埼玉県春日部市の鍼灸院 はり・きゅう はりも

〒344-0058 埼玉県春日部市栄町1-279
Tel:048-763-5323
腰痛

脚の痛みがあちこち移動する腰痛-仙腸関節障害

 

仙腸関節

 

左腰下肢痛-仙腸関節障害の鍼灸症例

 

仙腸関節障害は頻度の高い腰下肢痛で、経過がうまくいっていても
日常生活で負担のかかる習慣があるとぶり返す場合があります。

生活習慣の中に、仙腸関節障害の原因の一端があったと思われる一例です。

こちらの症例は患者さん個人が特定されないよう一部変更を加えております。

 

仙腸関節障害-鍼灸施術症例

患者:70代、女性
主訴:腰下肢痛

現病歴 

2ヶ月前から左腰・大腿後側・下腿前後側につながった痛みがある。
しびれや重さはない。歩いているとつらくなる。

自宅から550m離れたスーパーに歩いていくのがやっと。
途中で休むかどうか、前かがみになると楽になるかどうかは自分ではわからない。

台所ではすっと立てる。立ちっぱなしでも痛みはない。
入浴すると楽になる、長湯も可能。夜間痛はない。

2.3年前正座が出来ないほどの両膝痛を訴え、近隣の診療所で1年間注射や
内服薬を投与され、両膝・足首が象のように腫れたことがある。
その出来事から病院を受診し、半年後に腫れは引いた。

現在はカルシウム剤のみを服用している。現在は一人暮らし。

 一般健康状態

飲酒・喫煙歴はない。服薬はカルシウム剤のみ。
食欲(正)、体重変化無し、睡眠(正)、発熱無し。
排便・排尿に問題なし。

身長 150cm 体重45㎏ BMI 20

既往歴・家族歴 特記無し

身体診察 

SLR test(-) Patrick test(-)、股関節 屈曲・外転・外旋・内旋は(-)
股関節内転時に大転子付近に痛み。

圧痛は左第4.5椎関、腎兪に検出された。放散痛はない。

 

初診時の診断とその根拠 第4.5腰椎神経根症状

  1. つながった痛みである神経根症状がある
  2. 下肢の疼痛部位から判断

 

鑑別診断

  1.  腰部脊柱管狭窄症:歩行時の疼痛、前かがみで緩解するかが不明瞭。
     間歇性跛行の有無が不明瞭のため除外できない。
  2. 腰椎椎間板ヘルニア:しびれがない、経過が慢性である。SLR test(-)で除外。
  3. 股関節疾患:立ち上がりに問題がない。Patrick test(-)で除外
  4. 仙腸関節障害:下肢症状が神経根症状であるので除外。
  5. 椎間関節性腰痛:下肢の疼痛部位が膝より下にでているので除外

 

施術とその指標

痛みを取り、近隣のスーパーに安心して行くのを指標とした。
痛みが半分になるまでは週に1回の施術計画。
またこれまでの経験から医療に対する不安が強い。

 

第1回 
腹臥位にて、第2.3.4.5椎関、気海兪、大腸兪、関元兪にステンレス鍼
40㎜-18号で直刺、2㎝刺入。左梨状に50㎜-20号で直刺。全て15分置鍼。

下腿は反応点に単刺。仰臥位にて、両膝阿是に浅刺、灸頭鍼後、
直接灸各3壮。施術後の足踏みでは痛みは目立たない。

 

第2回 
前回施術3日目から腰が重い、自転車を押しながらスーパーには行けた。
腰のサポーターをしていると楽。Pain scale10→7.5 

現在は痛みより重さが気になる。重みは腰と下腿後側中心。
椅子に長く坐っていられない。センソリーマーチ(-)、腰の前屈・後屈(-)により、
「腰部脊柱管狭窄症」の可能性は下がる。仙腸関節障害を少し疑う。

左第2.3.4.5腰椎椎間関節、気海兪に硬結が検出された。

施術は第3.4.5椎関、気海兪、大腸兪、関元兪、PSIS、
梨状に50㎜-20号で直刺、置鍼15分。直接灸各3壮。施術後Pain scale 5以下。

左上側臥位にて前回の中髎兪付近の仙骨外縁、PSIS、
殿筋の硬結部に50㎜-20号で、置鍼5分を追加。

 

第4回 
徐々に症状が楽になっていたが、急に腰が重くなったとの事。
触擦でも腰部の緊張が強い。

生活を確認すると、長座位をしていることがわかった
初診時は長坐位ができなかったが、最近できるようになり
長坐位の時間が長かった。長坐位による腰の負担を説明。

現在は下肢症状があちこちに移動する。

「仙腸関節障害の疑いをさらに強める。

スーパーまでは歩けるが、その先の公民館までは難しかった。
気海兪、梨状は60-24号を使用し、下肢まで得気をえる。

 

5回 
自ら調子がいいとはじめて伝えられる。Pain scale1-2 
施術頻度を2週に1回にあけたいと希望され、応じる。

施術は前回どおり。60㎜を使用していたところは全て50㎜に戻す。

後日電話にて、調子がいいので様子をみると連絡あり。
スーパーへは普通に行っている。

 

症例のポイント

初診時と2回目で疼痛部位・性状に変化があり、
初診時の鑑別診断をすぐに変更せざるを得なかった。

「つながった痛み」=神経根症状を想起するが、
本当に神経根症状であったかどうかは疑問に感じる。

初診時の「中髎兪の最大圧痛」、2回目の「長く坐っていられない」病歴、
4回目の「下肢症状があちこちに移動する」病歴から考え、

結論は仙腸関節障害

4回目の「長坐位による悪化」は、生活指導がいかに大切かを
再確認する機会となった。

また多裂筋、仙腸関節、L3の関連を
裏付ける症例でもあったように思えます。

 

