埼玉県春日部市の鍼灸院 はり・きゅう はりも

〒344-0058 埼玉県春日部市栄町1-279
Tel:048-763-5323
鍼灸

[文献]慢性の痛みに鍼の効果はどのくらい持続するの?

 

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慢性疼痛患者に対する鍼の効果の持続性についての文献紹介(メタアナリシス)

The persistence of the effects of acupuncture after a course of treatment: a meta-analysis of patients with chronic pain.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27764035

*自己学習も兼ねて、海外論文を紹介する記事です。
誤訳などの可能性もありますので原文での確認をお願いいたします。

 

[背景]
 
鍼の効果が持続する期間については明確ではないのが現状
 
[目的]
 
慢性疼痛に対する鍼施術について、質の高い無作為化試験からの
大規模な個々の患者データを使用し、鍼施術後の疼痛スコアの
軌道を定めることを目的とした。
 
 
[対象]
 
利用可能な個々の患者データは、29回の試験および17,922人の患者に及びます
慢性疼痛状態には、筋骨格痛(背中、首、肩)、
膝の変形性関節症、および頭痛/片頭痛が含まれています。
 
メタアナリシス技術を使用して、施術後の疼痛スコアの軌道を定めた。
6376人の患者を含む20件の試験では、長期間のフォローアップに
関するデータが利用できた。
 
 
[結果]
 
鍼施術と鍼を使用しない施術(待ちリスト、通常のケア、など)を比較すると、
施術の終了後では、3か月ごとの計測でエフェクトサイズは減少し、
0.011と有意差がない(95%信頼区間:-0.014 to 0.037 P = 0.4)
中央値は、鍼の効果の約90%は対照群と比較して12ヶ月持続することが
示唆されている
 
鍼と偽鍼との比較試験では、3ヶ月毎で0.025 SD
(95%信頼区間:0.000-0.050、P = 0.050)の効果サイズの減少が観察され、
12ヶ月で約50%の減少が示唆された。

慢性疼痛患者に対する鍼の効果は、12ヶ月時点で大幅な減少は見られない
 
 
[結論]
 
患者は一般的に施術効果の持続により安心できる。鍼の費用対効果の研究は
効果の持続時間を考慮して、今回の調査を考慮に入れるべきである。
さらなる研究は、鍼施術の長期的なアウトカムを測定すべきである。
 
 
[読んでみて]
 
鍼の効果の持続性は、患者さんを拝見していても千差万別です。
 
初診時や経過観察中の状態、施術による反応、今までの事例や
経験も踏まえて、当院での見通しを伝えるようにしています。

慢性疼痛のように、長期の痛みは患者さんの病態や心理・社会的背景が
複雑であることも多く、良くも悪くも見通しが早い場合や遅い場合があり、
予測しにくいことがあります。
 
フルテキストを読んでみると、腰痛、ひざ痛、肩の痛み、頭痛、片頭痛、
変形性関節症、頸部痛の慢性疼痛が対象となっていますが、
例外的に慢性の
頸部痛における鍼の効果は経時的に減少傾向がみられる結果となっています。

なぜ頸部痛だけが減少傾向なのかは書かれていません。

さらなる研究が必要と記されています。

経験的には少しでも「運動」など、身体を動かされている方の
ほうが経過が良い気がいたします。

 
 

 

 

【文献】尿漏れに対する電気鍼の効果

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腹圧性尿失禁で尿漏れのある女性に対する電気鍼の効果:
ランダム化比較試験

Effect of Electroacupuncture on Urinary Leakage Among Women With Stress Urinary Incontinence: A Randomized Clinical Trial.

