[文献]成人患者の手術後の悪心・嘔吐に対するツボ刺激の効果:メタ分析

[文献]成人患者の手術後の悪心・嘔吐に対するツボ刺激の効果:メタ分析

Metaanalyses of acustimulations: effects on nausea and vomiting in postoperative adult patients.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16781643

*自己学習も兼ねて、鍼灸の海外文献を紹介する記事です。
誤訳の可能性もありますので、原文での確認をお願いいたします。

手術後の成人患者に対するツボ刺激(指圧・鍼・電気)の報告です。
当院のような街中の鍼灸治療院では、このような症状の患者さんが
お見えになることはほとんどありません。病院などで活用できる内容でしょうか。

[背景]

メタアナリシスを使用して、手術後の成人集団における
悪心および嘔吐症状(NVS)に対するツボ刺激の影響を調べる。

[方法]

手術後の成人集団におけるNVS に対する様々な鍼刺激(AS)
(鍼灸、指圧、電気刺激を含む)の影響に関するメタアナリシスを実施した。過去30年間で発表された33のランダム化比較試験(RCT)が
ランダム化と治療法の質を評価することで確認された。結果は、固定効果モデルを用いて統合されています。

[結果]

悪心を扱った24の試験、嘔吐を扱った29の試験、制吐剤を扱った19の試験があった。

ツボ刺激群は悪心 RR = 0.60, 95% CI: 0.54-0.67, P < .0001)
嘔吐 RR = 0.63, 95% CI: 0.54-0.74, P < 0001)
制吐剤 RR = 0.63, 95% CI: 0.54-0.74, P < 0001)
薬物群とツボ刺激群で相対危険値において、有意差はなかった一方で薬物群は制吐剤の使用を増やしている面もある。RR = 2.27, 95% CI: 1.48-3.49, P = .0002).
 対照群と比較したときにプラセボ効果があった。
悪心  RR = 0.67, 95% CI: 0.50-0.90, P = .0069)
 嘔吐 RR = 0.39, 95% CI: 0.19-0.80, P = .0106)
ツボ刺激群、制吐剤ともに悪心、嘔吐を減らしたとしている。

[結論]

このメタアナリシスによってツボ刺激は悪心・嘔吐を薬剤と同様に
低下させる可能性がある。指圧は鍼・電気刺激と同じくらい手術後の成人に対して
悪心・嘔吐を減らすのに効果的かもしれない。

[読んでみて]

結論では悪心・嘔吐に対してツボ刺激は薬と同じくらい
効果があるかもしれないことをこのメタ分析は示している。

一方でプラセボもあり、結果だけを単純に受けとれない面も
まだまだあると思われます。

手術後ではありませんが、乗り物酔いなどの悪心に対して、
手首の内側のツボを使用します。

旅行グッズなどでも、乗り物酔い対策でそのツボに近いところに
刺激をあたえるバンドなどをお店で目にします。
指圧と同じように、物理刺激が何らかの効果をもたらしている
可能性がありそうです。

参考記事

・検査で異常がないと診断された吐き気・食欲不振の鍼灸症例

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