ぎっくり腰(急性腰痛)-鍼灸症例からの病態と回復

ぎっくり腰(急性腰痛)-(鍼灸症例)

ぎっくり腰になった時、痛みをなんとか
したいという思いから、
いろんなことをしますよね。

予防と同じくらい、なってしまった後の
過ごし方がとても大切です。

ぎっくり腰になったときは
「温めることだけは避けてください」
ぜひお伝えしたいと思います。

その理由は入浴により、炎症が強くなるからです。その結果、

  • 入浴は心地よいが、その後に痛みが増す可能性がある
  • 回復期間がのびる
  • 鍼灸の施術回数が増えてしまう

 

これらについて、鍼灸の症例を通じてより具体的にご案内いたします。
また、ぎっくり腰の病態と回復期間については後半になります。

下記症例は患者さん個人が特定されないよう、内容に変更を加えております

 

 

ゴルフでぎっくり腰になった鍼灸症例

 

患者:70代、男性、連日のゴルフの後、急に腰と足が痛くなった。

普段より多いペースでゴルフをしてしまったのもあるが、
足裏の魚の目が原因で歩き方が悪くなったのだと思う。

昨年冬に運動のあと、生まれて初めて急性腰痛になり
つらい思いをしたので今回も心配になった。

病歴

2日前のゴルフ後の夕方に急に腰が痛んだ。
しかし翌日もお付き合いのためにゴルフの約束があり参加したが、
状態は芳しくない。

立ち上がり時に左足にも痛みがでてきた。しびれはない、
夜間の痛みはない、体重の変化、発熱もない。

前かがみや、立ち上がり、体を右から左に向けた時に腰の下のほうに痛みを感じる。
自分では1か月前からできた魚の目も歩き方に影響し腰痛に関係していると考えている。

拝見したところ、痛みのある部分を圧迫してもそれほど痛みはなく、
また足にもひびかない。熱を持った感じもない。
骨折を疑う所見もありませんでした。

足に症状があるので坐骨神経痛の可能性は捨てきれませんが、
施術後には立ち上がりの痛みや、動作による痛みは8割ほど軽減できました。

ここでまずは一安心ですが、この患者さんは習慣的に温泉に通われています。
昨年の急性腰痛の際も、温泉をお勧めできる状態ではない旨をお伝えしたのですが、
施術前後に温泉に行き悪化された経験がおありです。

今回はなんとか納得していただきました。ソファーよりも、椅子でお休みになり、
日常生活は普通に送る、就寝時は横向きでお休みなるよう伝えました。

2回目にお見えになったときは腰・足の痛みもほぼ気にならず、自転車で来院されました
魚の目も、近隣の病院で処置されていました。

早期の治療によって坐骨神経痛がでなかったのはよかったと思います。
回復期間などから考えると炎症の程度がそれほど強くなかったのかもしれません。

鍼灸施術もそうですが、そのあとの過ごし方にひとつのポイントがあります。

 

温泉

ぎっくり腰と温泉

温泉は慢性的な腰痛には効果的だとは思いますが、
急性の腰痛ではしばしば悪化された患者さんを拝見します。

他にもすでに温泉旅行に行く計画が決まっており、
その直前に腰痛を発症した患者さんがおられ、温泉旅行の初日に違和感を感じたそうです。

急性の腰痛では、発症時から時間の経過とともに炎症が強くなっていきます。
炎症が強くなっている時に、入浴をして温めるとさらに炎症が強くなります。

入浴をどうしても希望される方は、できる限りシャワーなどですまされるようお勧めします。
急性腰痛の場合は、くれぐれも温めて治そうとなさらないでください。

同じ腰痛でも、急性と慢性では生活上の対応が異なります。

 

立ち上がり時にぎっくり腰になった鍼灸症例

患者:40代、男性

病歴

昨日夕方、立ち上がった時に、急に腰の中心部が痛くなった。
ぎっくり腰は2回目。
以前、他の鍼灸院で1週間ほどで改善した。

痛みは現在も昨日と同じくらい。しゃがんで、立ち上がるときに痛い。
前にかがむと痛い。腰から下にしびれはない。

昨晩は入浴し、眠れた。市販の塗り薬、鎮痛剤、コルセットを使った。
食欲正常、体重の増減なし。

 

身体診察

両側の第4腰椎椎間関節を中心に発赤、熱感、圧痛が認められる。
第5腰椎、左第3腰椎椎間関節にも圧痛。うつ伏せは可能。

下肢症状もないため坐骨神経痛を呈するヘルニアなどは考えにくい、
自覚痛・圧通部位から「急性の椎間関節性腰痛」と考えた。

 

鍼灸施術

急性であり、身体診察で炎症所見が認められるため、
40㎜-18号の鍼で第3.4.5腰椎椎間関節、
仙腸関節、上胞肓に浅刺、置鍼10分ほど。置鍼中に痛みが減ってきた。

座位にて、前かがみを確認。仙骨下部に少しつっぱり感が残る程度。
第4腰椎椎間関節に単刺。

前かがみ、しゃがみこみ、立ち上がりなどをチェックして痛みはない。

帰宅後は無理をせず、入浴はさけ、シャワーで様子を見るよう伝える。

 