 

*自己学習も兼ねて、鍼灸の海外論文を紹介する記事です。

 誤訳などの可能性もありますので、原文での確認をお願いいたします。

 

背景


腰仙骨部への電気鍼治療は腹圧性尿失禁の女性に有効とされているが、
エビデンスがまだ十分でない

 

目的

腹圧性尿失禁の女性に対して、電気鍼治療と
偽の電気刺激の効果を検証する

 

対象

2013年10月から2015年5月まで、中国における12の病院で腹圧性尿失禁の
504人の女性を対象としたランダム化比較試験

 

介入

電気鍼治療群と偽電気刺激(ツボではない部位)との2群に分け、
6週間18回、ランダムに振り分けられた。

 

アウトカム

尿漏れの量の変化、72時間の膀胱ダイアリーで計測された尿失禁回数

 

結果

504人(平均年齢55.3歳)のうち、482人が研究を最後まで完了した。

介入前の尿漏れ量は電気鍼群で18.4g、
偽電気刺激群で19.1gであった。


平均72時間の失禁は、電気鍼治療群で7.9回、
擬似電気鍼治療群で7.7回であった

6週では、電気鍼群は平均尿漏れが-9.9g、偽電気刺激群が平均-2.6gとなり、
2群の差は 平均7.4gとなった(95%CI、4.8~10.0; P <.001)。


平均72時間失禁回数のベースラインからの変化は、
1〜6週目の群間差1.0(95%CI、0.2〜1.7; P = .01)を有する
偽電気刺激群よりも電気鍼群で大きかった.

15週目〜18週目の2.0回のエピソード(95%CI、1.3-2.7; P < 001)、
および27週目〜30週目の2.1エピソード(95%CI、1.3-2.8; P <.001)

 

結論


腹圧性尿失禁を患っている女性の中で、偽電気刺激と比較して腰仙部を
含む電気鍼治療では、6週間後に尿漏れが少なくなった。

この介入の長期有効性および作用機序を理解するためには、
さらなる研究が必要である。

 

読んでみて

フルテキストを読むと、「中髎」「会陽」のツボを使っています。

偽電気刺激はそのツボから外側2センチの部位にずらして行っています。

75mmの鍼で5.6センチに斜刺、水平刺のようです。得気も得ています。
50Hz連続は1-5mA、30分継続です。

結論でもあるようにまだまだ研究の余地があるようですが、
長期的に効果が持続すると患者さんにとっても恩恵があると思われます。

一方で、中国での、504人もの大規模な研究が行われていることに驚きです。

 

 

【文献】肘外側の痛みには鍼とお灸を併用したほうが良い?

肘外側の痛みに対する鍼灸のランダム化比較試験の
システマティックレビュー

Acupuncture and moxibustion for lateral elbow pain:
a systematic review of randomized controlled trials.

 

注:自己学習も兼ねて、鍼灸の海外論文を紹介する記事です。
  誤訳などの可能性がありますので、原文での確認をお願いいたします。

 

背景

鍼と灸は肘外側の痛みの治療に広く使用されています。

鍼灸の有効性を評価するために、英語と中国語の両方のデータベースを
含むランダム化比較試験(RCT)の包括的で体系的なレビューを実施した。

 

手法

改訂版STRICTA(2010)基準*¹を鍼治療の評価のために使用。

コクランのバイアスリスクツール*²を用いて研究の方法論的な質を評価した。

鍼治療および灸と偽鍼治療、別の形態の鍼治療や、従来の治療とを
比較した合計19のRCT が含まれていた

 

結果

すべての研究で、少なくとも1つの領域が、コクランリスクの
バイアスリスクにおいて「高い」、または「不確実なリスク」として評価された。
 
3つのRCTの結果は、鍼治療が偽鍼治療より効果的であることを示した。
 
10個のRCTのほとんどは研究の質が低く、それらの結果は、鍼灸が局所麻酔薬注射
局所ステロイド注射、非ステロイド性抗炎症薬、または超音波などの
従来の治療よりも優れているか同等であることを示した

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つの質の低いRCTでは、鍼単独よりも鍼とお灸を組み合わせた方が
優れているという結果となった。
 
 

結論

適切な質の研究では、鍼治療が偽鍼治療よりも効果的であることを示唆している。

一方で鍼とお灸を併用した治療と鍼単独の治療の解釈は、研究デザインの質から
限定的なものとされる。肘外側の痛みに対して、鍼とお灸を組み合わせた
治療効果をより明確にするために、より改善した研究デザインが今後求められている。

 

