を受けました。
対照群には6週間後に治療が提供されました。

主要なアウトカムと指標

アウトカムは、ベースラインから6週目までに測定され、
MenoScoresアンケートのスケールを使用し、

平均スコアの変化のランダム化グループ間の差でした。

主要なアウトカムはホットフラッシュスケールで、

二次的なアウトカムは、アンケートの他の尺度でした。
すべての分析は、ITT解析に基づいています。

結果

36人の参加者が介入を受け、34人の参加者がコントロールグループに参加しました。
6週前に4人の参加者が脱落しました。

鍼治療の介入により、以下の症状の軽減が見られています。

  • ホットフラッシュ:Δ-1.6(95%CI [-2.3〜-0.8]; p <0.0001)、
  • 昼夜の汗:Δ-1.2(95%CI [-2.0〜-0.4]; p = 0.0056)、
  • 一般的な発汗:Δ-0.9(95%CI [-1.6〜-0.2]; p = 0.0086)、
  • 閉経期特有の睡眠障害:Δ-1.8(95%CI [ -2.7〜-1.0]; p <0.0001)、
  • 感情症状:Δ-3.4(95%CI [-5.3〜-1.4]; p = 0.0008)、
  • 身体症状:Δ-1.7(95%CI [-3〜- 0.4]; p = 0.010)
  • および皮膚および髪の症状:Δ-1.5(95%CI [-2.5〜-0.6]; p = 0.0021)


6週間の追跡で、対照群と比較。
ほてり、感情的な症状、皮膚および髪の症状の減少のパターンは、
研究の3週間後にはすでに明確でした。

軽度の潜在的な有害作用が4人の参加者によって報告されましたが、
重篤な有害作用は報告されませんでした。

結論

6週間の介入期間において、標準化された短期間の鍼治療で
中等度から重度の更年期症状が臨床的関連性が迅速に低下しました。

重篤な副作用は報告されていません。

読んでみて

この結果だけを見ると、短期間でシンプルなツボを使い、
更年期症状に対して鍼治療が有効との印象を受けます。

しかしながら、実際にはそんなに単純ではない印象もあります。

ひとつの研究として参考にするとともに、
引き続き様々な文献を調べ、中身を吟味していきたいと思います。

過活動膀胱と鍼灸-バス旅行が心配

バスツアー

 

「友人とのバス旅行の休憩時間が心配」
「2階に寝室があるご自宅で、夜間に1階のトイレに行くことが煩わしい」
「夜間頻尿で睡眠が十分にとれない」

これらは過活動膀胱の患者さんからよく聞く話です。

 

過活動膀胱と鍼灸

 過活動膀胱の症状は人に言いづらく、
ご本人にとっては、深刻な悩みです。
 
 初診時ではなく、患者さんとの日常生活について
うかがっているときに、ふとお話になられ、
それまでなかなか言い出せなかったことがわかります。

ここでは過活動膀胱と鍼灸についてご案内いたします。

 

目次

  • 過活動膀胱とは
  • 夜間頻尿による問題点
  • 夜間頻尿に対して患者さんができること
  • 過活動膀胱と鍼灸の研究報告
  • 当院の過活動膀胱に対する鍼灸による施術
  • まとめ

 

過活動膀胱とは

 
 過活動膀胱は尿意切迫感が必須症状であり、
通常は夜間頻尿を伴います。
 
尿意切迫感とは「突然起こる、我慢できないような
強い尿意であり、
通常の尿意との違いの説明が困難なもの」です。
 
より具体的には、高齢者に多く、急な尿意があり、
トイレが近いが間に合わないことがある。
また尿漏れや夜間の頻尿がある状態です。
 
まずはご自身の症状が過活動膀胱かどうかを泌尿器科で
診察していただくことが先決です。
 
さらに、頻尿イコール過活動膀胱ではありません。
 
頻尿をきたす疾患には下記のようなものががあります。
 
膀胱がん、前立腺がん、膀胱結石、尿道結石、子宮内膜症、
急性膀胱炎、前立腺炎、尿道炎、
間質性膀胱炎、多尿、心因性頻尿

これらを診察してもらう必要があります。

 
そして診察によって判明した過活動膀胱には2つのタイプがあります。
 
「神経因性」と「非神経因性」です。
 
「神経因性過活動膀胱」
脳血管障害、パーキンソン病、脊髄損傷、
腰部脊柱管狭窄症、糖尿病性末梢性神経障害
 
「非神経因性過活動膀胱」
膀胱血流障害、自律神経系の活動亢進、加齢、膀胱の炎症、
前立腺肥大症、骨盤臓器脱
 
  
 

