「運動」があまり好きでない方へ
患者さんを拝見していると、「はりとお灸」以外の方法として「運動」を提案することがよくあります。「運動」と聞くと、拒否反応を示す方が多いようです。元々「運動嫌い」の方、「運動」に対してすごく大変でおっくうなイメージをもっている方など理由は様々です。
様々な運動
「運動」はスポーツジムに通うことやダンベルを持ち上げたり、走ったりすることだけではありません。家事や買い物も立派な「運動」です。
「はりとお灸」では、「運動」をさせることや、「筋肉をつける」ことは残念ながらできません。「痛み」を軽減したり、「筋肉の緊張」を緩和したり、「炎症」を弱めることはできます。
「運動」ができる身体づくりのひとつの手段として「はりとお灸」を使います。
「運動」といっても、必要な量や質は患者さんの目的に応じて様々です。競技スポーツをする方以外は、より負担の少ない動きで日常生活に支障なく動ける筋肉があればいいと思います。
運動のメリット
・身体面では、寿命、筋力低下、悪性腫瘍、骨折予防、認知機能、転倒予防、心疾患、糖代謝、肥満などの発症や増悪、予防に運動が大きく関与していること。
・精神面では外出することで、気分が変わったり、刺激が多いことによる効果が期待できます。
・社会面では外を散歩するだけでも、地域とのかかわりや隣人とのおしゃべりなどでコミュニケーションのきっかけができます。
・経済面では患者さんご本人にとってだけでなく、医療費の抑制などのメリットがあります。
痛みをとるだけの治療の繰り返しだけでなく、適切な「運動」によるこうしたメリットは非常に大きいと思われます。
また普段から運動をなさっている方は、はりとお灸の効果も高いように感じられます。
高齢の方で、多少の痛みであれば、最初は杖をついてもいいですし、コルセットやサポーターなどの力を借りるのもひとつの手でしょう。
猛暑ですので、この時期は日中を避けて、早朝や夕方などがお勧めです。
一般的には散歩をお勧めしていますが、患者さんの状態やニーズによって「運動」の中身は変わってきます。どういった「運動」をすればいいかお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
・「腰痛」 菊地臣一著 医学書院刊
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