読んでみて
 
肘外側の痛みに対する19のRCTのシステマティックレビュー

鍼治療が偽鍼治療より効果的であったり、ほかの治療法よりも優れている
可能性ががあること、また鍼単独よりもお灸を併用した方が優れている
といった報告だが、研究の質がまだ低いものもあり、
より良いデザインで質の高い研究が求められているとのこと。

またSTRICTAやバイアスリスクツールについて知れたことは今後、
論文を読むうえでの収穫でした。
 
論文の中の、小さなヒントが臨床に生かせればと考えています。
 
 
 
*¹ STRICTA(2010)基準:鍼の臨床試験における介入の報告基準
*² コクランのバイアスリスクツール:研究の限界の手引き:
  研究の限界を段階に分け、研究の解釈や考察、評価を判断するための手引き

 

 

 

 

 

 

 

「眼瞼けいれん」:臨床に学ぶ会にて

眼瞼けいれん:臨床に学ぶ会にて

 2か月に1度参加している鍼灸臨床の勉強会、「臨床に学ぶ会」の今年最後の集まりがありました。

テーマは「眼瞼けいれん」と「逆子」でした。

 

「眼瞼けいれん」とは

「眼瞼けいれん」は目の周囲の筋肉の収縮が本人の意図しないところでおき、まぶたが閉じ、日常生活に支障をきたすものです。目の周りが勝手にピクピクとけいれんすることで、非常に不快感があります。周りの方の目も気になり、患者さん自身は大変な思いをしています。

「眼瞼けいれん」は40歳以上の女性に多く、若年者では抗不安薬などの内服歴や、化学物質に触れる機会があった人に多く見られます。原因不明なものや、パーキンソン病が関係するもの、薬物によるものなどがあります。

「眼瞼けいれん」でも、数週間以内に収まり、まぶたが閉じてこないものは
「眼瞼ミオキミア」といって、自然に治る良性のものです。

一方で、片側の頬、口角、下顎までけいれんが広がり、MRI画像などで顔面神経に血管が接触していることでおこる「眼瞼けいれん」は「片側顔面けいれん」と呼ばれています。

「眼瞼ミオキミア」は自然に治るので、様子をみていいと思われます。
「片側顔面けいれん」は病院でMRIをとるなどの画像診断が必要となります。

それ以外の原因がはっきりしない「本態性眼瞼けいれん」の患者さんがまれにお見えになります。眼科や、脳神経外科などを受診してから来られることがほとんどです。

点眼薬や内服薬で改善されない方、ボツリヌス注射に抵抗がある方が多いですね。

鍼灸師の中でも「眼瞼けいれん」に対する治療成績は限定的な印象があります。改善された方、改善されなかった方がおられるのが正直なところです。

 

「鍼灸治療院でみる眼瞼けいれん」

今回の症例は、けいれんを悪化させる要因が明確であり、鍼灸治療でアプローチできる類のものであったことから改善がみられました。頸、肩、背中、顎の緊張などがひとつの要因でした。けいれんを誘発する要因がわかれば生活上のアドバイスもできます。

光に弱い方はサングラスや、モニターにフィルムを貼るなど。首肩の緊張であれば、緊張する環境を見直し、患者さん自身ができることを提案します。

当院では「眼瞼けいれん」の患者さんには医療機関の受診歴などを伺い、MRIなどによる診察結果、薬物の服薬歴、既往歴、これまでに受けた治療の内容と結果を確認しています。

鍼灸での改善がみられない状態であることが予想される場合には、治療前にお伝えすることもあります。

鍼灸治療では「けいれん」を引き起こす悪化要因と楽になる要因を患者さんとともに明確にすることが非常に大切になります。それによって、鍼やお灸をする部位、方法が変わってくるからです。

「眼瞼けいれん診療ガイドライン」(2011)を読んでいると、手術後もボツリヌス注射が必要になる方が一定数おられることや、ボツリヌス注射の効果が通常3-4か月持続することなど、まだまだ患者さんにとっても負担が多い状態であることがわかります。

「眼瞼けいれん」に対する鍼灸の適応範囲を、明確に把握し、患者さんに貢献できればと考えています。

 

*参考文献

「眼瞼けいれん診療ガイドライン」

「半側顔面痙攣に対して低周波鍼通電療法を行った6例」

当院での鍼灸受診理由と患者層について

 