夜間頻尿による問題点

過活動膀胱の症状である「夜間頻尿」の問題点は
下記のようなものがあげられます。
 
  • 睡眠の妨げ
  • 熟睡感がない
  • 翌日眠い
  • 夜間転倒→骨折の危険性
 特に転倒の危険性は高齢者にとって大きな問題です。
 
 

夜間頻尿に対して患者さんができること

水分摂取

 

対策の基本は適切な水分摂取、運動や日中の昼寝などで
身体の水分を下肢に留めないようにすることになります。

  • 適正な水分量の摂取 過剰な水分摂取を避ける。
  • 夕方のカフェイン、アルコールの制限
  • 昼寝(下肢拳上):日中に下肢に水分が貯留
     夜間の臥位で水分が体幹にもどるため
  • 弾性ストッキング
  • 夕方の歩行・軽運動
 

過活動膀胱と鍼灸の研究報告

 過活動膀胱については、鍼・灸ともにいくつかの
研究報告があります。その一部を紹介いたします。
 
 

過活動膀胱と診断された女性50人をランダムに
電気鍼治療群とそうでないグループに分け、
30分の治療を30回行い、過活動膀胱スコアなどが
優位に改善した。

有害事象はない。
 
難治性の過活動膀胱患者に対して、
第一選択薬である、抗コリン薬に対して、
電気鍼治療がより有効な治療選択肢になるかは
さらに長期の調査が必要。
 
 
過活動膀胱の症状緩和のための灸の有効性と安全性
Effectiveness and safety of moxibustion for alleviating symptoms
of overactive bladder:
A prospective, randomized controlled, crossover-design, pilot study

過活動膀胱の症状緩和に対するお灸の有効性安全性。
28人の女性患者に4週間のお灸治療と4週間の生活指導を行った。
 
間節灸で、関元、三陰交、太衝のツボを使った研究。
排尿頻度に低下がみられた。

 
高齢者の夜間頻尿に対する会陰皮膚刺激の効果
指導の下で患者自身が軽度のローラー刺激を行い、
夜間排尿の頻度の減少がみられた。
睡眠と生活の質の評価をするには研究期間が短かった。
 
 
 

36名の患者に対して、「中極」のツボへの温灸によって、
夜間排尿の頻度が減った報告。
 
③の論文は、先日NHKで「東洋医学のチカラ」という
テレビ番組内でも紹介されました。

③④の内容は患者さん自身ができる内容で、
セルフケアとしての価値が高いと考えられます。

当院の患者さんでも
③のセルフケアを行っていただき、
排尿回数が減ったケースがあります。
 

当院の過活動膀胱に対する鍼灸による施術

当院ではまず泌尿器科を受診いただき
非神経因性過活動膀胱」が鍼灸の対象と考えています。

先ほど紹介をした研究報告などを参考にしながら、
膀胱の神経がある「骨盤部」、「下腹部」「下肢」を
中心に鍼・灸・温熱器具・電気器具を使って施術をしています。

夜間頻尿の対策にもあった、日中に下肢に水分が貯留して
就寝時の臥位姿勢で頻尿にならないように,細かい浮腫みなどを
流し、下肢の循環を促す方針で臨んでいます。

 
また報告にあったセルフケアやご自宅でのお灸もすすめています。
 
鍼灸で過活動膀胱の症状がおさまり、転倒予防や生活の質が上がること
 
さらに高齢者は複数の薬を服用していることが多く、
多剤服用の問題があることから、結果的に減薬に
つながれば何よりと考えています。
 

まとめ

  • 過活動膀胱と感じたらまずは泌尿器科を受診しましょう
  • 夜間頻尿を治療することは転倒予防や睡眠の質の改善につながります
  • 鍼・灸の研究報告やセルフケアの方法があり、鍼灸が
    症状軽減と高齢者の多剤服用の問題の一助となればと考えています。
 