まとめ

今回の「ぎっくり腰」に対しての鍼灸治療の結果は、患者さんには非常に喜んでいただき、
その点は非常にうれしく思います。

しかしながら鍼施術1回で回復というよりは、
少ない回数で改善する「病態」であったといったほうが
適切だと思います。

トイレまではっていけないような方もおられる一方で、
鍼灸院に自力で来院できる方もおられます。
前者のような状態では一定の施術回数と時間が必要です。

患者さんは前日に入浴をされていたのが、炎症を強くした要因の一つかもしれません。
急に痛めたときはなるべく温めないのがよろしいかと思われます。

 

急性腰痛(ぎっくり腰):病態と回復期間の関係

急性腰痛、いわゆる「ぎっくり腰」において痛む部位・程度は様々です。

「痛みで立ち上がれず、トイレにもはっていくレベル」から
「歩いて来院できるレベル」まで、
同じ「ぎっくり腰」でも違いがあります。

痛みの部位、程度によって回復期間が違います。
下記の症例は「関節」の痛みで、車で来院されたケースです。

パソコン作業

 

長時間のパソコン作業でぎっくり腰になった鍼灸症例

患者:40代、男性、

「長時間のパソコン作業が原因で腰に負担がかかったのだと思う」
「明日、外せない用事があるためなんとかしたい」

主訴:急性腰痛

病歴:2日前に長時間のパソコン作業をした後に、左腰に痛みを感じた。

痛むところは左腰、第3腰椎椎間関節と、左仙骨外縁。痛みはズキンとした刺すような感じ。
くしゃみ、笑う
、ふりむくなどの動作で痛みが強くなる。

昨日の朝には腰がつったような感じがした。
市販の痛み止めを服用したが、あまり効果がない。

痛み以外では、左ふくらはぎ外側にしびれが少しある。
お尻、太腿、足の指などには症状はない。

夜間の痛み、安静時の痛みはない。お小水、お通じは正常。発熱、体重の増減もない。
これまでに大きな病気はなく、健康診断も正常。

15年前にもぎっくり腰になった経験がある。鍼治療の経験はない。

 

身体診察
家族に車で送ってもらい来院。車から当院までは腰に手をあてて、
自力で歩いてこられた。

左腰部に少し熱感あり。圧痛は左第3.4椎間関節、PSIS、仙骨外縁、上胞膏に認められる。

 

鑑別診断とその理由
ふくらはぎ外側のしびれがあるが、下肢のほかの部位にしびれや痛みなどがないため、
ヘルニアの可能性は低いと考えた。

ふくらはぎのしびれは、仙腸関節の影響と判断した。
痛む部位から、第3.4椎間関節と仙腸関節による関節の痛みと判断した。

 

施術とその経過

腹臥位にて第3.4.5椎間関節、仙腸関節、外胞膏、気海兪、
大腸兪に寸6-4番鍼で置鍼1センチ、
10分を行った。その後座位にて、第3腰椎椎間関節、仙腸関節に単刺を行った。

治療後、歩行中に腰に手をあてることなく、ふりむく動作も痛みなくできた。
ふくらはぎのしびれも消えた。翌日の用事にはなんの支障もなく行けた。

 

急性腰痛に関する説明の一例

鍼治療を始める前に、患者さんには以下のように説明をしてご納得いただきました。

「ふくらはぎにしびれがあるので、ヘルニアの初期症状の可能性は捨てきれませんが、
現在の症状から判断すると関節の痛みが原因と思われます。
急性腰痛で関節の痛みは比較的早く良くなります。

明日以降に下肢症状の範囲がひろがったり、痛みが強くなった場合は
ヘルニアの可能性がありますので、
その際は1か月ほど回復までに期間がかかるかもしれません。」

「ヘルニア」は痛みやしびれが強く、腰から足の指まで坐骨神経に沿った神経痛があります。
また鍼施術を1度したくらいでは、今回の様に症状が劇的に改善しません。

「椎間関節性腰痛」では通常膝から下には症状はでません。

「仙腸関節性腰痛」では下肢症状はありますが、坐骨神経に沿った神経痛ではありません。

急性腰痛も様々なタイプがありますが、今回は「関節」が原因だと思われた腰痛でした。

自力で歩行できており、下肢症状の範囲がせまく、痛みはありながらも、
1度の鍼治療で改善された結果を考えると、程度としては軽度の急性腰痛だと思われます。

関節が原因でも炎症が強い場合は、治療期間が長引きますし、
炎症が強いときの入浴をは回復を遅くします。

今回のように「ぎっくり腰」が1回で改善する場合もありますが、
私は下記のように考えています。

「患者さんの状態(病態)」×「適切な施術」(鍼に限らず)×
「悪化させない生活」=「回復期間」
 

 

最後に

  • ぎっくり腰の時は、温めないようにしてください
  • 病態によって回復期間は様々です
  • ヘルニアのように下肢症状があるものとの区別が必要です。


参考記事

ゴルフでぎっくり腰になったときにしてはいけないこと
「ぎっくり腰」になった時に知っておいてほしいこと

   

     

 

 

【文献】腰痛があるドライバーはゲルシートクッションが良いかも

職業性ドライバーの慢性腰痛

 

慢性腰痛で仕事で運転をされる方には
ゲルシートクッションが良いかもしれません

 