当院での鍼灸受診理由と患者層について

 

患者さんが当院で鍼灸を受けるきっかけは様々です。
初めての方にとっては、鍼灸はどういう人が利用しているのか、
ご不明な点が多々あるかと思います。

過去に鍼灸をお受けになったことがある方、
また生まれて初めて鍼灸を経験する方、それぞれ動機は異なります。

特にこれからはじめて鍼灸を検討されている方に、ご参考になれば幸いです。

 

  • 知人・ご家族が通っていた・勧められた
  • 近隣だから・通っていた鍼灸院が遠方であった
  • 近所の人が杖なしで歩くようになったのをみた
  • リハビリで改善されなかった
  • いろんなところに治療に通ったが改善されなかった
  • 今まで効果があった治療法が今回の自分の症状には合わなかった
  • 以前に鍼の経験がある
  • 鍼のひびく感じが症状があるところに届く
    (鍼のひびきに関してはこちらをご覧ください)

  • 市販のお灸を自分でしたところ体に合っていたので、
    本格的なお灸をしてほしいとおもった。
  • マッサージだともみかえしがあった
  • 鍼をすると良い状態が長持ちする
  • 手術の後の痛みがひかないので
  • 病院で「異常はありません」といわれたが、自覚症状がある
  • ギックリ腰をくりかえす
  • 注射(ブロック ヒアルロン酸)などが効かなくなってきた
  • 寝たきりになりたくない
  • 湿布では痛みが引かなかった


当院での、この2年間で患者さんの訴えた症状の比率です

  1. 腰痛            19%
  2. 頚部痛           14%
  3. 腰下肢痛          10%
  4. 膝の痛み          9%
  5. 急性腰痛(ぎっくり腰)   8%
  6. 頚肩腕症候群        8%
  7. 肩関節痛(五十肩など)   5%
  8. 下肢症状          4%
  9. 指の痛み          3%
  10. 手首の痛み         2%

 

頸・肩・腰・膝など関節・筋肉・神経の痛みやしびれを
訴える方が多く来院されています。

一般的な鍼灸院とそう変わらないと思います。

腰下肢痛には腰部脊柱管狭窄症、ヘルニア、仙腸関節障害などの
腰が原因となる坐骨神経痛みなどを含みます。

下肢症状は変形性股関節症などとなります。

最近は手足のしびれを訴える患者さんが多い傾向です。

その他には、つわり、逆子など妊婦さんの症状。

生理不順や月経前症候群などの婦人科症状。

夜泣き、疳の虫、夜尿症など小児の症状。

他には頭痛、顎の痛み、顔面神経麻痺、便秘、痔、
膀胱炎後の不快感などがありました。

検査などで問題がないものの体調がすぐれない方、
注射やお薬が合わなかった方、マッサージだけでは症状の再発が
はやい方などもお見えになります。

 

来院患者さんの男女比

男性 52% 女性 48%

一般的には、30:70の割合で女性の方が多いのですが、
当院はほぼ半々です。

 

患者さんの年齢層 

50代~70代の方が多くを占めています。

  • 10代 2%
  • 20代 9%
  • 30代 13%
  • 40代 9%
  • 50代 15%
  • 60代 23%
  • 70代 17%
  • 80代 7%
  • 90代 2%        

鍼のひびき(得気)-その効果の是非

鍼のひびき

 

鍼のひびき(得気)-その効果の是非

 

鍼のひびき(得気)は鍼灸治療をお受けになった方であれば、
どなたも経験があるかと思います。

上の写真の水面の「波紋」のような性状は
ひびきのひとつのイメージでしょうか。

鍼の「ひびき」については、はじめての方は
驚かれる方もおられたり、「ひびき」そのものについての

ご質問も多いことから少し書きたいと思います。

 

鍼の「ひびき」って何?

