逆子に対するお灸

  

「逆子に対するお灸」


逆子に対するお灸の治療は、昔から有名ですが、今ではあまり広くは知られていません。
イタリア人が、中国で行ったお灸による逆子治療の研究があります。
この研究を参考に、「逆子に対するお灸の効果」について確認します。

対象
妊娠33週目の初妊産婦を対象にしています。

方法
お灸をするグループ130名とお灸をしないグループ(一般的なケアを受ける)130名で比較検討しています。
治療期間は1週間、至陰穴(足の小指にあるツボです)にお灸をしています。
1週間で胎児の位置が変わらないときは、さらに1週間治療期間を延長しています。


結果
妊娠35週目で、お灸をしたグループが98名(75.4%)、
一般的なケアを受けたグループが62名(47..7%)が正常な頭位になっていました。
お灸をしたグループは分娩時まで頭位を維持しています。
また、一般的なケアをしたグループも81名(62.3%)が正常な頭位で分娩されています。


結論
「妊娠33週目での逆子に対するお灸は胎児の動きを活発にし、頭位を正常にする可能性がある」
この文献では、逆子に対するお灸は一定の効果があることがわかります。
その後、2005年に同じ研究者がイタリアでも同じ方法で研究をしたようですが、
文化的な背景(お灸になじみがないからでしょうか)から研究を途中で中断しています。

原文(英語)はこちらです。
逆子へのお灸;ランダム化比較試験(中国) 1998
逆子へのお灸(イタリア) 2005

「費用面での検討」


鍼灸による逆子治療の費用対効果について
2010年にオランダの研究が発表されています。
治療に使用している経穴(ツボ)は、「至陰(しいん)」といって日本でも一般的に使われています。この研究でも同じ経穴を使っています。

対象
妊娠33週目で、逆子の胎児を持つ妊婦に対して、外回転術を含む待機的な管理にくらべ鍼灸が費用と効果の面ですぐれているかどうかを研究しています。

結果
至陰を使ったグループ(鍼灸治療群)では32%に逆子がまだみられました。帝王切開に至ったのは37%
待機的な管理のグループ(通常群)では53%に逆子がまだみられました。
帝王切開に至ったのは50%
費用の面でも、鍼灸治療群が優れていたようです。
この研究では鍼灸治療群の方が逆子位の数が減り、帝王切開の数も減ったという結果が出ています。
待機的なグループでも約半数で逆子が矯正されています。
鍼灸治療群は約20%増しで効果があるということでしょうか。

費用においては、オランダではコスト減となりましたが、日本との医療費は違いがあると思いますので単純に当てはめることはできないと思います。

鍼灸の世界では至陰穴へのお灸は逆子治療で有名なのですが、逆子治療に対してのお灸が有効かつコスト削減に貢献できれば、帝王切開に比べ身体への負担も少ないことも含め(少しはお灸の熱さはありますが)治療の選択肢としてもっと利用されてもいいと考えています。

原著はこちらです

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