 
 

つわりと鍼灸

 

つわりと鍼灸

 

「つわり」は、気持ちが悪い、食事がとれない、
特定のものしか食べることができないなど
心身ともにつらい症状です。

また一日中つらいものから、決まった時刻、
食後だけにおこるなど患者さんごとに異なります。

第2子目は楽と聞いていたが、そんなことはなかったとの
声もあります。

冷たいものなら飲めたり、ゆっくり食べるとすこし症状が
和らいだりと、患者さんそれぞれに工夫をされています。

出産の準備とはわかっていても、やはりつわりはつらいものです。

つわりと鍼灸についてはあまりなじみがない方も多いと思います。

最近はインターネットなどで、鍼灸治療と「つわり」のことなどを
ご自分で調べてくる患者さんが増え、以前のように両親や親戚から
教えてもらったという傾向は減っているように思えます。

鍼灸院では、現在だけでなく、妊娠前の元々の体質などもうかがいます。

さらにツボの反応なども確認し、必要な情報を得てから、患者さんごとに
治療するツボなどを決めていきます。

治療する部位は背部、手足などが中心となります。
お腹に治療をすることはありません。

 

主に胃腸関連のツボを使います。例えば「足三里」といったツボなどは
お聞きになられたこともあるかと思います。

加えて患者さんのつわり症状を抑制するツボに鍼灸を行います。

その他にも吐き気止めの「内関」といった手首にあるツボ。
これは乗り物酔いや、手術後の悪心嘔吐などにも使われる有名なツボです。
指圧刺激でも効果があるとされています。

 

当院では糸状のお灸、棒灸など「お灸」が中心となり、
お灸としてはかなり弱めです。

鍼は浅く刺す鍼で治療を行います。強い刺激は必要ありません。

効果のあらわれかたは,1.2回で劇的に変化する方、数回ごとに
段階的に変化する方など患者さんによって様々です。

少しでも楽になると症状だけでなく、安心感が相当違うようです。

 

可能な方はご自宅でのお灸を併用していただくことをおすすめしています。
症状が軽減され、穏やかに過ごせるようになると治療は一旦終了です。

安定期に入ってお灸を継続することもあります。

ご不安な点などございましたら、いつでもご相談ください。

下記に「つわり」に関する海外の研究報告があります。
よろしければ併せてご参考になさってください。

matanity

 

 

 

 

 

 

2018.12.9 追記

妊娠中のつわり(悪心・嘔吐)に対するツボ刺激の効果メタ分析

Meta-analysis of acustimulation effects on nausea and vomiting in pregnant women.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16979105

 

[方法]

妊娠悪阻(NVP)に対するacustimulation(指圧、鍼灸、電気刺激(ETS))の
効果のメタアナリシスを行った。

過去16年間に発行された4つの試験、8つの無作為比較試験(RCT)、

4つのグループによる2つの治療法を有する1つのRCT、
および6つの交差対照試験(N = 1655)を、
Meta Reports of Quality of Meta – 無作為化比較試験(QUORUM)ガイドラインの分析。

元の試験の治験責任医師から提供されたデータから、

相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。

P:妊娠中の女性

E:ツボ刺激をすると(指圧、鍼、電気刺激を含む)

C:コントロールグループと比較

O:つわり(悪心・嘔吐)を減るのかどうか

 

[結果]

治療前は、100%の女性(13件の試験、1615人の女性)に悪心があり、
96.6%(1599/1655)に嘔吐が報告されていた。


治療後、対照群と比較してツボ刺激群は悪心が
(RR = 0.47,95%CI:0.35-0.62、P <.0001)、
嘔吐が(RR = 0.59,95%CI:0.51-0.6に8、P <.0001)と
その割合を減少させた。

指圧またはリストバンドによって適用された圧迫法は、
妊娠悪阻(NVP)を減少させた。

電気刺激法(ETS)は妊娠悪阻(NVP)の減少に有効であった。
しかし、鍼治療は妊娠悪阻(NVP)の低減に効果を示さなかった。

対照群と比較すると、
悪心(3つの研究で RR = 0.63,95%CI:0.39-1.02、P = 0.0479)、
嘔吐(5つの研究で RR = 0.67,95%CI:0.50-0.91 P = 0.0084)を
減らした対照群ではプラセボ効果が認められた。