「ひびき」は「痛み」とはまた違う独特の感覚です。
ズシンと重い感じ、電気が走る感じ、末端までつながる感じ、
広がる感じなど
患者さんは様々な表現をなさいます。

患者さんによって「ひびく」感覚を好まれる方、
好まれない方など様々です。

関西の患者さんは鍼のひびきを好み、
関東の患者さんは好まない傾向があるとも聞きます。

鍼灸は関西や四国でより普及していた背景と
関係しているかもしれません。

中国では、鍼の「ひびき」を治療において意図的に発生させる
ことも多く、その「ひびき」の有無が

治療効果につながると考えているそうです。

 

鍼の「ひびき」は効果がある?ない?

鍼灸師の間でも「ひびかないと効果がない」という意見と、
「ひびかなくても効果がある」という意見があります。
わたしはどちらもあるという立場です。

「ひびいた方が効果が高い」と、私自身が思うのは、
頸椎症性神経根症や胸郭出口症候群などの上肢症状や、
変形性腰椎症や梨状筋症候群などから起きる坐骨神経痛などの
下肢症状です。

頸や胸郭に原因があって、手や腕にしびれや痛み、
重だるさなどがあるときには、原因となるところに鍼をすると

ひびくことがあります。

また「ひびき」がでるようにピンポイントで鍼を刺入し、操作します。

腰やお尻に原因がある坐骨神経痛も同じように鍼をすることで、
足先やふくらはぎなどに鍼のひびきを伝えることができます。

このような症状の場合、症状部位にひびいたほうが、
その後の経過が良いように感じています。

先ほどもお話ししたように、はりの「ひびき」は独特なので
好まれる方と、好まれない方がおられます。

初診時から意図的にひびかせることはあまりありませんが、
症状が強い場合、治療経過で症状に変化がでにくい状態になったとき

などでは意図的に「ひびき」を与えることがあります。

 

治療点の探し方

 

実際には、患者さんの訴えから診たてをし、そこから訴えの原因と
思われるところを推察し、触り、確認をしていきます。

原因部位に指で圧を加えると、症状が再現したり、強くなった
場合は治療点として考えます。

こちらが見て、触り「ここに何かあるな」と感じたときに、
患者さんも「そう、それ」と感覚が一致するところは
いわゆるツボではなくても
解剖学的に重要な場所だったり、
治療点となります。

両者で一致したところは、本当に必要なポイントです。

たとえば、足の三里というツボに鍼をしたときに、指先まで
じわーと響く感覚、足の指にしびれがある患者さんには
「そこが悪かったんだ、そういう風にひびかせてくれるとなー」と
おっしゃる方もおられます

時には、「こっちもあるんじゃないか」と患者さんに教えていただき、
相互に確認しながら治療することは少なくありません。

こういったやりとりが、治療をよりスムーズに、効果的に
していると考えています。

わたしにとって貴重な機会でもあります。

一方で患者さんが気づいてなくても臨床上で重要なところは
治療点に加えています。

鍼治療の経験がある患者さんでも、症状があるところにひびくような鍼、
つまりご自身が原因だと思う場所にしっかりとあたるような鍼を
されたことがなかったという
ことをたびたび耳にします。

鍼のひびきの有無が効果に影響するかどうかはまだまだ
不明な部分が多いのは確かです。

鍼がひびいいたという気持ちの満足もあるかもしれません。
しかしながら、ひびく鍼を行ってから、症状の改善が見られた
患者さんも多く経験しています。

今回は「鍼のひびき」について経験にもとづいてお伝えいたしました。

2019年現在、鍼に慣れてない患者さん、患者さん自身が鍼のひびきを
好まない方には、ひびかないように、鍼以外の手段を使うことが増えました。

私自身どうしてもひびかさなければという思いが、以前より減っているのが
現状です。

2013年には「顔面神経麻痺」に対する鍼灸治療では、鍼の「ひびき」があった方が、
なかったほうよりも機能回復が良好であるといった研究が報告されています。

よろしければ併せてご覧ください。

鍼のひびきの研究-顔面神経麻痺

 

施術の流れ-医療面接から日常生活の注意点まで

summary

施術の流れ-医療面接から日常生活の注意点まで

 

初診の患者さんがイメージしやすいよう、
当院では以下の流れで患者さんを拝見しています。

 

