箱灸について
最近、「温灸」を希望される患者さんがお見えになりました。
「温灸」という言葉も一般的になりつつあるのでしょうか。
「温灸」はやけどや水ぶくれなどができない、
温和な熱を加えるお灸のことです。
市販の台座の上にのったお灸も「温灸」のひとつとなります。
当院で使用している温灸はいくつか種類があります。
今回はそのひとつ「箱灸」について紹介いたします。
木箱の中にもぐさを入れてお灸をいたします。
おもに腰・背中・肩・お腹など、体の中心部を温めます。
特にお腹には大きな血管が通っており、
足の方に枝分かれしています。
腰とお腹の両方を温めることで足の方まで
熱を効果的に運ぶことができます。
冷え性や、食欲不振、倦怠感、自律神経症状などに
主に使っています。
箱の中の網の部分にもぐさをいれ、燃やします。
皮膚から網の部分までは適切な高さがあるため、
やけどをすることはありません。
もぐさの量を調整することで、熱の強さや
時間を変えることができます。
また、「棒灸」を切って使用すると、安定した
熱量で長時間温めることができます。
患者さんからは、「お風呂に入っているような感じ」
「治療後もまだポカポカしている」
「赤外線より長時間あたたまっている」といった感想を聞きます。
逆に、箱灸でしっかり温めているのにもかかわらず、
あまり温かくない、熱さを感じない時は、患者さんの調子が
悪いときが多いときです。
そういった方は、入浴でもあまり体が温まらないといいます。
そのような時は、複数回にわたって、背部・腹部を中心に
箱灸の治療を続けることがあります。
何回目かに、「温かい」「熱が身体の中にはいる感じがする」
といった感覚が出てくると調子が上向きになる傾向があります。
箱灸のように、お灸すべてが「熱い」ものではなく、
「温かく心地良い」ものもあり、状態に合わせて使い分けをしています。
その他の「温灸」についても、随時紹介してまいります。
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