お灸の様々な効能-肩こり、腰痛からしもやけまで
お灸は直接肌にもぐさを据えて燃やすもの、刺してある鍼の上にもぐさを載せて燃やすものなど様々な方法があります。お灸は目的に応じて使い分けるのですが、いわゆる肩こり、腰痛、膝痛など鍼灸治療院で訴えの多い症状以外にも、鍼とはまた違った多様な効能があります。
今回は、「こんな症状にもお灸がつかえるの?」と患者さんもなかなかご存じない効能の一部を紹介したいと思います。
・踵のひびわれ
直接ひび割れているところにお灸をします、ご自宅ではせんねん灸などの市販のお灸、少し本格的になると直接灸の糸状のお灸を使います。
ひび割れの程度にもよりますが、踵は硬く血行が悪いことがおおいので、お灸の数はある程度多めにしないと効果がありません。
ひびが深いところは同じ場所にお灸を続けていたします。
・足先の冷え
冷えの程度にもよりますが、市販のお灸、糸状のお灸を指先にすることがあります。
足の末端なので少し熱く感じることもありますが、冷えが強い方はひとつや、ふたつのお灸では熱さを感じないこともあります。
最初は少なめのお灸で様子をみて、熱さを感じるまですることもあります。冷えが改善していくと、お灸の数を少なくしても熱さを感じてきます。住環境にもよりますが、棒灸をつかってゆっくり温めていく方法もあります。
・しもやけ
治療院では棒灸でじっくり温め、最後に糸状のお灸で仕上げをいたします。 ご自宅でのお灸を併用されるとはやくよくなります。しもやけの気配を感じたらすぐに はじめると悪化しにくいです。
・痔
お腹、骨盤部を温めることがメインですが、さらに腕の「孔最」というツボにお灸をすえます。
触診すると独特の反応があります。このツボには直接灸を使います。
・巻き爪の痛み・違和感
爪に巻いて食い込んでいるところに糸状灸をします。市販のお灸は大きいので、ちょっと難しいかもしれません。
・帯状疱疹の痛み・違和感
帯状疱疹による痛み、つっぱり感、違和感などは、神経の走行やかさぶたなどに沿ってお灸をいたします。
・顔面神経麻痺の後遺症による違和感
これは治療院でのみ行います。 糸状灸で、熱を加えすぎないように加減しながら患者さんが感じるか感じないか程度のお灸を 違和感のある部位にそって細かくお灸をしていきます。
顔面神経麻痺の何とも言えない違和感のせいか このお灸は喜ばれることが多いです。
・膀胱炎による下腹部の違和感
腰、骨盤部、下腹部を棒灸、箱灸などでしっかり温めたあと、下腹部のツボに糸状灸を少し多めに行い。熱を伝えます。膀胱炎は冷えによる免疫力低下とも言われています。 普段からお灸をなさっておくと予防にもつながります。
・手指など小さい関節の痛み
せんねん灸などの市販のお灸か、糸状のお灸で直接灸を関節部に行います。 詳しくは「指の関節の痛みに対するお灸」を参考にして下さい。
・逆子に対するお灸は、治療院のみで行います
(「逆子に対するお灸の効果」を参考にしてください)
これ以外にも様々な場面で使用します。
お灸は「据えたもぐさを燃やす」という昔ながらのシンプルな治療法ですが、 その使い方(火の加減やお灸の数など)次第でその適応範囲は今でも十分に広いと感じています。