ハムストリングスと坐骨部の痛み

ハムストリングスと坐骨部の痛み

「お尻のここが痛いんですよね」と手で「坐骨」を示される方がおられます。
いわゆる下肢に痛みやしびれを訴える「坐骨神経痛」ではありません。

このような訴えをされる方は、比較的ハードにスポーツをされている方、
特に「長距離を走っている方」に多く見られます。
そして「お尻」の痛みと同時に、
「ハムストリングス」の張りや痛みを伴っています。

「坐骨」とは

坐骨は文字通り、座っているときに椅子にあたるお尻の骨です。体重を支持する骨です。

「坐骨」と「ハムストリングス」の関係

なぜ「走っている方」に坐骨の痛みが多いのかは筋肉の走行に一因があります。
スポーツに伴い、ハムストリングス(下図参照)の強力で急激な収縮は「裂離骨折」になることもあるといわれています

他には、長時間座っていることが多い方や、股関節に負担がかかっている方が坐骨部の痛みを訴えます。

「坐骨」から始まる筋群

坐骨部は大殿筋に表層はおおわれています。
坐骨からは8個の筋肉の起始があり、太ももや脛まで伸び、その動きに関係しています。

特にハムストリングスとよばれる「大腿二頭筋」「半腱様筋」「半膜様筋」の収縮力は強く、いわゆる「肉離れ」の多い筋肉でもあります。


坐骨から始まる筋群

・ハムストリングス
(半膜様筋  半腱様筋  大腿二頭筋)
・大腿方形筋 上双子筋 双子筋 内閉鎖筋 大内転筋

筋肉は骨から骨へ走行しています。過剰な収縮がかかると筋肉が骨に付着する部位、
付着部に負担がかかり痛みを生じます。
この場合「坐骨」が付着部となります。
坐骨部に痛みが生じる場合、原因の一つとして坐骨に付着している
筋肉の過剰な収縮が考えられます。

坐骨部とハムストリングスの痛みに対する鍼灸

坐骨部を押すと痛みが再現されます。
ただし、うつ伏せよりも、横向きで太ももをお腹に近づけた姿勢で坐骨を押すと
より痛みが再現しやすくなります。

ハムストリングスの筋腹に鍼をするよりは、ハムストリングスの起始である
坐骨部に刺鍼する方が効果が高いように思えます。
「裂離骨折」 もある部位なので、坐骨そのものに相当な負荷がかかっていることが
推測されるからです。

上記の図のように、坐骨部も一定の広さがあり、複数の筋肉が付着しています。
そして大殿筋以外は深部にあります。

痛みや張りを伴う、ハードな練習をしている方の筋肉は分厚く硬いため
刺鍼する鍼の本数も1.2本では緩みにくく、
それなりの本数と長さ・太さの鍼を必要とします。

直接深部の筋肉にアプローチできる点は、
鍼の特徴でありアドバンテージではないかと考えています。
施術直後に変化を感じやすい症状のひとつかと思われます。

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