職業柄運転が中心となる仕事の方には、腰痛でつらい思いを
されている方が多くいます。


鍼灸の研究報告ではありませんが、生活上の管理は腰痛対策
として非常に重要です。

比較的新しい以下の報告は、腰痛管理のひとつとして
お役にたてるかもしれません。

 
*自己学習も兼ねて、海外論文を紹介する記事です。
 誤訳などの可能性もありますので原文での確認をお願いいたします。


Effect of gel seat cushion on chronic low back pain in occupational drivers:
A double-blind randomized controlled trial.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30290629

 

【文献】職業性ドライバーの慢性腰痛に対するゲルシートクッションの効果
二重盲検ランダム化比較試験

 
背景
 
腰痛(LBP)は、非常に一般的な症状であり、医療および
社会的に重大な負担となる。

長期間座ることは、腰痛の一般的な悪化要因です。
シートクッションは快適性を促進し、圧力を軽減し、姿勢を
修正することが知られているが、慢性腰痛に対するその効果は
まだ調査されていない。
 
この研究は、職業性ドライバーにおける慢性腰痛に対する
ゲルシートクッションの臨床効果を評価することを目的とした。
 
方法
 
慢性腰痛を6ヶ月以上継続する職業運転手が採用された。
 
被験者は二重盲検で無作為に2群(ゲルおよび発泡クッション群)に
割り当てられ、運転中に提供されたクッションを使用するよう指示された。
 
痛覚閾値および組織硬度は、デジタルアルゴメーターを使用して、
圧痛点で測定した。プライマリエンドポイントの分析には
数値疼痛強度尺度(NPIS)、ローランド・モリス障害性
アンケート(RMDQ)、オスウェストリー障害指数(Osw)を
使用したが、第2エンドポイントには
Beck Depression InventoryおよびShort Form-6Dが使われた
 

結果


被験者80名中75名(ゲルクッション群40名、発泡クッション群35名)を
分析に含めた。

両群とも、クッション使用後のNPISおよびODIスコアの
有意な改善を示した。

Beck Depression InventoryおよびShort Form-6Dスコアの結果は、
ゲルクッションの使用が有意に有用であることを示した。

NPISスコアの変化は、ゲルクッション群では
発泡クッション群よりも有意に大きかった。

 

結論

ゲルクッションの使用は、発泡クッションの使用に比べて
長時間着座した職業運転手のLBPを軽減するのに有効である。

 
読んでみて
 
トラックドライバー、宅急便、タクシーの運転手などの方は
座っている時間が長く、腰痛持ちの方も多いです。
 
運転している時間が最も長いので、その時間のセルフケアは重要となります。
 
長距離運転の場合は、休憩を入れてこまめに 休んだり、
車の外にでて少し歩いたり、立ったりをしてただくようにしています。
またシートの角度もあまり傾けすぎないようにしていただいています。
 
今回の報告であったゲルシートはアマゾンなどでも様々な種類が
でているようです。私自身はあまり運転もしませんし、
腰痛もありませんが、
比較的簡単にできる対策なので
覚えておきたいと思います。
 
 
 
 
*1  Numeric pain intensity scale(NPIS):痛みの強さを評価する尺度
*2  Roland-Morris Disability Questionnaire(RMDQ) 腰痛による日常生活の障害を患者自身が評価する尺度
*3  Oswestry Disability Index(ODI):患者立脚型の腰痛疾患に対する特異的評価法のひとつ
*4  Beck Depression Inventory: 抑うつの程度を客観的に測る自己評価表
*5  Short Form-6D(SF-6D):QOL尺度の評価
 

 

ゴルフでぎっくり腰になったときにしてはいけないこと

 

golf

 

「ゴルフでぎっくり腰になった後は、熱いお風呂に
入らないでください」

「ぎっくり腰」は急性の腰痛です。

 「炎症」があるため、熱いお風呂にはいることで、「炎症」をさらに強めます。
 
お風呂に入ると、、、
 
  • 炎症が強くなり、痛みが強く・長引く
  • 好きなゴルフへの復帰が遅くなる
 
 ゴルフに関係なく、ぎっくり腰の後のお風呂は避けていただきたいのですが、
 
特に「ゴルフ」をなさる方は、その直後に「お風呂」を楽しむ方が多いことから、
「ぎっくり腰」と「お風呂」の関係をこれまで繰り返しお伝えしてきました。
 
この記事では、ゴルフによる「ぎっくり腰」の原因と対策についてご案内いたします。
 
 

ゴルフでのぎっくり腰の原因

明確な原因を特定するのは難しいですが、
ゴルフは腰痛を引き起こす要因が多いと思われます。

 
  • 朝早く始まることが多く、身体がまだ冷えている
  • 睡眠不足
  • ウォームアップ不足・普段運動不足の方もいる
  • 車での長時間の移動が多く、ゴルフの前に腰に負担がかかっている
  • スイングによる一方向の動き
  • ドライーバーなど、強いスイングからはじまる(急な強い動き)

 

ゴルフでのぎっくり腰を防ぐ対策

ゴルフと運転

 

  • 睡眠はしっかりと
  • 車で長時間移動する際は、休憩を
    こまめにとって、座りっぱなしは避けましょう
  • スタート時間には余裕をもって到着し、ゆっくりと身体を動かしましょう
  • 普段から軽い運動習慣や、腰に負担のかからないスイングを
    柔軟性や可動域をストレッチなどで確保しましょう
  • 普段から腰痛があるかたは腰ベルト・サポーターなどを念のため用意しておきましょう
  • ゴルフ後は、静的なストレッチなどを入念に

 