 

[結論]

このメタ分析は、指圧と電気刺激(ETS)が妊娠悪阻(NVP)の治療において、
鍼治療よりも大きな影響を与えていることを示しています。

しかし、鍼治療のを受けた妊婦の研究は限られていました。
おそらく、慢性的な妊娠悪阻がある女性にとっては
鍼治療はセルフケアとしては不便な手段であったことが考えられます。


[読んでみて]

指圧、電気刺激が妊婦のつわり(悪心・嘔吐)に効果があるとの内容でした。
結論からもセルフケアとしては、つわりにはは自己ケアできる手などへの
指圧のような方法でいいのかもしれない。

 

つわり(鍼灸症例)

炭酸水

 

つわり(鍼灸症例)

 

 「つわり」は妊娠時におこる大変な症状です。

幸い、当院で拝見した妊婦さんについては、施術回数の違いはありますが、
治療開始後数回で軽減することが多いように思えます。
 

ほとんどの妊婦さんが「つわり」以外の症状で鍼灸の受診経験があります。
そのため、鍼灸に対する抵抗感、不安感はあまりありません。
 

しかしながら鍼灸未経験の妊婦さんにとっては妊娠時の不安に加えて、
鍼灸をはじめて受けるという二重の不安があります。

 

その不安をすべて解消するわけではありませんが、「つわり」の症例を
下記に紹介いたします。すこしでも参考になさっていただければと思います。

 

患者 30代 女性
主訴 つわり
 
受診理由

第1子のときも、つわりがあり、その時も他の鍼灸整骨院で治療をしたことがある。
今回は第1子のときよりも、つわりがひどい。
 
 
つわりの経過

現在、妊娠7週目。朝、起床時と夜の就寝前につわりがひどくなる。
第1子のときよりも、今回のつわりの方がひどい。

食事はおかゆ、ゆっくりと食べると大丈夫。
飲み物は冷たいものの方がいい。空腹時に強く症状がでる。

妊娠前から首、肩、背中などにこりがあり、めまい(病院受診済み)などがある。
 
鍼灸の受診経験があり、自宅でお灸をしていたこともある。
 
 
施術方針

つわりは第1子の時よりもひどいが、弱い刺激から様子をみて行う。
 
初診

横向きにて、背部のツボ  肝兪、脾兪、胃兪、腎兪に
40mm-16号にて浅刺、置鍼を10分。同部位に糸状灸を各3壮。

頸部は散鍼。仰向けで、内関、陽陵泉、合谷に置鍼を10分。
同部位に糸状灸を各3壮。
自宅灸も1部位1壮でお願いする。
 
 
2診(5日目)

初診後2日間は調子が良かった。第1子のつわりのときよりも、
効果が早いとのこと。
 
 
3診(14日目)

朝のつわりはほぼ解消。夕方、夜の気持ち悪さがまだ残っている。
郄門も自宅灸の灸点に加え、お灸の数を3壮に変更。
 
 
5診(20日目)

空腹時でもつわりがほとんどなくなった。

首肩こりは減ったが、たちくらみなどがある。
自律神経などを意識して、胸椎椎間の糸状灸を加える。


治療院でのお灸、自宅灸のツボを陽陵泉から足三里に変更。
炭酸水を好むようになる。
 
 
6診(25日目)

朝も夜もつわりがほとんどなくなる。
特別に脂っぽいもの以外はなんでも食べることができる。

以後、間隔をあけて、頸、肩こりなど体調管理の方針に変更。
 
別記事「つわりと鍼灸治療」にも書きましたが、お灸も、
鍼も通常の治療と違ってごくごく弱い刺激となります。

妊婦さんに頼まれても、強い刺激で治療をすることはありません。
妊娠中の腰痛、肩こりなども同じです。

自宅灸については、お身体の様子をみながら勧めることがあります。
自己流でなさることはおやめください。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

逆子に対するお灸

「逆子に対するお灸」

 

逆子に対するお灸の治療は、昔から有名ですが、
今ではあまり広くは知られていません。

イタリア人が、中国で行ったお灸による
逆子治療の研究があります。

この研究を参考に、「逆子に対するお灸の効果」
ついて確認します。

 