①予診表への記入

初診の患者さんには「予診表」に記入をお願いしています。
「予診表」をもとにして、現在のお身体の状態についてのお話を伺います。
 

②医療面接

患者さんご自身に現在のお身体の状態、また現在に至るるまでの経緯、
不安に思っていることなどをお話しいただきます。
鍼灸施術や当院に対する希望を確認いたします。
 
医療面接での目的は
・患者さんと良好な関係を築くこと
・患者さんから医学的な情報・心理社会的背景の情報を集めること
・患者さんへ適切な治療と日常生活の注意点を提供できること
 
 
患者さんのニーズと状態を可能な限り把握し、適切な施術に結びつけるのに
大切な部分です。
ご遠慮なく何でもお話し下さい。
 
 

③身体診察

②の医療面接で把握した情報をもとに、必要な身体診察を行います。
実際に整形外科や、内科で行われている触診を中心とした身体診察もいたします。
 
身体診察を行い、より正確に状態を把握できます。
たとえば坐骨神経痛のある患者さんに、下肢を挙げていただき
神経痛の誘発の有無を確認します。
 

④鍼灸施術

「医療面接」「身体診察」で得られた情報から、診たてをし、
最も適切だと思われる鍼灸施術を行います。

鍼の本数、深さ、刺す部位、刺している時間は患者さんの
年齢、状態、体力などにより変化いたします。
 
初診時は軽めに施術を行うのが一般的です。

必要な場合は、鍼灸施術だけでなく手をつかって、
関節や筋肉を動かしたり緩めます。
 
治療の途中でもお気づきの点がございましたら、
いつでもおっしゃってください。
 

⑤施術効果の確認 

施術直後の変化を確認いたします。
施術前と比べて症状はどの程度変化しているか。
 
痛み、しびれ、動きなどを確認し、次回の施術につなげていきます。
 

⑥日常生活の注意点の確認

来院される患者さんには、痛みなどの原因となるきっかけ、
習慣があります。
 
少しの間だけでも、そのきっかけ、習慣に意識的になると、
状態の回復を早めます。患者さんと施術者で確認をいたします。
 

⑦施術回数の目安について

施術回数の目安は、「病態」と「日常生活の2つが大切です。
 
「病態」は病気の状態です。痛みの強さ、どれくらいの期間痛みがあるか、
痛みの範囲の広さ、痛みのある時間、安静にしていても痛むかどうか、
薬が効かない程度のいたみかどうか。
どのような動作で痛みが出るのか、手術歴は、糖尿病の既往は、など。

同じ「腰痛」でも程度が違うと治る期間や回数も変わります。

また施術を受けていても、ご自宅で痛みの原因となる部位に負担のかかる
生活をつづけていると、やはり回復は遅くなりますし、また変化に乏しくなります。

「病態」と「日常生活」そして、当然ながら「適切な施術」が
施術回数を大きく左右いたします。
 
以上のような過程で当院は患者さんを診ています。
 
 
 

当院で使用している鍼-ディスポーサブル鍼

当院で使用している鍼-ディスポーサブル鍼

 

当院では鍼は使い捨ての鍼(ディスポーサブル)を使用しています。

治療の直前に鍼の包装を開封し、治療者の手、治療する場所を
消毒いたしますので安全です。

鍼灸に使用する鍼は様々な種類がありますが、メインで使用する鍼は
注射針ほど太くありません、

髪の毛くらいの細さになっています。 はじめて鍼を経験される方でも、
思っていたほど痛くなかったおっしゃる方がほとんどです。 

鍼はこのような箱に個別に包装されています

当院で使用している鍼について

DSC_0139 1本ずつ、使用するときに開封します。

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「鍼、灸、手技」の施術方法のご希望と選択について

 

選択

 

 

「鍼、灸、手技」の施術方法のご希望と選択について

 

当院「はり・きゅう はりも」は
屋号にもありますように「鍼灸院」です。

 

患者さんは様々な症状を抱えて来院されますが、
時折り施術方法のご希望があります。

ご希望の背景をうかがってみると、様々な理由があるようです。

 

患者さんのご希望の背景

 

・「鍼は怖いので、お灸で治療していただけませんか」


・「昔、母親がお灸をしているのを見て、熱そうだったり、
  背中に火傷の痕があったのが恐ろしくて、
お灸は遠慮したいのですが」

・「以前に他の治療院で鍼とお灸をされましたが、あまりに痛かったので
  なるべく弱くしてほしい」

・「はりとお灸以外で治療してほしいのですが」

 