ゴルフでぎっくり腰になった場合

アイシング

  • 冷やしましょう(湿布よりも、氷、保冷剤がベターです)
  • 温泉・入浴は✖、温度の低いシャワーで流す程度ですませましょう
  • 強い力で押したり、もんだりしない
  • 帰りの運転は代わってもらいましょう
  • 痛めた当日、翌日くらいまでは休めましょう
    (長期の安静は回復を遅くします)
  • ゴルフの再開・復帰時にいきなり
    ドライバーから打ち始めない。
 

腰も大事、他も大事

 
当院でも75歳を超えてゴルフをされている患者さんがいます。
 
スイングは身体全身を使います。
足首・膝・腰・背中・肩甲骨・首などがスムーズに回転すると、
力に頼らない、無理のないフォームでスイングができます。

どこかが硬いと、飛距離やコントロールに影響はでますし、
もちろん身体にも負担がかかります。
 
ゴルフをされている方をよくみていると、
腰痛以外では右足の「すね」の外側
(腓骨周囲)を痛めている方が多くおられます。
 
スイングしたときに、右足もひねることで
痛めるようです。
左足の方は一人もいませんでした。
足首や「すね」も少し前もって動かしておくとよろしいかとおもいます。
 
スタンスでは、足の指先の向きが外に向いているのか、内に向いているのか、
そのような微細な違いだけでもスイングのしやすさはずいぶん変わります。
 
さらに肩甲骨周囲を緩めるだけでも、
スイングはしやすくなります。

当院では腰以外に足や、肩甲骨・頚なども
同時に診ます。
特に手技で肩甲骨範囲を緩めて、
可動域を広げます。
 
そして、体操を教えています。
この体操を準備運動や普段のコンディション
作りに活用していただいています。

体操を一つするごとに、可動範囲が広がるのを実感でき、かつゴルフ場で試す
ことができるので、患者さんには喜んでいただいています。
 
今回は、一般のゴルファーの方向けに簡単にまとめてみました。
 
当院では「ぎっくり腰」を訴えて来院された方の40%が
普段から「ゴルフ」を楽しまれていました。
 
直接の因果関係は明確ではありませんが、
尋ねてみると準備運動をされていないことも多いようです。

上に挙げた以外にも個別の原因はあるかもしれません。
 
これまでの内容を少し意識していただくことで、ぎっくり腰の可能性を減らし、
長く楽しんでいただければと思います。
 
 
最後に
鍼灸師
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
最後にもう一度、

ゴルフで「ぎっくり腰」になったときは、
入浴は厳禁です。
 
これだけは覚えていただきたいと思います。

入浴された方では鍼灸施術の回数がかかることがあり、
非常にもったいないです。
 

慢性腰痛-5年間続いた腰痛(鍼灸症例)

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慢性腰痛-5年間続いた腰痛(鍼灸症例)

 

腰痛は当院で最も訴えの多い症状です。

腰痛の原因は様々で、症状や程度、経過も
患者さんにより異なります

今回はその一例をご紹介いたします。

この症例は患者さんが特定されないよう、一部変更を加えてあります。

 

鍼灸症例

 

患者 50代 男性 

主訴 腰痛

 

背景 

5年前から慢性的な腰痛に苦しんでいる。
様々な治療を受けてきたが不満がある。
インターネットで調べて、筋筋膜症だと思っている。

 

現病歴

5年前に腰痛発症、大学病院でヘルニアと診断される。
一時痛みは落ち着いたが、2年前にヘルニアが再発した。

下肢のしびれが強かったため、近隣の整形外科で内視鏡での
手術を受ける。
手術後、腰の張り感が残るがそのうち良くなるといわれた。

手術前ほどではないが、腰の痛みが残り他院を受診し、
服薬するが効果がない。

数週間前にペインクリニックを受診し、硬膜外ブロックを
1か月に4回受けるが改善しない。

接骨院などの電気の治療は以前受けたことがあるが、
体に合わない気がする。

 

現在、座敷に坐っているとき、立っているとき、
仕事中の前かがみで痛みを感じる。
また振り返ったり、
後ろに反っても痛みが出る。

階段、歩行、椅子、立ちあがり、就寝時には痛みを感じない。

痛みところはウエストのライン、第4.5腰椎椎間関節付近。
下肢にしびれはない。

痛みの性状は、こり、張り、重み。夜間痛、発熱、
体重減少はない。緩解動作や姿勢はわからないとのこと。

 

一般健康状態 

食欲正常、睡眠はたまに導入剤を服用、機会飲酒週に2回ほど。

 

既往歴 

10年前 頸椎椎間板ヘルニア(手術済)、5年前 
腰椎椎間板ヘルニア(手術済)

身体診察 第3.5椎間関節 大腸兪、関元兪に圧痛

 

初診時の診断とその根拠 

椎間関節性腰痛

  1. 椎間関節の自覚痛と圧痛
  2. 下肢症状がない
  3. 安静時痛なし
  4. 歩行に異常がない

 

鑑別診断

  1. 腰部脊柱管狭窄症:歩行に異常がない、下肢症状がない
  2. 腰椎椎間板ヘルニア:下肢症状がない、

 

施術とその指標

第1回 腹臥位にて第3.4.5椎間関節、大腸兪、関元兪、
上胞膏に50㎜-20号で直刺。15分置鍼
座位にて右大腸兪に単刺。

病歴にあった疼痛動作を確認。座敷に坐る姿勢、
立位、前かがみ、振り返り、後ろに反る動作では痛みが出なかった。

慢性的かつ受診歴が多い腰痛の割に、痛みが軽減したことに
少し疑問を感じる。

 