対象

妊娠33週目の初妊産婦を対象にしています。

方法

お灸をするグループ130名とお灸をしないグループ
(一般的なケアを受ける)130名で
比較検討しています。

治療期間は1週間、至陰穴(足の小指にあるツボです)に
お灸をしています。

1週間で胎児の位置が変わらないときは、さらに
1週間治療期間を延長しています。


結果

妊娠35週目で、お灸をしたグループが98名(75.4%)、

一般的なケアを受けたグループが62名(47..7%)が
正常な頭位になっていました。

お灸をしたグループは分娩時まで頭位を維持しています。

また、一般的なケアをしたグループも81名(62.3%)が
正常な頭位で分娩されています。


結論

「妊娠33週目での逆子に対するお灸は胎児の動きを
活発にし、頭位を正常にする」

この文献では、逆子に対するお灸は効果があることがわかります。

その後、2005年に同じ研究者がイタリアでも同じ方法で
研究をしたようですが、

文化的な背景(お灸になじみがないからでしょうか)から
研究を途中で中断しています。

 

原文(英語)はこちらです。

逆子へのお灸;ランダム化比較試験(中国) 1998

逆子へのお灸(イタリア) 2005

 

「費用面での検討」

鍼灸による逆子治療の費用対効果について

2010年にオランダの研究が発表されています。

治療に使用している経穴(ツボ)は、
「至陰(しいん)」といって日本でも
一般的に使われています。
この研究でも同じ経穴を使っています。

 

対象

妊娠33週目で、逆子の胎児を持つ妊婦に対して、
外回転術を含む待機的な管理にくらべ
鍼灸が費用と
効果の面ですぐれているかどうかを研究しています。

 

結果

至陰を使ったグループ(鍼灸治療群)では32%に
逆子がまだみられました。帝王切開に至ったのは37%

待機的な管理のグループ(通常群)では53%に
逆子がまだみられました。

帝王切開に至ったのは50%

費用の面でも、鍼灸治療群が優れていたようです。

この研究では鍼灸治療群の方が逆子位の数が減り、
帝王切開の数も減ったという結果が出ています。

待機的なグループでも約半数で逆子が矯正されています。

鍼灸治療群は約20%増しで効果があるということでしょうか。

費用においては、オランダではコスト減となりましたが、
日本との医療費は違いがあると思いますので単純に
当てはめることはできないと思います。

 

鍼灸の世界では至陰穴へのお灸は逆子治療で有名なのですが、
逆子治療に対してのお灸が有効かつコスト削減に貢献できれば、
帝王切開に比べ身体への負担も少ないことも含め
(少しはお灸の熱さはありますが)
治療の選択肢としてもっと利用されてもいいと考えています。

 

原著はこちらです

 

更年期症状について

 

更年期症状について

  
更年期につらい症状をお持ちで、鍼灸院のホームページを
ご覧になられる方にはさまざまな思いがあるかと思います。
 
「この症状は更年期の症状なのだろうか」
「この症状は改善するのだろうか」
「ホルモン補充療法の副作用が不安」
「鍼灸は更年期症状に効果があるのだろうか」などいろいろでしょう。
 

閉経の前後の更年期は多種多様庵な症状を引き起こします。

原因はホルモンの濃度の変動といわれていますが、
顔のほてり、急に汗をかく、気分が落ち着かない、落ち込む、めまい、
頭痛、動悸など様々です。

ほてりによって睡眠不足になる方も多いようです。

 
ご存知かと思いますが、ホルモン補充療法は更年期症状を
緩和する効果がある反面、長期的な治療や、高齢の方などには
乳がんや心筋梗塞などのリスクがあがるかもしれないといった
デメリットもあります。
 
ご自身の症状の中身や程度をよくお話いただき、ホルモン補充の期間や、
リスク、症状の経過などについて主治医の先生とご相談されたうえで
治療を始められることをお勧めしています。
 
また、ホルモンの濃度だけでなく、更年期の年代における仕事や家庭での役割、
社会的環境も大きく症状に影響されると考えています。
 
具体的には、職場での責任のある立場、両親の介護、子育てが一段落した後の
将来についてなど、様々なことを考えることが多くなるばかりか、
実際にすでにご苦労をされている方も多いことかと思います。
 