以上のようなご希望は珍しくありません。これらの理由について、
当院で即座に解決できるものは、その場で以下のように丁寧に説明しています。

 

当院での対応

 

お灸で対応できる病態であれば、お灸のみで対応します。

・昔は、火傷の痕を残すような強いお灸も使われていましたが、今はほとんど
 使われていません。
現在はお灸の種類も豊富で、病態によって
 使い分けることもあり、火傷を残すようなことはほとんどありません。

・以前の鍼灸治療の方法を尋ね、今回の病態に必要でなければ同じ方法を
 とることはありませんし。代替案を
検討します。

・はりとお灸以外でできることを、手技またはセルフケアの方法などを検討します。

 

患者さんのご希望の背景にはこのような理由がありますので、
なるべくご希望に添いたいと思っています。

 

はりもお灸も怖くて、手技だけで施術してほしいという
患者さんは今までもいらっしゃいました。

少しずつ当院に慣れてこられて、途中から鍼治療を
受けてみようと申し出られ、続けておられる方もいます。

同時に手技だけでの施術を希望し続けて、安定しておられる方もいらっしゃいます。

 

少なからずこういった経験がありますので、どうしても
はりとお灸は苦手という方も病態と経過を慎重に見ながら
手技で施術することがあります。

 

当院としては、患者さんごとに病態や経過を把握したうえで、
まずは経験上ベストと思われる施術法をご希望にかかわらず提示しています

 

そして鍼だけの施術、お灸だけの施術、または併用、
そして手技だけの場合で、それぞれ予想される施術期間や頻度を
ご案内しています。

 

その上で、患者さんにご納得いただいた上で施術に入り、
経過を見ながら、適時判断しています。

 

とはいっても、全て患者さんのご希望に添うことができるわけではありません。

 

・明らかに病態に合わない、悪化させる可能性のある場合
 (例:急性期、炎症の強い病態での強刺激の鍼灸治療)

・鍼灸不適応疾患の場合(例:病院受診を最優先しなければいけない病態の時)

 

以上のような状態の時は、理由を説明し患者さんに
ご理解をいただいております。

 

鍼灸院を受診するには、気持ちの面でもハードルが高いと
思われる方がまだまだ多いのが現状です。

 

当院では「患者さんがなんでも尋ねることができる」
親しみやすい治療院を目指していますが、

「はり、お灸」に抵抗のある方も一度ご相談いただければと思います。

 

自律神経症状と接触鍼-研修会にて

自律神経症状と接触鍼-研修会にて

 

先日、数年間参加している研修会で今年最後の集まりがありました。

参加者各自の臨床での疑問を前もって提示し、全員で検討しています。

いくつかテーマがありましたが、今回はその中の「自律神経症状」についてでした。

 

「自律神経症状」には様々なものがあるのですが、天候の変化や、
環境、何らからのストレスなどにより症状の変動があります。

患者さんには緊張体質の方も多く、頸や肩、お腹などに
触れるとその緊張がよくわかります。

また、その緊張がさらなる緊張を後押しして、力が抜けるときは
少ないようです。加えて、初めて鍼灸治療にお見えになる方は、
より緊張されています。

ほとんどの鍼灸師は自律神経症状には浅く鍼を刺することが多く、
その結果、刺激も弱くなります。

それ以上に敏感な方や、こちらが必要だと考えたときは以下のような、
刺さない鍼、接触のみの鍼を使います。

「接触鍼」と呼んでいます。「接触鍼」は小児の鍼治療でも使用します。
夜泣きや疳の虫などに対してです。

「自律神経症状」や「小児症状」には「接触鍼」の刺激量で必要十分です。
鍼の刺激量、深さなどは患者さんの症状、体質、経過などで変更しています。

 

研修会では「自律神経症状」の鍼治療と患者さんへの対応、
そして「接触鍼」の使い方のバリエーションについて
意見交換をいたしました。

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接触鍼:ローラー鍼

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接触鍼:鍉鍼