第2回(3日目) 

前回の治療の翌日から痛みが再発した。

以前より奥に痛みがあることがはっきりとわかるとのこと。

再度痛みのあるところを確認。右第5腰椎椎間関節、
大腸兪、関元兪の奥に硬結を認める。

大腸兪、関元兪は鍼を60㎜-22号に変更。
置鍼時間も20分に変更した。

第3回(10日目) 

あれから痛みはほとんどなかった。
すこし後ろに反った時に痛みを感じる。

2か月ぶりに趣味の自転車のツーリングに行くことができた。
仕事のお付き合いでのお酒の席でも、座敷だったが最後まで
楽しめたとのこと。

痛みが取れて活動的になったせいか、右第5腰椎椎間関節の
奥には硬さはまだ残っている。

その後、月1回程度予防のために来院されているが、
日常生活に支障はなく過ごされている。

 

症例のまとめ

この患者さんは慢性的な腰痛で、手術歴もあり、
医療機関で満足のいく結果を得られてない背景がありました。

病歴や身体診察、施術の経過から、患者さんの考えていた
筋筋膜性腰痛ではなく、椎間関節性腰痛の可能性が高いと
判断いたしました。

椎間関節性腰痛ではありますすが、患者さんの背景、
病態からは少し時間がかかると思われました。
(経験的に手術歴があると鍼の効きが少し悪くなる印象があります)

 

初診時の鍼の種類、深さ、時間では直後効果こそあったものの、
その効果を維持させることはできませんでした。

2回目に治療方法を変更したところ、思いのほか早く
改善がみられました。
薬やブロック注射がなぜ効果を
発揮しなかったことに関してはわかりません。

その当時と今回とで病態が違っていたのかもしれません。
(以前には鍼が効かずに、ブロック注射で効果があった患者さんもおられました。)

 

 鍼灸院にお見えになる患者さんは、整形外科、接骨院、整体、
マッサージを経て
最後に鍼灸治療を選ぶ方が少なくありません。

鍼灸が他の治療法より絶対的に優れていることはありませんが、
(どの治療法も絶対的なものはないと思いますが)
今回の患者さんのように最後に鍼灸で良くなられる方が
おられることもあります。
鍼灸も治療の選択肢として
ご検討いただければと思います。

 

長時間坐っていることが多い方へ-腰痛と糖尿病

椅子

 

時間坐っていることが多い方へ-腰痛と糖尿病

 

当院の「症状と症例」で紹介している「腰痛とソファーの関係」
 「腰下肢痛と炬燵の関係」
の記事では、長時間座っていることが
腰にかける負担について紹介しています。

特に、宅急便やトラックの運転をなさる方、もちろん事務作業で
坐っていることが多い方にはなるべくトイレやなどの休憩や、
意識的に立ち上がって同じ姿勢でいないことをお勧めしてきました。

 

今回の報告は、長時間の座位によって「耐糖能異常」
いわゆる糖尿病予備軍の割合が高くなるというものです。

下記記事でわかりやすく説明されています。

 

長時間の座位による健康被害 (医学書院HP)

 

対策としては、やはりずっと座っているのではなく、こまめに
立ち上がるだけで随分違うようです。

 

・時間を決めてトイレに立つ、お茶を入れる

・運転される方は休憩のポイントを決めておく など

 

ご自身の仕事の都合にあわせて決め事を作っておくといいかもしれません。

筋肉や関節が原因でなる腰痛の予防だけでなく、糖尿病予防という
観点でも長時間の座位はあまりよくないようです。

 

 

 

 

楽しいことをするのが腰痛の回復につながる

 

腰痛でも可能な範囲で楽しいことを続けましょう!

 

「腰痛の原因にはストレスが関係している」といった情報を
すでにご存知の方も増えてきています。

腰痛には「骨や椎間板などの痛み」、「神経の痛み」、
そして「ストレスなどの心因性の痛み」の3つが複合していると
言われています。腰痛の原因が「腰以外」にもあります。

 

画像検査と痛み

痛みがあっても、レントゲンやMRIなどの画像ではなんの
異常もなかったり、手術をしても痛みが消えない場合があります。

特に心の問題が残っていると、手術後も痛みが続くようです。

一方で、画像検査でヘルニアなどがみつかっても、7割の患者さんは
痛みを感じない場合があります。

骨折や腫瘍をみつけたりなど、画像検査は重要な検査法ですが、
「画像検査だけ」では痛みの原因を完全には把握できないようです。

 

新しい腰痛治療

画像検査にはうつらない「ストレス」ですが、腰痛への影響が
多いことがわかってきました。

したがって、患者さんの「ストレス」に焦点をあてるのが
腰痛治療の大切な柱になってきています。

一部の整形外科では、問診を丁寧に行い、患者さんの
心理・社会的問題の把握や、抗うつ薬、抗不安薬の処方、
精神科との協力体制など、心理面を重視した診療が始まっています。

このような取り組みにより、手術をする必要がなくなったり、
手術後の痛みが緩和した患者さんが増えているようです。

時間も手間もかかるとおもいますが、素晴らしいと思います。

 

自分でできる腰痛対策

自分でできる腰痛対策

慢性腰痛のポイントのひとつがストレスです。

よく「腰痛対策には筋トレだ」と聞きますが、
当院では「筋トレ」ではなく「運動」をお勧めしています。

「運動」といっても「歩く」程度の運動です。患者さんによっては
「運動=息が上がるような激しい運動」といったとらえ方をされます。

この「歩く」目的は、「安静にせず外に出る」です。

「安静」→「筋力低下」→「血行不良」→「痛み」の悪循環

「安静」→「腰痛にばかり意識が向く」の悪循環

この2つの悪循環を「運動」によって解消するのがひとつの方法です。

 

