【文献】安定した慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の栄養状態に及ぼす鍼治療の効果:ランダム化比較試験・COPD鍼治療の再解析

【文献】安定した慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の
栄養状態に及ぼす鍼治療の効果:
ランダム化比較試験・COPD鍼治療の再解析

Effects of acupuncture on nutritional state of patients
with stable chronic obstructive pulmonary disease (COPD):
re-analysis of COPD acupuncture trial, a randomized controlled trial.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30355325

*自己学習も兼ねて、鍼灸の海外文献を紹介する記事です。
誤訳の可能性もありますので、原文での確認をお願いいたします

日本の大学での研究報告です。一部の新聞でも記事が掲載されていたようです。

[背景]

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は全身性疾患であり、
体重減少が顕著な症状であるというエビデンスが増えている。

我々は栄養状態の経過に焦点を当てて、COPD患者の栄養状態と
以前の介入研究における予後に及ぼす鍼治療の効果について調査した。

[方法]

 現在の研究は、2012年に発表された以前の介入試験である
COPD鍼治療試験(CAT)の再分析である。
COPD鍼治療試験(CAT)のデータは、栄養状態、
炎症バイオマーカー、および予後の観点から再解析された。
栄養状態は、体重、体組成、筋力の測定、
血清中のレチノール結合タンパク質(RBP)、
プレアルブミン(PA)、トランスフェリン(Tf)、
ヘモグロビン(Hb) (COHb)、高感度C反応性タンパク質(Hs-CRP)、
高感度腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、インターロイキン6(IL-6)、
および血清アミロイドA(SAA)などの炎症バイオマーカーが含まれる。
BODE指数#¹は、予後に関して測定された。
これらの測定値は、実際の鍼治療グループ(RAG)と
プラセボ鍼治療グループ(PAG)の間で比較された。
すべてのデータは、平均(SD)または平均(95%CI)として示される。

ベースラインと最終体積の差を、共分散分析#²(ANCOVA)を
用いて比較した。さらに、Spearmanの順位相関係数#³を用いて、
栄養学的血液検査スコアと炎症バイオマーカーパラメーター間との相関を評価した。

[結果]
12週間後の体重変化は、PAGと比較してRAGにおいて有意に大きかった
(PAGにおけるRAG対0.5 [1.4]のベースラインからの平均[SD]差2.5 [0.4];
群間の平均差:3.00 、95%CI、ANCOVAで2.00~4.00)。
RAGの患者はまた、栄養血液検査(RBP、PA、Tf、Hb)、
炎症バイオマーカー(TNF-α、IL-6、SAA、Hs-CRP、COHb)
およびBODE指数において改善を示した。

[結論]

この研究は、鍼治療がCOPD患者の栄養状態を改善するための
有用な補助療法となりうることを明確に示した。
[読んでみて]
COPDの患者さんに対する鍼治療によって、偽鍼治療よりも体重や
栄養状態において改善がみられたという報告でした。

興味深い内容ですので、近日中にフルテキストを読んで追記したいと考えております。
[追記]

使用している経穴は
「中府、太淵、扶突、関元、中脘、足三里、太谿、完骨、肺兪、脾兪、腎兪」

5-25ミリ刺入し、50分間の施術中に時計回り、
反時計回りに3-4分鍼を回旋している。

 

#¹:BODE指数:COPD患者の死亡リスクを予想する評点法
#²:共分散分析(ANCOVA):共変数の影響を除いて平均値を比べる方法
#³:Spearmanの順位相関係数:統計学における相関の指標

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