 
更年期症状について、なかなか周りの理解を得られず、
苦労されている方も多いようです。
お一人で抱え込まず、周囲の理解を得て、うまく手をかりられると
負担もグッと減ります。
 
鍼灸治療において、Aさんの治療とBさんの治療は症状も程度も違いますから、
内容は変わってきます。それぞれの症状に個別に治療しつつも、
共通するのは体全体の調和が取れるように全身に治療をしています。
 
症状が一気になくなるということはあまりありませんが、
少しでも緩和されるとよく眠れたり、仕事の効率があがったりと
プラスの側面が見えてきます。
 
体調の変化が不安の解消につながり、良いリズムにつながることも期待できます。
 
お悩みの方はぜひご相談ください。
 
 

鍼灸による逆子治療の費用対効果-オランダの研究

オランダ

 

鍼灸による逆子治療の費用対効果-オランダの研究

 

鍼灸による逆子治療の費用対効果について,2010年に
オランダの研究が発表されています。 原著はこちらです。

Cost-effectiveness of breech version by acupuncture-type interventions on BL 67,
including moxibustion, for women with a breech foetus at 33 weeks gestation:
a modelling approach.

 

治療に使用している経穴(ツボ)は、「至陰(しいん)」といって
日本でも一般的に使われています。

この研究でも同じ経穴を使っています。

対象は妊娠33週目で、逆子の胎児を持つ妊婦に対して、
外回転術を含む待機的な管理にくらべ 鍼灸が費用と効果の面で
すぐれているかどうかを研究しています。

 

 結果は

 ・至陰を使ったグループ(鍼灸治療群)では
 32%に逆子がまだみられました。帝王切開に至ったのは37%
 
 
・待機的な管理のグループ(通常群)では
 53%に逆子がまだみられました。帝王切開に至ったのは50%
 
 
 費用の面でも、鍼灸治療群が優れていたようです。
この研究では鍼灸治療群の方が逆子位の数が減り、
帝王切開の数も減ったという結果が出ています。
 
待機的なグループでも約半数で逆子が矯正されています。
 
 
鍼灸治療群は約20%増しで効果があるということでしょうか。
 
 
費用においては、オランダではコスト減となりましたが、
日本との医療費は違いがあると思いますので単純に
当てはめることはできないと思います。
 
鍼灸の世界では至陰穴へのお灸は逆子治療で有名です。

逆子治療に対してのお灸が有効かつコスト削減に貢献できれば、
帝王切開に比べ侵襲性も低いことも含めて
(少しはお灸の熱さはありますが)治療の選択肢として
もっと利用されてもいいと思っています。
 
 
逆子についてはこちらもご参考になさってください。
      ↓
 
 
 
 

逆子に対するお灸の効果-中国、イタリアの研究

イタリア

 

逆子に対するお灸の効果-中国、イタリアの研究

逆子に対するお灸は、昔から有名ですが、
今ではあまり知られていないようです。
イタリア人が、中国で行ったお灸による
逆子治療の研究を紹介します。

対象:妊娠33週目の初妊産婦を対象にしています。

 

方法

お灸をするグループ130名とお灸をしないグループ
130名で比較検討しています。

治療期間は1週間、至陰穴にお灸をしています。
1週間で胎児の位置が変わらないときは、
さらに1週間治療期間を延長しています。

 

結果

妊娠35週目で、お灸をしたグループが98名(75.4%)、
一般的なケアを受けたグループが62名(47..7%)が
正常な頭位になっていました。

お灸をしたグループは分娩時まで頭位を維持しています。
また、一般的なケアをしたグループも81名(62.3%)が
正常な頭位で分娩されています。

 

結論

「妊娠33週目での逆子に対するお灸は胎児の動きを
活発にし、頭位を正常にする」

この文献でも、逆子に対するお灸は効果があることがわかります。

その後、2005年に同じ研究者がイタリアでも同じ方法で
研究をしたようですが、文化的な背景
(お灸になじみがないからでしょうか)から研究を途中で中断しています。

原文(英語)はこちらです。

逆子へのお灸;ランダム化比較試験(中国) 1998

逆子へのお灸(イタリア) 2005