ストレスの考え方

ストレスの根本原因(職場環境や家庭問題)を解決は、そんなに簡単に
解決できないと思います。

また「気にしない」のも、意識して「気にしない」と
できる方はあまり多くないのではないでしょうか。

ストレスを取り除くよりも、
他に楽しいことをして腰痛に意識が向く時間を少しでも減らす

「楽しいことをする」のが大切なポイントなので、
必ずしも「運動」でなくてもかまいません。

人に勧められた「腰痛にいいこと」よりも、ご自分が「楽しいと思えること」を
続けていただくのが大切です。

以前、身体のあちこちに痛みを訴えられた患者さんがおられました。

当院では鍼灸治療以外にも、日常のストレスなどの話をうかがったり、
いろんな提案もいたしました。最後には家庭菜園といった楽しみを見つけられて、
次第に来院される回数が少なくなり、たまに近況を報告していただいています。

家庭菜園は多少力も使ったり、しゃがんだりと、身体には負担のかかりそうな
ご趣味ですが、楽しいことをするのが身体と心にいかに良い影響を与えるかを
目の当たりにいたしました。

痛みがあると、実際にはなかなか難しいこともありますが、
少しずつでも「楽しいこと」に意識を向けるのは心身ともに
有益だと思われます。

 

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腰痛のタイプ⑤-腰部脊柱管狭窄症

腰痛のタイプ⑤-腰部脊柱管狭窄症

 

腰部脊柱管狭窄症とそのタイプ

「腰部脊柱管狭窄症」は「脊柱管」とよばれる脊柱の中の管が狭くなることによって、そこを通過する神経や周囲の骨、筋肉などの軟部組織との関係が悪化し、様々な神経の症状があらわれるといわれています。

タイプは3つあります。

①馬尾型

下肢、臀部、会陰部に感覚異常がおこります。しびれが特徴で、下肢の脱力感があり、左右両方にあらわれます。痛みは通常ありません。また膀胱の障害があります。(頻回にお手洗いに行きたくなったり、尿が出なかったりなど)。膀胱の症状は患者さん自身に自覚症状がなくても検査で障害がみつかることがあります。そのため、膀胱の自覚症状がなくても、馬尾型の他の症状があるときは、病院への受診を強くすすめます。

②神経根型

下肢、臀部の「痛み」がメインです。左右片側のときもあれば両方のときもあります。
まれに痺れがあることもあります。

③混合型

①の馬尾型と②の神経根型の両方が合併したものです。

タイプに関係なく共通する症状に「間欠跛行」があります。歩行や長時間立った状態でいると、下肢にしびれ・痛み・異常感覚などがおこります。前かがみになり、休むと楽になります。自転車やスーパーでのカートを押すなどの姿勢では動くことができるとおっしゃる患者さんが多いのはそのためです。

以上の3つのタイプがあります。画像診断で、脊柱管が狭くなっていても無症状の方がおられたり、狭いままでも保存療法(手術ではない、運動や、湿布や、服薬、ブロック注射など)で良くなる方は少なくありません。脊柱管が狭いといった要素だけが原因ではなく、周囲の神経への血流障害などが関係しているからと言われています。

 

腰部脊柱管狭窄症のタイプによる対応の違い

①の馬尾型の場合は、すぐに手術がすすめられます。自然に改善することがほとんどないからです。特に膀胱の機能を守るためにも早期に病院を受診されることを強くお勧めします。手術によって膀胱の障害や間欠跛行などの症状が治りやすいと言われています。しびれは残りやすいようです。

②の神経根型は自然によくなることがあります。病院でも保存療法で様子をみて、症状が改善しないようなら手術の選択を検討しています。

 

腰部脊柱管狭窄症で残りやすい症状

安静時の症状、下肢末端のしびれは手術をしても残りやすい症状です。腰部脊柱管狭窄症そのものが高齢で発症することが多いことからも、手術時の年齢が高くなり、神経組織の回復に時間がかかることなどが関係しているといわれています。

 

鍼灸治療でのアプローチ

馬尾型はまずは病院での治療です。神経根型は保存療法の段階、初期から中期は鍼灸治療の適応範囲と思われます。
脊柱管が狭くなることを鍼灸で止めることはできません。しかしながら初期から中期の脊柱管狭窄症の症状が鍼灸治療でよくなった事例は当院でもあります。またそういった報告もよく聞きます。

腰部脊柱管狭窄症が神経の圧迫要因だけではなく、周囲の筋肉などの軟部組織が病態に影響し、神経への血流障害がおきていることが症状の要因のひとつであるということを考えると、鍼灸治療による神経根型の初期から中期へのアプローチは可能と考えています

また腰椎の前彎(反り方)が強くなると、腰に負担がかかります。それを避けるために、股関節の可動域の改善や腹部や臀部の筋力維持、背部や腸腰筋、大腿前面のストレッチなども勧めています。

 参考症例:腰部脊柱管狭窄症-半年続く腰下肢痛

腰痛のタイプ④-高齢者の腰痛:圧迫骨折

腰痛のタイプ④-高齢者の腰痛:圧迫骨折

 

