[文献]感熱灸は顔面神経麻痺患者に良好な治療効果をもたらす

[文献]感熱灸は顔面神経麻痺患者により良好な治療効果をもたらす

[Thermosensitive Moxibustion Induces A Better Therapeutic Effect in the Treatment of Facial Paralysis Patients].

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30365264

 

*自己学習も兼ねて、鍼灸の海外文献を紹介する記事です。
誤訳の可能性もありますので、原文での確認をお願いいたします。

顔面神経麻痺に対するお灸の治療効果の比較を行った報告です。

マイルドな熱刺激のお灸と、患者さんが熱を感じるくらいのお灸と
どちらが顔面神経麻痺の症状改善に貢献しているかを検証しています。

 
[目的]

顔面神経麻痺患者の治療における鍼治療介入と翳風穴(TE 17)における
感熱灸(TSM)と従来の軽度の灸(CMM)との効果の差を比較する。

 
[方法]
前向きコホート研究デザインを本研究で使用した。
翳風穴への灸刺激を感じる患者の主観によって、
183例の患者を感熱灸(局所的な熱浸透、熱の広がり、
深部組織のあたたかさなど)群(n = 132)、CMM群(n = 51) に分けた。
 
SPSS 19. 0ソフトウェアを用いた傾向スコアマッチング
(PSM、観察データの統計的マッチング技術)処理後、
TSM群で33例、CMM群で33例のアウトカムを分析した
 
1 stコース(10日間)、TSM群の患者では熱感が消失するまで翳風に、
CMM群の患者では翳風で45分間、
麻痺側には攅竹穴(BL 2)、陽白穴(GB 14)、四白穴(ST 2)、
顴髎穴(SI 18)、 頬車穴(ST 6)などへの鍼治療、浅刺にて鍼の
操作を1日1回30分行った。
2ndコース(10日間)では、1 stコースと同じ方法で鍼刺激を
同部位に行った。さらに両側の足三里穴(ST 36)に鍼の手技による刺激を加えた。
2コース間の間隔は2日間であった。
治療の前後に顔面神経麻痺の重症度をを評価するために、改良された
ポートマンスケール(眉毛が上にあがるかどうか、閉眼、頬の膨らみ、
拍動、歯をみせること、および鼻孔の広がり、お安静時の対称性)を使用した。
 
[結果]
治療後、Portmannのスコアは、2つのグループ(P <0.01)のそれぞれでの
治療前のスコアよりも有意に高く、CMM群よりもTSM群で顕著に
高かった(P <0.01)。 
TSMのより良い治療効果が提示された。
[結論]
感熱灸は、顔面麻痺患者の症状を改善するために
従来の軽度の灸よりかなり優れている
 
[読んでみて]
TSM,CMM群両方とも治療後のスコアの改善がみられるが、
特にTSM群の患者が感じるくらいの熱刺激のあるお灸の有効性が示唆された。
Thermosensitive Moxibustion=熱を感じるお灸、知熱灸のことでしょうか。

経験上も熱刺激を加えた方が、麻痺側のぼわーっとした独特の感覚が減り、
顔が軽くなる感じがして良いというフィードバックをいただくことがあります。

顔面部ということもあり、以前はもぐさのお灸を細かく行っていましたが、
安全面も考慮し電気のお灸で行うことが増えました。
より細かく熱刺激を加えられることや、患者さんも恐怖心がなく
安心して施術を受けていただくことができます。
参考記事

 

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