腰痛のタイプ-②筋筋膜性腰痛の特徴と対応
「筋筋膜性腰痛」は文字通り、筋肉と筋肉を包む膜「筋膜」を痛めた腰痛です。痛む場所はウエストよりも少し上、ピンポイントというより広い範囲で痛みを感じます。
急性でも慢性でも足の症状はありません。しびれなどもありません。お辞儀をする動作、いわゆる前かがみの動作で痛みが強くなるのが特徴です。
ベッドにうつぶせになっている患者さんを拝見すると、腰や背中の筋肉の緊張で、片方の筋肉が明らかに腫れて盛り上がっています。緊張している筋肉が背骨を引っ張って、一時的に背中が曲がって見えることがあります。(骨自体が曲がっているわけではありません)
急性の「筋筋膜性腰痛」の特徴と対応
急性では筋肉の「ぎっくり腰」として対応します。ゴルフのような急激にひねる動作などで多くみられます。20-40代の男性に多くみられます。痛みも強いです。腰に手のひらをあてて、お見えになります。
急性の時は、痛みも強く、筋膜を痛めているときは少し押しただけでも過敏になっています。痛くないところと比べると「熱」を持っていることがあり、そういったときは鍼では浅く刺します。
「熱」を持っているときは、ご自宅で保冷剤などで冷やされるとはやく楽になります。湿布よりおすすめです。
「急性」の腰痛では強い刺激や手でもんだりすることは避けることを強くお伝えしています。
慢性の「筋筋膜性腰痛」の特徴と対応
慢性では仕事などで腰や背中の筋肉が恒常的に緊張状態になっています。筋肉の中を通る血管をしめつけ、血液の循環障害をおこし、筋肉が疲労している状態と考えられます。痛みの感じは「重い」「突っ張った感じ」などと患者さんは表現されます。
慢性の時は、痛めている筋肉を確認しながら、ひとつづつ鍼・灸でゆるめていきます。
椎間関節の腰痛と合併していることも多いので、筋肉と両方を治療することもよくあります。痛みがおさまってきたらご自宅で、腰・背中のストレッチなどを勧めています。
急性と慢性で対応が少し変わりますが、経過のよい腰痛のひとつだと思います。