骨粗鬆症から脊椎骨折

高齢者に多いのが骨粗鬆症です。骨粗鬆症では痛みはありません。
骨粗鬆症から脊椎骨折になると通常は「痛み」があります。

脊椎を骨折した1/3の方が痛みを感じ、残りの2/3の方は
骨折があっても痛みを感じないといった報告があります。

また、尻もちや転倒など明らかな外傷がなくても、
20%の方に骨折がみられるようです。

つまり、骨折した本人も気づいていないところで
骨折している可能性があります。

「患者さんに骨折を思わせるイベントがなくても、骨折を否定できない」
ことに注意する必要があります。

 

複数の骨折による姿勢の変化と慢性腰痛

加齢によるものだけでなく、脊椎骨折の経験や、気付かないで
骨折するなどして、複数箇所の骨折は脊椎の変形を招いていきます。

脊椎の変形によって、脊柱周囲の関節、筋肉、靭帯などに
持続的に負担がかかることで慢性の腰痛につながります。

背中が丸くなることで、重心の変化などがおこり、
股関節(大腿骨頭の被覆率が減少すること)や

膝関節(大腿直筋への過剰な負担)に二次的な負担が
つながっていくことがあります。

抵抗はあるかもしれませんが、杖を使用したり運動をすることで
姿勢への影響を減らしていくのがお勧めです。

 

急性の圧迫骨折

急性の圧迫骨折は痛みも強く、ベッドから起き上がるのにも
時間がかかります。病院では鎮痛剤、コルセットが処方され、

安静でいることを求められます。

実際に痛みが強いため、寝返りも大変です。

一方で、圧迫骨折の患者さんは高齢者が多いため、
あまり長期にわたって安静にしていると筋力が
低下する可能性があります。

腰の痛みが改善した時に、立つことや、歩くことが
困難になるのを防ぐ必要があります。

 

圧迫骨折による腰痛に対する鍼灸

残念ながら鍼灸で骨を再生することはできません。

急性時には骨折した周囲の筋肉や関節部が主な治療部位になります。

骨を支える筋肉などの緊張をとり、まずは寝返り、座位、
立位、歩行と順番にできることを目的とします。

 

痛みによる長期臥床からの筋力低下を防ぐことと、
他の関節の拘縮に気を付けることが大切です。

薬物療法と鍼灸を併用した病院では、薬物療法単独よりも
痛みの軽減が早まった報告などがあります。

骨折から時間が経過し、慢性腰痛がある場合には、股関節や
膝関節など二次的な問題も考慮します。

程度にもよりますが、運動と鍼灸、日常生活の工夫などで、
地道に対応する必要があります。

 

 

腰痛のタイプ③-仙腸関節由来の腰痛

腰痛のタイプ③-仙腸関節由来の腰痛

 

仙腸関節とは

仙腸関節は骨盤を形成する逆三角形の「仙骨」とそこから左右に扇のように接する「腸骨」からなります。仙腸関節由来の腰痛の研究は進んで、腰痛の10%を占めるという報告もありますが、まだあります。他の関節のように動きはありません、関節運動はごくわずかです。病率や診断基準が確立されていません。

 

 仙腸関節由来の腰痛の特徴

患者さんに一本で痛いところを示していたらと、仙腸関節部を示します。その他に、鼡径部や下肢に痛みがあることがあります。特に下肢の痛みは特徴があります。

よく知られている坐骨神経痛では腰、殿部、大腿(ふともも)、下腿(ふくらはぎや脛)、足の指に痛い、しびれが「つまった」感じでいつも同じように症状があります。

一方、仙腸関節由来の腰痛では日によって痛む場所が違ったり、痛む場所が「つながった感じではなく、バラバラ」であることが特徴のひとつです。また左右どちらの痛む方を下にして横向きになって休むと痛みが増す傾向があります。座っていると痛みが増しますが、歩きはじめると楽になる方もおられます。

仙腸関節由来の腰痛は、産後に痛みを訴えるのが特徴的といわれていますが、性別・年齢にかかわらず誰でもかかる可能性がある腰痛の一つといった報告があり、当院でも産後の患者さんよりも50-60代の女性に多い印象があります。

今まで拝見した患者さんでは、バスツアーや飛行機による長時間の移動で仙腸関節に痛みを訴えることが多いと思われます。狭いシートで仙腸関節が左右から挟み込まれ、同じ姿勢でいることが原因ではないかと推測しています。

仙腸関節由来の腰痛は、腸骨が骨化したもの、結核性や化膿性のものは画像や血液検査で診断できるようですが、それ以外のものは画像では異常がみつからないことも多いようです。仙腸関節にブロック注射をして、痛みの軽減があればそれをもって診断とするといったこともあるようです。

 

仙腸関節由来の腰痛になった時の日常生活での対応

 まず痛いほうを下にして横になると痛みが増しますので、痛いほうは天井の方に向けられた方がいいでしょう。またゴムベルトをウエストではなく、仙腸関節の高さで、腰というよりお尻に巻くイメージで巻かれると楽になります。長時間座ることは避けて、歩かれると痛みが軽減する方を多く見ています。

 

仙腸関節由来の腰痛に対する鍼灸治療

仙腸関節周囲に鍼をいたしますが、股関節や腰の関節との関係を診て鍼灸治療をしています。仙腸関節だけを治療するよりも、腰の関節や仙腸関節に負担をかけている要素を見つけるようにしています。仙腸関節に原因があり、実際にそこに鍼を的確にすると直後効果が著明にあるのも仙腸関節由来の腰痛の特徴です。

 参考症例 股関節の痛み-仙腸関節障害